●神社の前で吐いた祟り
さて、昨日から今年も、もう12月に入りました。
そこで、年末らしい話は無いかと考えていると、ある相談を思い出しました。
それは、ある夏の日の夜にかかってきた電話相談でした。
彼女の名前を、仮に豊美さんとしておきましょう。
ある病気になり、現在定期的に病院に通っているといいます。
そのある病気というのは、パニック障害だそうです。
パニック障害とは、急に冷や汗や手足などの震えや目まい、吐き気がして、
同時に息が出来なかったり、呼吸困難になったり、激しい動悸が始まり、
このまま死んでしまうのではないかという不安や恐怖が襲ってくる
パニック発作が起きる病気で、日本人の約3%の人がなる比較的多い病気だという。
パニック障害の原因は様々で、
■離婚や離別などの別れや死別
■孤独や災害、虐待などによるストレス
■受験勉強や仕事や人間関係のストレス、
■他にも、遺伝や急な環境の変化、幼い頃の辛い体験が引き金になる事もあるという。
しかし、
電話をしてきた豊美さんは、私に、
自分がパニック障害になった原因には、普通とは違う心当たりがあるというのだ。
それは、去年末に、行った忘年会の帰りの事だったと言う。
すっかり酔っぱらった豊美さんと同僚の女性は、店を出て、
駅に向かって歩いていた所、急に気持ちが悪くなり道端に吐いてしまったという。
しかし、たまたま吐いてしまった場所が悪かった。
見るとそこは、神社の鳥居の前だったらしい。
本来なら、掃除するところだが、酔っぱらっていたし、掃除する道具も無いので、
そのまま帰って来てしまったという。
そして、豊美さんがパニック障害になったのは、翌年1月明けてからだったという。
それは休みで、彼女が自宅に居る時だった。
普通に食事を取り、テレビを見ていた時だったという。
急に呼吸がしにくくなり、息が出来ない感覚に陥った。
その時彼女は独り暮らしだったので、このまま呼吸が出来なくて死ぬかと思ったという。
幸い翌日も会社は休みだったので、医者に行って検査してもらった。
すると、異常はどこにも発見されなかったという。
ところが、安心して自宅に帰ってくつろいでいた時、
急に目まいして、それと同時に心臓が鼓動が激しくなり、息苦しくなったという。
発作は15分位で治まったのだが、彼女は不安になり、翌日違う病院に駆け込んだ。
そして、呼吸困難を訴え、特に肺と心臓をお願いして診てもらったという。
しかし、異常はどこにも発見されなかった。
ただ、前の所とは違って、医者の方は、彼女に心療内科で診てもらう事を勧めたという。
そこで、すぐに心療内科で診てもらうと、
パニック障害という診断が下されたのでした。
すぐに薬を処方されると、彼女のパニック障害は家に帰っても起きなくなった。
1週間経っても、薬を飲んでいればパニックにはならなかったという。
ところが、会社が始まり、2週間位が経ったある夜、
彼女が布団に入って寝ていると、急に心臓がバクバクしだし、
息が苦しくなっていったという。
急いで予定外の薬を飲むと、治まったのだが、翌日会社の帰りに病院に行くと、
薬の量を増やして様子を見る事になったという。
薬のお蔭で、だいぶ発作の頻度は低くなったというが、
それでも、時々息苦しくなり、
狭い部屋や、エレベーターに乗ると、
「逃げられない」とか、「誰からも助けてもらえない」
という恐怖に襲われて、急に息が苦しくなるという。
医者にその事を言うと、
それは多分、広場恐怖の一種だと言われたという。
広場恐怖とは、以前パニックを起こした場所に行くと恐怖を感じたり、
助けてもらえない様な個室で一人とか、エレベーターで一人という状況になったり、
一人で乗り物に乗った時に発作が起きる現象だという。
そんな彼女は、パニック障害と診断が下されてから7ヶ月間、
ずっと薬を飲み続けているというのだが、それでも時々発作が起き、
広場恐怖までともなって来ているのに、不安を抱えていた。
そして、ふと冷静に考えた時、
そう言えば、去年の末、
神社の鳥居の前で、吐いてから自分のパニック障害が始まったと気付いたという。
これは、自分が神社の前で吐いた祟りではないのか?
そう思ったら、いてもたってもいられなくなり、
私に電話相談してきたのである。
やがて、意外過ぎる事実が分かるのである。
後半は、明日のブログに続く。