●今まで書けなかった記事

 

 

 

占いの仕事をしていると、

 

 

相談に来られるお客は、

 

 

前向きで、明るく明日を夢見る楽しい方ばかりとは限らない。

 

 

 

 

中には、死が目前となり夜中に散々泣いたあげく、

 

 

ただ話を聞いて欲しいと、電話相談してくる人もいるのだ。

 

 

 

 


それが、ケイコさんだった。

 

 

彼女は3日前に、医者から余命半年と告げられたと言う。

 

 

それからずっと、家に閉じこもり泣いていたという。

 

 

 

 


こんな時、私の様な占い師は無力だ。

 

 

たかが電話相談で、彼女の癌を取り除く事もできなければ、

 

 

有効なガン治療薬を処方してあげる事も出来ない。

 

 

しかし、こんな私でも話を聞いて欲しいという彼女の聞き役にはなれる。

 

 

 

 

 

この記事が、今まで書けなかったのには理由がある。

 

 

結果が悲しいものだからだ。

 

 

どんなに途中経過が、参考になろうとも、結果が悲しいものならば、

 

 

読んで頂いた読者の方にも、嫌な思いをさせるだけだろう。

 

 

しかし、書こうと思った理由も、最後に述べたい。

 

 

だから、悲しい結果なら読みたく無いと思う方は、

 

 

ここで読むのを止めて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ケイコさんは、普通のOLさんで、35歳独身だった。

 

 

実家は山梨県で農家を営んでいるという。

 

 

ただ高校生の時から、都会に憧れていて、

 

 

大学を卒業すると、親と喧嘩同然で迷わず東京に出て来て就職したという。

 

 

 

 


上京当時は、右も左も分からず大変だったというが、

 

 

1年も経つと、仕事にも慣れ、東京の生活にもようやく馴染んできたという。

 

 

33歳の時、

 

 

仕事帰りに、立ち寄ったバーで知り合った男性と恋人同士にもなった。

 

 

 

 

 

ところが、そんな彼女の体にも異変が起きる。

 

 

最初の異変は、彼氏の一言だったという。

 

 

「胸の中に、小さい石ころがあるみたい」

 

 


自分で触ってみると、確かに小さなシコリが分かる。

 

 

そこで心配した彼女は、仕事を早引きして、近くの病院で検査したという。

 

 

検査結果が出るまでは、仕事も思う様に手につかなかった。

 

 

 

 


幸いにも、結果は「良性」!だった。

 

 

彼女も彼氏も、ホット胸をなでおろし、彼女は普段の生活に戻った。

 

 

 


しかし、それから半年後の事だったという。

 

 

夜中に、胸が痛くなって、起きた。

 

 

胸を見て見ると、右胸のシコリがあった場所が、

 

 

少し窪んでエクボみたいになっていたという。

 

 

 


さすがに、今度は痛みが伴っていたし、

 

 

本で調べるとエクボの様になっていたら要注意と書かれていたので不安になり、

 

 

大きな病院で検査してもらう事にした。

 

 

 

 


すると、医者から告げられたのは、

 

 

乳がんだったという。

 

 

それもリンパ節への転移があり、ステージは2Bと告知される。

 

 

転移があると聞いて、彼女は倒れそうだったという。

 

 

その日は、彼氏の家で一日中泣いたという。

 

 

 

 


手術で乳がんを取り除く事になったのだが、

 

 

彼女が意外と思ったのは、翌日にもすぐ手術だと思ったら、

 

 

手術は3週間後だという。

 

 

さすがに、言わなかったが、

 

 

そんなに待って、他に転移したらどうするんだと言いたかったという。

 

 

その後、右乳房のシコリと、その付近も取り、

 

 

脇の下のリンパも切除して、手術は一応成功したという。

 

 

 

 


しかし、それで終わりでは無かった。

 

 

 

 

 

彼女いわく、そこからが一番辛かったという。

 

 

手術の後、退院してからは毎日リハビリして、右腕が上がる様に訓練したという。

 

 

次に、術後1ヶ月経った頃から、放射線治療を始めたと言う。

 

 

そして、それが終わったら、抗がん剤治療が始まった。

 

 

髪の毛が抜け始め、ちょっとした臭いでも吐き気をもうようしたという。

 

 

また、彼女はガン保険に入っていなかったので、

 

 

この頃は病院代や治療費が結構かかり、その度に彼氏と喧嘩になる事も多くなり、

 

 

やがて、彼氏に若い彼女さんが出て来て、別れたという。

 

 

抗がん剤治療で、一番苦しい時に、彼女はプライベートでも最悪な状態となったのだ。

 

 

何度も抗がん剤治療を止めようと思ったらしいのだが、

 

 

その都度、看護婦さんに励まされて、続けたという。

 


彼女はそんな良い看護婦さんに見守られて、頑張った。

 

 

そして3ヶ月以上にのぼる苦しい抗がん剤治療を乗り切ったのでした。

 

 

 

 


幸い彼女の職場は理解のある所で、

 

 

退院した3日後には、再び元居た職場で働き始める事が出来たという。

 

 

 


この時点で完治していれば、ハッピーエンドで終わり、

 

 

私との出会いも無かったはずなのだが・・・

 

 

 

 

 

 

無情にも、退院から1年と2ヵ月が過ぎた定期健診で、医者から、

 

 

精密検査をしてみましょうと言われたのである。

 

 

 

その結果、

 

 

 

 

 

肝臓骨盤(骨)にガンの転移が確認されたという。

 

 

ステージⅣの末期ガンだった。

 

 

余命半年。

 

 

 

 

 

 

 


そう医者に告げられた3日後の夜。

 

 


彼女は私に電話してきたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「今まで、頑張ってきましたが、

 
 もう私、      ダメです。」

 

 

 

後半は、明日のブログに続く。