●消えた指輪

 

 


これはある家族に起きた不思議な出来事である。

 

 


仮に、この家族を大橋さんとしておきます。

 

 

大橋さんご夫妻には、3人の子供が居て、

 

 

長女はすでにOLさんで、次女も大学生。

 

 

長男はやや年齢が離れていてまだ中学生だった。

 

 

家族5人が一つ屋根の下、幸せに暮らしていました。

 

 

 


ところが、そんなある夏の日、

 

 

お母さんが、背中が痛いというので、医者に行くと、

 

 

急性の癌に侵されているいる事が分かったのである。

 

 

 

しかもあちこちに転移していて、既に手遅れ状態で、

 

 

発見から僅か2ヵ月で亡くなってしまったのである。

 

 

 


葬式をすまし、火葬の段階である事が問題になりました。

 

 

それは母がしていた結婚指輪をどうするかという事でした。

 

 

火葬場によっては、貴金属類はいっさい焼く棺の中には入れてはいけない

 

 

という場所もあるのですが、この火葬場にはそういう決まりは無かったそうです。

 

 

父は、指輪は母さんが一生大切にすると言っていたので、

 

 

もし、お前たちが要らないなら、一緒に焼いてあげようと言いました。

 

 

OLの長女も、大学生の次女も、母親がしていた指輪にはまったく興味が無く、

 

 

結婚指輪なら、彼氏に貰いたいから要らないと言い、

 

 

このままお母さんに天国に持って行ってもらおうという事になりました。

 

 

 

 


ところが、その時長女が思い出した様に、

 

 

「そう言えば、会社の同僚で同じように母親を火葬した時に、

 

 遺灰の中に母親がしていた指輪だけが無かったので、

 

 随分嫌な思いをした。という話を聞いたというのです。」

 

 

確かに昔の火葬場では、職員が取るとか、そういう事もあったらしいのですが、

 

 

長女の話では、つい半年前の事だったそうです。

 

 

 


そこで家族は、考えた結果、火葬の時は、指輪を外し、

 

 

納骨の時に、骨壺と一緒に埋葬してあげようという事になりました。

 

 

その方が、指輪も綺麗に輝いていて、お母さんも喜ぶだろうと。

 

 

それで、母の指から指輪を外すと、封筒に入れ、父がそれをポケットに入れました。

 

 

 


やがて、納骨の時がやってきて、

 

 

母の指輪を骨壺と一緒に埋葬する日の朝、

 

 

父親が火葬の時の洋服のポケットをいくら探しても指輪が無いと言うのです。

 

 

これは一大事ということで、子供3人も総動員で家中を探しました。

 

 

しかし、いくら探しても見つかりません。

 

 

母の指輪が、この家から消えてしまったのです。

 

 

 


その後、何年も大晦日の大掃除の時にも探したそうですが、

 

 

お母さんの指輪が出て来る事は無かったそうです。

 

 

 

 

 


この様に、家の中にある物が、突然無くなるという現象は、

 

 

霊能者に聞くと、色々と原因はあるそうです。

 

 

■例えば、自然霊が関係しているケースや、

 

■狐霊がいたずらで隠したケース。

 

 

そう言えば、作家の佐藤愛子先生にも物が突然無くなるという現象があったそうです。

 

 

当時娘さんと2人で暮らしていた平成元年の八月末

 

 

山荘に居て、電話をかけようと、いつもストーブの上に置いてある

 

 

コードレス電話を使おうとすると、それが無いというのです。

 

 

きっと娘が寝室に持っていたのだろうと思い聞くと、私は知らないわと言う。

 

 

それから家中を二人で探し回ったのだが、出てこなかったという。

 

 

夏場だけ来る山荘なので、余り物が無い訳だから、

 

 

見つかるのは時間の問題だと当初は思われたが、

 

 

結局、あらゆる引き出しを探しても出てこなかったという。

 

 

もう探す所が無くなってしまい、それでも諦めきれずに、

 

 

ソファのクッション1つ1つを剥いて中を調べたと言う。それでも見つからず、

 

 

次は長椅子のソファのクッションを外して、調べ始めたという。

 

 

すると、そのソファの手がようやっと入る隙間に電話あったというのだ。

 

 

なんで、こんな所に!

 

 

しかも、座っている時に、するりと電話入ったのかと思い、

 

 

電話をその隙間に入れてみようとしても、大きくと隙間から入らないという。

 

 

怖いという言うよりも、二人は呆気にとられたという。

 

 

気がつくと夕闇が迫っていて、娘さんがお腹が空いたというので出掛ける事に。

 

 

しかし、今度は車のキーが無いと言うのだ。

 

 

キーはいつも丸盆の中に置いているはずなのだが、それが無い。

 

 

いくら探しても無いのだという。

 

 

すると娘さんが、そういえばスペアキーが寝室にあるから持ってくると言う。

 

 

娘さんが、スペアキーを手提げの中に仕舞ってあったのを気がついたのだ。

 

 

ところが、娘さんが、手ぶらで戻って来た。

 

 

あるはずのスペアキーが見つからないというのだ。

 

 

 

 

 

その時、ふと佐藤愛子さんは思ったという。

 

 

もしや?

 

 

そう思って、先ほど電話が見つかったソファの所に手を突っ込んでみたという。

 

 

すると、指先に金属の感触があった。それも2つ。

 

 

なんと、ソファの袋になっている所に、車のキーが2つあったという。

 

 

その時、佐藤愛子さんが思ったのは、

 

 

この山奥の山頂の一軒家で、電話も出来ず、車で山を下りる事も出来ない。

 

 

そんな状況に私達を追い込む意図だったのだろうか。と不安に思ったという。

 

 

彼女は娘さんと急いで車に乗ると、不動明王のお札を持ちながら、

 

 

「南無大日大聖不動明王!」と力を籠めて唱えた。(新潮45より)

 

 

 

 

 

 

■また、亡くなった親族の霊や守護霊が物を隠すというケースもあります。

 

 

それは何か後の為になる事での意図で、愛情だったりするそうです。

 

 

 


これは個人的な事ですが、

 

 

昔、私は目が悪くなった時がありました。

 

 

眼科に行くと、メガネを作った方がいいという事になり、

 

 

私は5万円を工面して、メガネを買いに行く事になりました。

 

 

ところが、家を出ようとする時に、用意した5万円が見つからないのです。

 

 

5万円といえば大金です。使えば分かるし、ちゃんと封筒に入れたので、

 

 

捨てる訳もなく、一人暮らしですから、他の家族が取る事も無いのです。

 

 

結局私はメガネを買うのを諦めました。

 

 

それまで暮らせてきたのですから、なんとかなると思ったのです。

 

 

それから、5年位経った時です。

 

 

ある日、昔買ったゴルゴ13の漫画を、再び読んでいると、

 

 

なんと、その漫画雑誌の中から封筒が出て来たのです。

 

 

それも、中には、5万円が・・・

 

 

不思議な事ですが、その5万円を見つけた時、

 

 

私の視力は回復していて、もうメガネは必要としなくなっていました。

 

 

 


霊能者いわく、

 

 

亡くなった親族の霊が、その人の為に意図的に隠して、

 

 

後に必要となる時に、出してくれる事があるそうです。

 

 

もし、貴方にも、ふとした場所からお金が出て来る様な事があったなら、

 

 

それは、もしかしたら貴方を見守ってくれている霊が、

 

 

無駄遣いしそうになった時に、隠してくれていた物かもしれませんよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、先に話した、消えた指輪の話にも続きがあります。

 

 

母親が亡くなり、埋葬の時に消えて指輪ですが、それが出て来たのです。

 


それは指輪が消えてから10年後の事だったといいます。

 

 

 

 


当時中学生だった息子さんは、社会人になっていたのですが、

 

 

バイク事故で、やや右足が不自由になっていたそうです。

 

 

事故の時の入院で、勤めていた会社を辞めて、

 

 

現在新しい所に勤めているものの、年収は200万円をちょっと超える位。

 

 

そんな彼でしたが、事故前に付き合っていた彼女がいて、

 

 

事故後のリハビリもずっと付き合ってくれて、

 

 

足が不自由になり、良い会社も辞めたのに、彼を捨てずに、

 

 

彼と結婚すると言ってくれたのでした。

 

 

生活も苦しかったので、婚約指輪も無く、結婚指輪も高い物は買えない状況。

 

 

 


父親にお金の工面をお願いしに実家に行った時でした。

 

 

父親がいくらあるのか通帳を調べてみると、その箱の一番下に封筒が・・・

 

 

調べて見ると、あの時消えた母親の指輪が入っていたというのです。

 

 

 


当時、ここも当然調べたはずでしたが、なんでこんな所に・・・

 

 


現在、母親の指輪は、

 

 

長男のお嫁さんの指で。輝いています。

 

 

それは、まるで母親が息子の将来の為に、隠したかの様でした。

 

 

 

 

 


「こんな、ふつつかな息子ですが、どうかよろしくお願い致しますね。」

 

END