●家族未来

 

 


霊能の世界では、

 

 

亡くなった人が、少し先の未来を予知する事があります。

 

 

 

 

でもそれは、普通の予知とはちょっと違います。

 

 

例えば、来年どこどこで、大地震があります。とか、

 

 

今度の大統領は、誰々です。という予知ではないのです。

 

 

 

 


では、亡くなった人が予知する未来とはどんなものでしょうか。

 

 


私がよく聞くのは、家族未来です。

 

 

家族未来とは、その亡くなった子の家族に関する未来です。

 

 

では、家族未来とはどんなものでしょうか。

 

 

今日はその1つの例を、お話しいたしましょう。

 

 

 

 

 

 

これからお話しするのは、私がアメリカに居る時に、

 

 

霊能者の方から聞いた事です。

 

 

 

 


ある時、

 

ややうつ病ぎみの奥さんを連れて、ご主人が相談に来られたそうです。

 

 

結婚する前から、奥さんはとても子供が好きで、

 

 

最低二人は欲しいわねと、常々話していたという。

 

 


しかし、結婚後、3回の流産。

 

 

そして、やっとの事で産まれた子も、わずか8ヵ月で亡くなってしまったのです

 

 

そんな落ち込んでいる彼女に、追い打ちをかけるように、

 

 

産婦人科の医師からは、もう出産する事は出来ないだろうと宣告されてしまったのです。

 

 

それからは、家でボーっとしている事が多くなり、うつ病ぎみになったという事でした。

 

 

 

 


もう子供が産めないという事もショックだったと思いますが、

 

 

旦那さんいわく、せっかく産んだ子供なのに、満足な体に産んであげられなかった事を、

 

 

自分のせいの様に、亡くなった子供に対して、

 

 

とても申し訳なかったという気持ちがある様だといいます。

 

 

 

 

 

 


そんな話を聞いたあと、霊能者の方が彼女の霊視に入りました。

 

 

 

 

 


少し経つと、小さい魂を感じ始めたといいます。

 

 

小さい女の子です。 

 

 名前をAlyssa(アリッサ)と言っています。」

 

 

 

この時点でもう、

 

 

相談者の夫妻は、霊能者が、確かに自分の子供と話しているのだと信じたといいます。

 

 

なぜなら、ここまで亡くなった子が女の子だった事も、

 

 

名前がAlyssaだった事も、霊能者には言って無かったからです。

 

 


その後、女の子の魂は、こう伝えて来たといいます。

 

 

「ママに伝えて下さい。

 

 ママは全然悪く無いの。

 

 だから、悲しまないで・・・」

 

 


「私はとっても、とっても幸せだったのよ。

 

 亡くなる時、ママにギューって抱かれたの。

 

 何分も、何分も、ギューって、抱いてくれたの。

 

 そして、ママは沢山、沢山、私の為に泣いてくれたよね。

 

 

 私はこんなにも愛されて、とても幸せだったのよ。」

 

 

 


そして、女の子の魂は、最後に不思議な事を言って消えたといいます。

 

 

それは、

 

 

ママの子は、Sydney(シドニー)よ。」

 

 

 


その謎の言葉は、霊能者の方もどういう意味なのか分かりませんでした。

 

 

 


もちろん、言われた夫妻も、どういう意味なのか分かりません。

 

 

もしかしたらと思い、その後いくつかの産婦人科に行って診てもらいましたが、

 

 

やはり、どこに行っても、妊娠は不可能だと言われたそうです。

 

 

 


シドニーというのは、名前じゃなくて、地名ではないかとも思ったそうです。

 

 

オーストラリア最大の都市が、シドニーで、その綴りも同じSydneyだったからです。

 

 

でもどう考えても、シアトルとオーストラリアでは、距離が離れすぎています。

 

 

一度は行きたい国ではありますが、そんなお金もありません。

 

 

 

 


それから数年が過ぎ、

 

 

霊能者から言われた事も、忘れていた頃でした。

 

 

 

 

 


彼女の唯一得意だったのは、クッキーを焼く事でした。

 

 

子供が生れたら、一緒に作ろうと夢見ていたのです。

 

 

今は、作っても近所の子供にあげるくらいです。

 

 

自分の子供にあげられない悲しさを、他の子供の笑顔で我慢していたのです。

 

 

ただ、おばさんのクッキーは美味しいという評判にはなっていたといいます。

 

 

 

 

 

そんなある時、

 

 

どこで話が廻ったのか分かりませんが、

 

 

教会の神父さんから、復活祭でクッキーを焼いてもらえないか。

 

 

というお話が寄せらえたといいます。

 

 

 

 

そんな話を頂いたのは、初めてでした。

 

 

ただ、子供達を喜ばせるクッキーを作るのだけは自信がありました。

 

 

ウサギの形のクッキーやら、卵の形のクッキー。

 

 

すぐにどんなクッキーを作るか頭に浮かんだと言います。

 

 

だから、神父さんからの電話に二つ返事でOKしました。

 

 

 

 

こうして彼女は、教会での復活祭用のクッキーを何百個も焼いて作りました。

 

 

そして当日、車に沢山のクッキーを持って教会に向いました。

 

 

 

 


教会には、沢山の子供が来て、

 

 

彼女が作ったクッキーも大好評。

 

 

 

みんな美味しい。美味しいと何個も手に取って持っていきました。

 

 

ところが、教会の入り口付近で、一人だけ座ったままの黒人の女子がいました。

 

 

歳は3歳くらいでしょうか。友達もいる様子でも無く、ただ寂しそうに座っていました。

 

 

彼女は、一段落すると、ウサギのクッキーをニ三個包み、

 

 

その子の近くに行き、「おばさんのクッキー美味しんだから。」と言って渡しました。

 

 

黒人の女の子は、それを受け取ると、お礼も言わずに食べ始めたそうです。

 

 


やがて、教会でのミサも終わり、子供がたちが帰る時間となりました。

 

 

責任者らしき女性が、子供達を集めています。

 

 

 

 

彼女も余ったクッキーを、箱に入れようとした時でした。

 

 

 

子供達が帰ろうとしているさなか、あの黒人の女の子が、

 

 

彼女の右足にしがみついているのです。

 

 

 


「あら、どうしたの?」

 

 

彼女が困っていると、責任者らしき女性が近づいて来て、

 

 

「もう帰るわよ。いらっしゃい。」

 

 

そう言っても、女の子は彼女の右足を抱きしめて放さなかったといいます。

 

 

やがて、責任者らしき女性が言った言葉に衝撃を受けたといいます。

 

 


「早くいらっしゃい!! Sydney!!」

 

 

 


「えっ、この子、Sydneyっていうの?」

 

 


その瞬間、彼女は涙を流したといいます。

 

 

「あなたがSydneyなのね。 ホントにSydneyなのね。」

 

 

 

 


その日、教会には児童養護施設の子供達が来ていたそうです。

 

 

その一人が、黒人の女の子で、Sydneyでした。

 

 

生活苦からか、施設の前に捨てられていた子だったそうです。

 

 

 


やがて、夫妻はその子を養子にする事に決め、一緒に暮らしはじめたといいます。

 

 

愛する我が子Sydneyとして・・・

 

END