●捨てられたシーズー
このお話は、昨日のブログ(●眼帯の男)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12295891144.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
これはペットを飼っている家に起こった出来事である。
私が千葉に越して来て、5・6年が経った頃の電話相談でした。
仮に彼女の名前を、菊田さん(仮名)としておきましょう。
当時、菊田さんの家は、ペット可の都内の賃貸アパートにお住まいとの事でした。
ペットは一匹のワンちゃんで、名前を太助(たすけ)といい、
犬種は、シーズーだという。そんな太助は、とてもお利口で、無駄吠えもせず、
もう飼い始めて5年というのに、病気ひとつせず元気だったといいます。
ところが、ある日を境に、この太助が変貌したと言うのです。
それは今から約1週間前の事、
仕事で一人の男性が、菊田さんの家に来た時からだったという。
その男は、眼帯をかけており、背がひょろっと高く、背広着ていたが、
奥さんから見ても、何となく陰気に感じたという。
その男性が、家の中に入って来て、仕事上、家の中のあちこちを見て回り、
10分位家の中に居てから帰っていったというのだが、
普段、お客にもすぐに寄って行く太助が、その男性にはまったく近寄らず、
むしろ、その男性に脅える様に、彼から逃げる様にして他の部屋に避難したという。
そして、その男が玄関で帰ろうとした時、太助が盛んに吠え出したのだ。
普段はまったく吠えない太助が、こんなに吠えたのは今まで見た事が無いという。
それはまるで、その眼帯の男に悪い霊でも憑いていて、
太助にはその霊が見えていて、怖がっている様にも見えたという。
太助の異常行動は、それ以後も続いていて、
もうあの眼帯の男がいないのに、誰も居ない所に向って吠えたり、
今まで私に吠えた事が無いのに、私に何か伝えたいのか盛んに吠える事があるという。
そして、吠え疲れてケイレンする時もあるというのだ。
食欲も無くなり、心配して医者に連れて行っても、特に悪い所は無いという。
彼女いわく、あの不気味な眼帯の男が来た時、
何か悪い霊でも憑いていて、その悪い霊をウチに落としていったのではないでしょうか?
と不安がった。そんな電話相談だった。
さて、菊田さんのお話を聞いていて、
まず思うのは、やはり眼帯の男の存在である。
なにしろ、眼帯の男が家にやって来てから、太助がおかしくなったのは間違い無いのだし、
太助も明らかに、眼帯の男を恐れていたからである。
その点は、眼帯の男自体が、犬の勘に障る人物だったり、
眼帯の男に変な霊がついていたりしたのかもしれない。
だから太助が吠えたり、様子がおかしくなったりしたのだろうと思った。
ただ、占い師として、一番気になるのは、
やはり、そんな眼帯の男が帰って後も、太助の様子がおかしいという点である。
普通は、危険人物が帰ったら、元の太助に戻ってもいいはずである。
もしかして、その眼帯の男は、菊田さんの家に、何か置いていったのか聞いてみたが、
特に何も置いていかなかったというのだ。
眼帯の男は、菊田さんの家にものの10分位居ただけで、帰って行ったという。
眼帯の男が帰って後も、太助の様子がおかしいという。
私は、そこに何かこの謎を解くカギがある様な気がした。
まず、考えられるのは、相談者の菊田さんが、心配されていた、
眼帯の男に悪い霊がついていて、その霊が眼帯の男から落ちて、
悪い霊が、菊田さんの家に今も居るという現象である。
確かにそういう事もあるだろう。
では、もしそうなら、
いつ悪い霊が眼帯の男から落ちたのだろうか。と考えてみた時、
「その男が玄関で帰ろうとした時、太助が盛んに吠え出したのだ。
普段はまったく吠えない太助が、こんなに吠えたのは今まで見た事が無いという。」
という菊田さんの証言があった。
つまり、もし眼帯の男に悪い霊が憑いていたとすると、
それに気がついた太助が、男が帰ろうとした玄関で、盛んに吠え出したのだから、
当然、悪い霊も、眼帯の男と共に、その時玄関に居たと思っていいだろう。
そこまでは、いいとして、その後、
眼帯の男に憑いていた霊に向って吠える太助。
そして、男はそのまま帰っていったが、自分に対して吠える太助をみて、
悪い霊だけ、その玄関に残って、菊田さんの家に今も居続けているという事になる。
そこがちょっと納得出来ない点である。
なにしろ、もし悪い霊が眼帯の男についていたのであれば、
それなりの理由があるはずである。例えばその悪い霊が眼帯の男に怨みがあるとか、
眼帯の男と同じ気持ちを持っているとか・・・
それなのに、その眼帯の男から離れて、自分に対して敵視丸出しの犬が居る玄関に、
眼帯の男から離れて、残る理由が無いのだ。
むしろ、家を守ろうと吠える犬から離れたいのが人間の心情だろう。
もし、皆さんだって、玄関の所で、急に犬に吠えられて来たら、
ビックリして帰ろうとするだろう。
そんな自分に敵視丸出しの犬がいる玄関に残らないと思う。
それは、私達人間も霊も、同じ人間同士だったので、
霊になっても、同じ様に思うものなのである。
つまり、眼帯の男に悪い霊が憑いていて、それが落ちたのでは無いんじゃないかと思った。
では、太助はなぜ眼帯の男に吠えたのか。
なぜ、眼帯の男が帰った後も、吠え続けてたり様子がおかしくなったのだろうか。
この時点で、さっぱり理由が分からなかった。
ただ、眼帯の男が何かしら関係している事は、間違い無いだろう。
なにしろ、彼が来てから、太助がおかしくなったのだから。
そう思った時、
私は、根本的に1つずっと気になっていた事があったのに気づいた。
そもそも、その眼帯の男って、誰?
何しに、そんな家の中に10分も入って来て、また帰って行ったの?
それを聞いて無かったのに気がついた。
「あのう。
その眼帯の男の人って、誰ですか?
どんな用件で、貴方の家に10分もあがり込んでいったのですか?」と聞いてみた。
すると、菊田さんは、その眼帯の男は、
引っ越し業者の方で、料金の見積もりに来た人だという。
私はそれを聞いて、何か心に響くものがあった。
ペットがおかしくなるという現象と、
「引っ越し」というワードが、心の中で結びついたのだ。
実は、引っ越し(環境が変わる)という出来事は、
私達人間にとって、さまざまな感情の変化を起こす。
例えば、新しい地に行くウキウキとした期待感が湧く人や、
新しい地に行きたくないという不安感があったりと、人様々である。
そして、それはペット達に対しても例外では無いのである。
皆さんは、きっとペットは、引っ越しの事など分からないだろうと思っているだろうが、
ペットの中には、霊感の強いペットや、人間の言葉が何となく分かるペットがいたり、
ご主人たちが、荷物の整理をしていたりするのを見ていて、どこか行くのかな。
ああ、また旅行に行くのかなとか、引っ越すのかなと想像するのだ。
だから、引っ越しの時に限って、おかしくなるペットが時々居るのである。
そこで、菊田さんに、
「私の経験上、多分、貴方が引っ越す事を、
太助が読み取って、おかしくなったのではないでしょうか。」と言った。
すると、菊田さんは、こんな事を言ったのである。
「ああ、そうなんですね。
だから太助がおかしくなったんですね。」と言って、こう続けた。
「実は太助、
ある里親を募集していた譲渡会で譲り受けた犬だったんです。」と言う。
前に飼っていた飼い主が、ペット不可のアパートに引っ越すという事になり、
太助は捨てられたのだという。
なんと太助は、過去に引っ越しの時に、捨てられた経験があったのだ。
多分、太助は、ご主人たちが引っ越す様だと感じ取ったのだろう。
そして、
また、自分が捨てられると、思ったのかもしれない。
それは人間だって同じである。
もし、自分が家族から捨てられるかもしれないと思ったら、太助の様に、
泣いて、泣いて、食欲も無くなってしまうかもしれない。
私は菊田さんに、こうアドバイスした。
これから引っ越す一軒家には、もう入れるという事なので、
■まず、これから引っ越すまで、太助の目を見ながら、
「これから、お前も一緒にみんなで新しい家に引越すんだよ。」と話しかける事。
■可能なら、引っ越し先に何度か助けを車で連れてってやり、
「ここが、新しい引っ越し先だよ。」って言って、新しい場所の臭いをかがせてあげる事。
菊田さんは、翌日すぐに太助を、車に乗せ、引っ越し先を見せに行ったそうです。
すると、その日から段々と、太助は落ち着く様になっていったという事でした。
「一緒に引越そうね。太助!」
「ボクも、連れてってもらえるのですか?」
ボクも、行っていいの?」
「当たり前でしょ。家族だもん。」
END