●モンブラン
このお話は、昨日のブログ(●知らない老人が頻繁に夢に出て来る)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12268667614.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
これは、あるご夫婦から聞いた不思議な出来事です。その不思議な出来事が起きたのは、
まだ二人が結婚する前で、恋人だった頃の事でした。
恋人と言っても、もう既にお互いの両親には紹介済で、
この頃は、もうお互いの実家に頻繁に行き来する仲でした。
そんなある時、1週間ほど彼が彼女の実家で泊まる時があったそうです。
彼女の家は、かなり大きく昔から大地主さんだったという家で、
部屋数だけでも12もあるいう豪邸でした。
彼が泊まった1週間の間には、変わった事は起きなかったといいます。
むしろ不思議な現象が起き始めたのは、彼が自宅に帰ってからだったのです。
彼が自宅に帰宅した翌週の夜の事です。彼は変な夢を見たといいます。
それは、夢の中に頭がはげていて、あごに白い長いヒゲをはやした老人が、
机の前で、何かを一生懸命書いているのです。
ただ、ただ、夢に出て来て、ものを書いているのです。彼に何かを言うでも無く、
彼の方を睨むでもなく、ただ何かを一生懸命に書いているだけなのだそうです。
そんな老人が出て来る夢を、毎回見るのです。2日に1回は夢に出て来るといいます。
しかし、彼には、その頭の禿げた、顎に白い長いヒゲをはやした老人など、
まったく心当たりがありません。彼の両親に聞いても、
まったく思い当たる老人はいないといいます。やがて、彼も次男だった事もあり、
半年後の6月に、彼が婿養子に入るという事で二人は結婚しました。
すると、その日からピタリと、夢にその老人が出なくなったのです。
「やれやれ、助かった。」と彼は思ったそうです。
そして、彼女に、実は今までこんな夢を毎回見て悩まされていたんだと話しました。
彼女は、頭が禿げて、顎に長い白いヒゲをはやしていると聞いて、もしやと思って、
彼に昔のアルバムを見せました。すると「あっ、この人!!」と叫んだそうです。
なんと、彼の夢に出てきたのは、30年前に亡くなった、彼女の御祖父さんだったのです。
二人はその不思議な出来事に驚いたといいます。そして、ある時、彼女が、
占いの相談を私にしてきた時に、実は、こんな不思議な縁が恋人時代にあったんですよ。
これって、御祖父さんのお導きでしょうか?って、私に相談してきたんです。
確かに、一見これは二人の縁を導いた様にも見えます。でも何か違うなって感じたんです。
■まず、夢を見始めた時って、もう二人は泊まりに行っている仲ですよね。
だから、御祖父さんが二人の縁を結んだという功績は無い訳ですよね。
■次に、彼はどちらかというと、「やれやれ、助かった」と言うほどですから、
迷惑して困っていた状態だった訳です。
だから、なんか、御祖父さんのお導きとは違うなと感じたんです。
普通、同じ人が何度も夢に出て来るというのは、
何か訴えたい事があるからです。
という事は、
彼女の御祖父さんは、彼氏に何かを訴えたかったはずです。
夢の中で、それを言ってくれれば、すぐに分かるのですが、
日本の昔の男性というのは、寡黙な人が多く、
「言わなくても、見て分からんか!」という人が多かったので、
何も言わないで行動だけで見せるという霊も多いのと、
また、その霊が持つエネルギーが映像を見せるだけで精一杯という人もいます。
せめて、そのお祖父さんが、何を書いていたかだけでも分かればヒントになるのですが、
彼は、そのお祖父さんが何を書いているのか、まったく分からなかったといいます。
こうなると、彼が見た夢から判断する事は難しいと言わざるを得ません。
普通は、ここで行き詰ってしまうのですが、
今回の場合、もう一つ手掛かりが有ります。
それは、彼が夢を見始めた時期です。
話に寄ると、彼の夢にお祖父さんが現れ始めたのは、
彼が彼女の実家に1週間泊まった時からだといいます。
つまり、亡きお祖父さんの住まいに泊まってから、
夢の中にお祖父さんが出来てきたのです。
この2つを結び付けて考えない手はありません。
そこで、彼女に聞いてみました。
「彼が実家に1週間お泊りした時、彼は何かお祖父さんにしませんでしたか?」
「何かって、何ですか?」
「そうですね。
例えば、彼がお祖父さんの物を壊したとか、
お祖父さんの機嫌を損ねる様な事をしたとか・・・・」
彼女はしばらく考えてから、
「特に、何もそんな事はしていないと思います。」と言う。
何しろ、1年以上前の出来事なので、忘れている事もあるだろう。
しかし、その時から夢を見始めているのだ。
きっと、1週間お泊りした時、彼は何かお祖父さんにしたに違いないと思った。
でも、彼女は彼は何もお祖父さんにしていないと言う。
当時、彼はお祖父さんが使っていた部屋とかにも、入っていないし、
実家に居る時は、常に私と一緒だったので、それは間違い無いと言う。
またも、手詰まりである。
こんな時、どんな小さな手がかりでも欲しいものである。
こういう時、ワラにもすがりたいと言うのだろうか。
何か小さな手掛かりでもいいから、ないかと考えていると、
あった。
そう言えば、彼は夢の中に出て来るお祖父さんは、何かを書いていたという。
そこで、彼女に、
「彼が1週間お泊りした時と、
お祖父さんが何かを書いている事。が関係している事はありましたか?」と聞いてみた。
「えっ、お爺ちゃんが書いている?ですか。」
彼女はしばらく考えてから、
「あっ!」と言ったのである。
「そう言えば、あの時、
彼に万年筆をあげたんです。」というのだ。
彼女いわく、彼が実家に泊まりに来た時、応接間で音楽やゲームをしたりして、
時間を過ごす事が多かったのだそうですが、
その時、応接間の筆記用具立てに、母の万年筆があったのです。
それは以前、母が私に使いたいなら、いつでもあげるよ。って、
言ってくれていた万年筆でした。
しかし、母も私も万年筆を使うなんて事は全く無く、
今まで、応接間の飾りとして無駄にあっただけでした。
そんな万年筆を見た彼が、かっこいいな。って触っていたので、
使うんなら、あげるよって言ったんです。
私はその話を聞いて、
「お母さんは、その万年筆をお祖父さんから貰ったんですね。」と聞いた。
「はい。」
「どんな万年筆だったか、覚えていますか?」
「よく覚えてないですけど、モンブランでした。」
「モンブラン!」
今の女性の方は、あまり万年筆を使わないので、ピンと来ないだろうが、
モンブランは、万年筆の中のキングと呼ばれているブランドである。
女性なら、エルメスのバックでも貰えば、すぐにピンとくるのだろうが、
モンブランの良い万年筆なら、バックと同じように50万円位するのである。
中古品でも、質屋にもっていけば、10万以上したりする事もある。
彼女の家は、豪邸だという事で、
多分価値のあるお祖父さんの万年筆だったはずである。
つまり、彼が貰った万年筆は、
お祖父さんがお母さんにあげた形見だったのである。
こういう形見には、前の持ち主の念が籠っている事がよくある。
霊障までには、いかない例が多いが、
夢に出て訴えたり、元の場所に帰りたいと訴える事があるのだ。
彼の場合、たまたま養子となって、この家の者になったので、
お祖父さんが夢に出る事は止んだが、
もし、彼女と別れて、万年筆だけが彼の元に残ったりしていたら、
夢が続いたか、他の何かが起きていた可能性もあったのだ。
仮に、養子じゃなくて、彼女が彼の嫁さんになるというケースでは、
どうなったのかは、ちょっと想像がつかないが、
もし、夢が止まないのであれば、一度お母さんに返す必要がある。
この様に、誰かの形見をもらってから、変な夢を見る様になった時は、
一度持ち主に返すか、神社やお寺でお祓いしてもらう必要があったりする。
今回のお話は、結果オーライだった珍しいケースと言えよう。
最後に、せっかくだからモンブランの話をして終わりにしましょう。
先も言った様に、モンブラン(MONTBLANC)とは、
万年筆の最高峰であるドイツの万年筆である。
今の人は、どうか分からないが、
昔の人、特に昭和の男性は、3種の神器と言えば、
■腕時計、■ライター、■そして、万年筆だった。
この3つの小物が男の3種の神器だったのである。
そして、万年筆の中での最高峰がモンブランだった。
1963年、日米初の衛星放送で初めて流れて来たニュースが、
ケネディ大統領暗殺事件だったのは、ショックだったが、
そんなケネディ大統領もモンブランの万年筆を愛用していて、
調印式などで、大切な条約を結ぶ時に使っていたという。
みなケネディにはなれないが、せめて同じ万年筆を使いたいと思った人は多かった。
第96代内閣総理大臣に就任した安倍晋三さんも、
モンブランの万年筆 マイスターシュティックを使っていると言う。
今年の2月、日本映画賞である第59回ブルーリボン賞が発表されて、
作品賞に、 『シン・ゴジラ』
特別賞に、 『君の名は。』が選ばれたのは、記憶に新しい。
もともと、このブルーリボン賞は、1975年、
日本映画がどん底にあえいでいた時に、日本映画復興の願いも込めて、
当時の映画記者達が再スタートさせた賞なのである。
当時、映画記者達は、お金もなく、せっかく選んだ映画賞受賞者にも、
手書きの賞状しかあげられなかった、そこでせめてもと、
その賞状に、青いリボンをつけて復興の願いを込めて渡したという。
それが、後にブルーリボン賞という名前になって今に至るのだ。
そして、余り知られていないが、
現在、そんな記者達の象徴であるペンを、副賞としていて、
受賞者の名前入りのモンブランの万年筆が贈られている。
END