●幽霊の本質
このお話は、昨日のブログ(●結婚したい男性の職業、女性の職業。)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12259685362.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
ある時、お医者さんと結婚されたという方から電話相談が来た。
彼女がお住いの自宅が、かなりの豪邸だという事はすぐ分かった。
場所も高級住宅地にあるという事だった。
駐車場には、車が3台あり、うち一台は彼女専用の車だという。
お子様にも恵まれていて、普通に考えても、玉の輿で何不自由の無い生活である。
ところが、そんな彼女も離婚を考えた事があるという。
まず、彼女がご主人と結婚を決めたのは、当然医者だった事もあるが、
彼の家が、豪邸だった事や、デートの時に、高級車で迎えに来てくれたり、
高級なレストランに連れて行ってくれたり、
また家に招待してくれた時にお父様も医者で、
将来的にもお金に苦しむ事はないと確信出来たからだといいます。ところが、
いざ結婚してみると、まず違ったのが結婚後は急に忙しくなったのかデートどころか、
外食も滅多に連れて行ってくれなくなり、一緒に遠出など皆無だそうです。
例え外食しても、病院から緊急連絡が入って、すぐに病院に戻ってしまった時など、
彼女が一人レストランで取り残され、タクシーで帰った事もあるそうです。
それは家に居ても同じで、年に何回かの休日も学会が入っていたりして出張したり、
休日も昼間は寝て、夜はお付き合いで飲みに行くといいます。
それは子供が出来ても変わらず、家事育児には一切協力は無かったといいます。
そして、お医者さんと結婚すると優雅な生活を期待していたのですが、
それは買ってもらった車だけだったといいます。
車だけは、対面もあり、高価な車を買っていただいのですが、
それ以外の生活費などは、贅沢は出来ない状態だったそうです。
なぜなら、医者になったからには、大きな病院を建てる資金を貯めたり、
良い医療器具を買う為の予算に当てたり、
生れて来た息子を医大に通わせる為の貯金だったりと、
とにかく将来の為にと、彼女が贅沢出来るお金など無かったそうです。
そして、この息子を医大に通わせるという考え方にも、かなり抵抗があったそうです。
まだ生れて1歳にもなっていないのに、将来の道が決まっているのはどうなのか。
この事を話題にした辺りから、姑と何かとあたる事が多くなったそうです。
元々、姑さんは、ハッキリ物事を言うタイプの人で、自分も今までそうだったから、
貴方もこの家に来たら、こうしないさい。と言う人だったという。
一度対立してしまうと、お義父さんも夫も、忙しくて家に居ない時が多いので、
とにかく家には、姑と彼女だけになってしまい、よけい気まずくなっていったという。
それでも、何とか姑の顔を伺いながら、子育てしていたそうです。
しかし、息子さんが幼稚園に通う頃になってから息子への教育の口出しも激しくなり、
それでも少しは姑の意見も取り入れて来たつもりだったそうですが、
ある時、私には内緒で、夫に「あの女とは離婚したら」と言ったのです。
それはある時、夫とちょっとした口論になった時に、
「だから、母さんから離婚したら。なんて言われるんだよ。」と言われ、
初めて、姑はそんな事考えていたんだと、愕然としたそうです。
また、彼女は昔から、日記をつけていたのですが、ある日、
その日記の位置が微妙に動いていたそうです。それでこれは絶対姑が盗み見たと思い、
翌週、見られない様にと、小さい金庫みたいなものを買って、
そこに日記やら印鑑やらを仕舞う様にしたそうです。
すると、その事がまた新たな火種となり、姑との対立が激化したそうです。
彼女とお姑さんは、家族がいる前では話す事もありましたが、
昼間二人きりになると、ほとんど会話をする事が無くなったといいます。
仕舞いには、台所を少し整理して、お姑さんはお姑さん専用の冷蔵庫を買い、
台所の使用時間を別々に決めるなどして、
日中は、台所でも顔を合せない様になったそうです。
こうして、お互いのご主人が仕事に行った後は、
二人は会話を交わす事がほとんど無い生活が2・3ヶ月続きました。
そんなある日、
悲劇は起きたのです。
それは、息子を幼稚園に迎えに行く時の事でした。
ちょっと遅れ気味だったので、急いで用意して1階に走り降りました。
昨日も遅刻気味だったので、今日は絶対定時にお迎えに行かなければと、
少し焦ってもいたのです。
階段を2段飛ばしで降りて、靴を履いている時でした。
1階のお義母さんの部屋から、私を呼ぶ声がしたのです。
私は急いでいた事もあり、靴を履きながら、振り返りもせず、
「何ですか? お義母さん?」と聞くと、
「タクシー、呼んで。」と言うのです。
内心、なんで私が、この忙しい時に・・・と思いました。
そして、
「すみません。今、お迎えに遅れそうなので、
ご自分で呼んでもらえますか。」
と言って、そのまま出て来てしまったのです。
息子のお迎えは、何とか間に合い、
それから息子と一緒に、スーパーに買い物により、家に帰りました。
私は台所に行き、冷蔵庫を開けている時でした。
息子が居間で、「おばあちゃん!」と叫んでいる声が聞こえ、行ってみると、
お義母さんが、今の電話機の前で倒れていたのです。
直ぐに救急車を呼んで、病院に運ばれましたが、
お義母さんは、助かりませんでした。
クモ膜下出血でした。
あの時、私がタクシーを呼んであげていたら・・・
あの時、私がお義母さんの様子を見てあげていたら・・・・
それよりも、あの時、私が救急車を呼んであげていれば・・・
お葬式の間も、ずっと放心状態だったという。
夫やお義父さんは、私に気を使って、気にするなと言ってくれましたが、
それはあの日の真実を知らないからでした。
私もどうしても、あのタクシーの一件を夫に伝える機会が無いまま、
あれよあれよという間に、お義母さんが危篤となり、亡くなり、
葬式になり、納骨となる中、あの日の真実を言えないまま時が過ぎてしまいました。
しかし、お義母さんが亡くなってから3ヶ月が過ぎた頃から、
何度も夢を見る様になったのです。
それは、あの時と同じ様に、お義母さんが「タクシーを呼んで」という場面です。
そして、家の中でも、
お義母さんが私を見ている視線を感じるんです。
特に私が、お義母さんが電話機の前で倒れていた居間に居る時や、
仏壇がある畳の間に居る時、そして、ガレージで車に乗る時に、
後ろから、お義母さんが私を見ている視線を感じるんです。
そして、一度だけですが、息子が居間でおばあちゃんの幽霊を見たと言いました。
怖いです。
きっとお義母さんは、私を怨みながら居間の電話機の前で倒れたに違いありません。
今でも、お義母さんは私を憎んでいるのです。
私が夫やお義父さんに、あの日の真実を言わない事にも、怒っているのです。
きっとそうに違いありません。
最近は家に独りで居るのが怖くて、
息子を幼稚園に連れて行くと、そのまま外で時間を潰す事が多いんです。
そして、テレビを見ていても、
画面にタクシーが出てきたり、タクシーという言葉を聞くと、
思わずドキッとして、しまうのです。
私は、どうしたらいいのでしょうか?
教えて下さい。助けて下さい。
そんな様な電話相談でした。
私は彼女の話を聞いていて、
現場には行っていないのですが、お義母さんの霊は居ると思いました。
視線を感じるという3ヵ所の場所も、いずれも出る可能性が有りそうな場所だし、
お義母さんが亡くなった時の事情や、息子さんの幽霊の目撃などを考えると、
やはり、お義母さんの無念の気持ちはあったに違いありません。
そんなお義母さんの無念の気持ちと、
彼女の自分がお義母さんを殺してしまったという様な、負の気持ちが、
引き合う事があるのです。
私が彼女にアドバイスしたのは、単純な事でした。
それは、
「謝る事です。」(あやまることです。)
「ごめんなさい。お義母さん。」「ごめんなさい。お義母さん。」
「どうか成仏してくださいね。」
と、視線を感じた時は、手を合わせて声に出して言ってあげて下さい。
心から謝って下さい。
そばに誰か居る時は、心の中で言ってあげて下さい。
そして、仏壇にはお水とお花とお線香を毎日あげて、
お義母さんが好きだったものを供えてあげましょう。
最初は怖いかもしれませんが、怖いと思わず、
亡くなったお義母さんは、貴方に甘えていると思って下さい。
熱心に供養してくれるのは、貴方だけなので頼って来るのだと思って下さい。
お義母さんが好きだった物が食卓に並んだら、
一番先にお義母さんに、食べてもらいましょう。
お茶を飲む時も、一番最初にお義母さんに飲んでもらいましょうね。
いいですか。今から仲良くなるのです。
今日からでも、貴方とお姑さんは仲良くなれる様に努力するのです。
今からでも決して遅くないのですよ。
すると、彼女は、
「はい、やります。
夫にも、あの日に何があったかも正直に話します。」と言いました。
あの日の事と言うのは、
タクシーを呼ばなかった一件です。
しかし、私はそこだけは反対しました。
「ご主人には、あの日のタクシーの一件は言ってはいけません。
貴方にとっては、あの日の事を隠しているのは辛い事でしょうし、
夫に隠し事をしているのは、良く無いと思うでしょう。
でもね。
男って、貴方が思っているよりも、マザコンな生き物なんですよ。
その時は、許してくれても、
心の奥底で、ずっと、母親を見殺しにした女という気持ちは残るのです。
それが、ふとしたつまらない喧嘩の時に、
普通なら、離婚になど発展しない喧嘩でも、
最後の最後で、母親を見殺しにした女という気持ちが、許せないという背中を押すのです。
特にご主人やお義父さんは、医者です。
日々命を大切に扱う医者です。
言ってはいけません。
貴方は、全てを言って、すっきりするかもしれませんが、
言われた方は、これからずっと、
母親を見殺しにした女と、生活し、老後を一緒に過ごすのですよ。
これからずっと、そんな気持ちにさせていいのですか。
ご主人を愛しているなら、言ってはいけません。
あの時の事は忘れるのです。
いいですね。忘れるのです。」
貴方が、お義母さんに謝り、毎日の様にお義母さんを思って、
心から供養してあげれば、
例え、お義母さんが亡くなった時に、貴方を怨んでいても、
謝り供養をしている内に、段々とその怨みも和らいでいくものです。
いいですか。
お義母さんの幽霊の本質は、
「母親」なんです。
いつの日か、きっと貴方の謝罪と供養は通じる時が来ます。
キツイ視線も温かい視線に代わって来るでしょう。
そして、きっと言ってくれるはずです。
「息子と孫を、頼みますよ。」と。
END