●消された存在

 

 

 


このお話は、昨日のブログ(●「寂しい」寝言)の続きです。

 

 

 

従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12254316057.html

 

 

 


を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ

 

 


奥さんは清楚ないでたちで、大人しそうな方だった。

 

家族構成を聞くと、ご主人と息子さん2人の4人暮らしだという。

 

家の写真を見せてもらうと、結構立派な2階建ての家で、

 

広い庭と駐車場の広さから、私にでも、彼女がセレブであるという空気が感じられる。

 

家族の写真を見せてもらったのだがご主人も優しそうで息子さん達も良い子に見える。

 

そんな彼女の相談は、意外にも、寝言についてだった。

 

最初にそれを指摘したのは、一緒に寝ている夫だったという。

 

「お前、寝言で、寂しいって、何回か言ってたけど、何か変な夢でも見たのか?」

 

と朝食の時に聞かれたのである。

 

その後もご主人は、何度も彼女が寝言を言うのを聞き、

 

「何か寂しい事でもあるのか?」と気にして、医者に行く様に勧めたといいます。

 

酷い時期には、3日に1度「寂しい」(さびしい)という寝言を言ったといいます。

 

でも医者に行っても、特に悪い所は無かったそうです。

 

では、なぜ彼女は占い師に相談しに来たのでしょうか?  私が理由を聞くと、

 

「実は夫に最初に私が寝言で、寂しいと言っていた聞かされた時ドキッとしました。」

 

と彼女は言う。それまで、夫には隠していましたが、数年前から、

 

ずっと普段の生活をしながら、「寂しい」とか「悲しい」と感じていたんです。

 

それが声に出てしまったんだと思いました。

 

なぜ、寂しいとか、悲しいと感じるんですか?と聞くと、彼女も分からないという。

 

だた、何故か分からないが、寂しくて涙が出る時もあるという。

 

普通なら、夫と男の子2人との生活で寂しいはずが無いのに、

 

なぜか「寂しい」という気持ちになるのだと言うのだ。       何か嫌~な感じである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が嫌な感じを受けたのは、

 

 

本来幸せな家庭環境であるのに、寂しいとか悲しいと感じ、

 

 

しかも、自分ではどうして自分が寂しいのか分からないという状態である。

 

 

 

 


こういう場合、彼女自身の魂が、寂しさを感じているのか

 

 

もしくは、何か霊の影響である事が多い。

 

 

 

 


もし、前者の彼女の魂が寂しさを感じているのであれば、

 

 

彼女を含めて誰かが亡くなるのを感じて、寂しいという気持ちになっている事になる。

 

 

例えば、彼女が近く亡くなるから、寂しいとなるのか、

 

 

彼女の夫や息子のどちらかが近く亡くなるのを察知して寂しいと感じているのか、

 

 

それは分からないが、いずれにしろ誰か亡くなるという魂の予感である。

 

 

 

 


そして、後者の場合、誰か亡くなった人の霊が関係していて、

 

 

彼女にそう言わせているのか、そう感じさせている事になる。

 

 

 

 


ここまで話を聞いただけでは、その位までしか分からなかった。

 

 

 

 


そこで、彼女に、

 

 

「数年前から、ずっと普段の生活をしながら、「寂しい」とか「悲しい」と

 

 

感じていたという事ですが、それは具体的に何年までからですか?」と聞いてみた。

 

 

 

 


つまり、彼女は生れた時から寂しいと感じていた訳では無い。

 

 

ある時、急に寂しさや悲しさを感じ始めたのである。それが数年前からだと言う。

 

 

そういう場合、その寂しさが始まった時に、ヒントが隠されている場合が多いのだ。

 

 

 

 

 

すると、彼女は、4年前頃から寂しいと感じ始めたという。

 

 

「では、その4年前頃、

 

 

 貴方の身に、何か重大な出来事か、寂しい出来事が起きましたか?」

 

 

と聞いてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、

 

 

 

彼女の口から4年前に起きた、ある悲劇が語られたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時、彼女には、サヤカちゃんという3歳になるとても可愛い女の子が居たのだが、

 

 

ある日、病魔に倒れて、亡くなってしまったのである。

 

 

 

 

初めての子で、とても可愛がっていただけに、

 

 

彼女のショックは計り知れないものだった。

 

 

 

朝から晩まで泣き続け、家事も手につかなかったという。

 

 

1ヵ月経っても、部屋に籠って泣いている事が多く、

 

 

彼女の夫やご両親も、彼女の事をとても心配したという。

 

 

特に、彼女は当時妊娠中でもあったので、胎児への悪影響も心配された。

 

 

そこで、家族で何度も相談した上で、

 

 

生まれて来る子供の事を一番に考え、大事に育てる為にも、

 

 

もう亡くなった子供の事は考えないようにしようという事になったという。

 

 

 

しかし、奥さんは、どんなに考えない様に努力しても、

 

 

亡くなったサヤカちゃんが履いていた靴を見ると泣きだし、

 

 

サヤカちゃんのお皿を見ると、また泣きだすという始末だった。

 

 

 

 

 

 

 

そこで、ご主人は、思い切って、今まで撮りためたサヤカちゃんの写真は、

 

 

全部アルバムからはずして、部屋に飾ってあった写真と一緒に、

 

 

まとめて実家に送ってしまい、

 

 

そして、生まれて来る子が男の子だったのもあり、

 

 

今までサヤカちゃん用に買ったオモチャとか食器類、衣類を全部捨てて、

 

 

新しい男の子用のものに全て買い替えたのである。

 

 

 

 

 


こうして、彼女の家から、サヤカちゃんを思い出す物が全て無くなり

 

 

段々と彼女も落ち着いてきて、子育てに専念出来る様になったという。

 

 

 

 


その後も、この家ではサヤカちゃんの話はタブーとなり、

 

 

現在居る二人の息子たちにも、サヤカちゃんの存在は語られていないという。

 

 

 

 

 

 

 


彼女には、そんな辛い過去があったのである。

 

 

 

 

 

 

 


私はその話を聞いて、奥さんもとても寂しい体験をしたんだなと思ったのと同時に、

 

 

そのサヤカちゃんも寂しい事だろうと感じたのである。

 

 

 

 


亡くなった子は、母親がいつまでも悲しく泣いていると、

 

 

心配していつまでも旅立ちにくい。

 

 

 

多分、サヤカちゃんもいつまでも、泣いているお母さんを心配して、

 

 

お母さんの側を離れずに、一緒に泣いていたかもしれない。

 

 

自分が死んだので、ママを困らせてしまっているんだと。

 

 

 

 


しかし、その後、サヤカちゃんの物を失くす事でお母さんは立ち直り、

 

 

子育て出来るようになった。

 

 

多分、サヤカちゃんも元気になったお母さんを見て、

 

 

安心して旅立った事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでは、私も良かったと思う。

 

 

 

お母さんも立ち直り、無事子供も産まれ、普段の生活に戻れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それから寂しさや悲しみを感じ始めたのはなぜだろう。

 

 

 

 


私が思ったのは、

 

 

やはり、サヤカちゃんの存在を消した事が関係しているんじゃないかという事。

 

 

 


実は、亡くなった子供は、親の所に時々戻って来るのである

 

 

 

「ママは、その後どうしているのかな。」

 

 

「パパは元気かな。」

 

 

と、のぞきに来るのである。(特に1日でもこの世に生まれた子は)

 

 

 


その時に、もう自分の存在を誰も語らず、

 

 

自分の写真も1つも無く、自分の物も1つも無い。

 

 

そして、弟達にも、まるでお姉さんの事は語られず、

 

 

この家から、自分が居たという存在が消されていると知った時、

 

 

とても寂しく感じるのである。

 

 

 

 

 

そんなサヤカちゃんの「寂しさ」を、

 

 

奥さんの魂が感じとったのだと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、彼女にこうアドバイスしました。

 

 

 

 

「もう、貴方は以前の様に落ち込む事は無いでしょう。

 

 

サヤカちゃんの死を乗り越えたと思います。

 

 

だから、実家からサヤカちゃんの写真を何枚か持って来て、

 

 

部屋に飾ってあげて下さい。

 

 

そして、二人の兄弟にも、むかしお姉ちゃんが居たんだよ。と、

 

 

話してあげてください。可能なら一緒にお線香や墓参りをしてあげてください。

 

 

そうすれば、きっと、サヤカちゃんは弟達を守ってくれる存在になりますよ。

 

 

そして、朝起きたり、サヤカちゃんの写真と目が合ったりした時に、

 

 

おはよう、サヤカ。と時々声をかけてあげてください。」

 

 

 

 

 


それを聞いて、彼女はそう致します。と言って帰っていった。

 

 

彼女も私の話を聞いて、

 

 

サヤカちゃんの事が心の底で引っかかっていたのだと思ったという。

 

 

 

 


その後、彼女はサヤカちゃんの事を2人の息子達に言い、

 

 

寝室にサヤカちゃんの写真を飾り、朝起きると、

 

 

おはよう。サヤカ。」と声をかける様になったという。

 

 

 

 


すると、不思議とそれから、「寂しい」という寝言も言わなくなったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「ママ、

 

 

 

サヤカも、家族?

 

 

 

 

サヤカも、家族でいいの?」

 

 

 

 

「そうよ。

 

 

 おはよう、サヤカ!」

 

END