●「寂しい」寝言  (さびしい寝言)

 

 

 

 


出張鑑定と言えば、

 

 

私が相談者の家に出向き鑑定するものだと思うかもしれないが、

 

 

 

相談者の方が、お金持の場合、違う形もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも、相談者の方から見れば、

 

 

私は見ず知らずの男である。

 

 

そんな初対面の知らない男を、自分の家に招く事や、

 

 

その人の家に、女性一人で行くなど、危ないと考えるのが普通だ。

 

 

 


かと言っても、現在抱えている悩みを誰かに解明してもらいたい。

 

 


そんな方が利用するのが、今回の様な出張鑑定依頼である。

 

 

出張鑑定なので、鑑定料とは別に出張費がかかる。

 


それでも相談したいというので、大抵がお金持な方である。

 

 

 


その時も、新宿にある京王プラザホテルでの鑑定となった。

 


私達は午前10時にロビーで待ち合わせると、簡単な挨拶を交わし、

 

 

そのまま3階のラウンジに行き、そこで話を聞く事になった。

 

 

 

 


奥さんは清楚ないでたちで、大人しそうな方だった。

 

 

家族構成を聞くと、ご主人と息子さん2人の4人暮らしだという。

 

 

家の写真を見せてもらうと、結構立派な2階建ての家で、

 

 

広い庭と駐車場の広さから、私にでも、

 

 

彼女がセレブであるという空気が感じられる。

 

 

 

 

 


家族の写真を見せてもらったのだが、

 

 

ご主人も優しそうで、息子さん達も良い子に見える。

 

 

 

 

 


立派な家に、良さそうな夫と子供。

 

 

この奥さんに、他に、いったい何の不満があるのだろうか?

 

 

 

と思ってしまうほど、苦悩する相談者とはかけ離れた存在に見えた。

 

 

 

 

 

 

そんな彼女の相談は、

 

 

意外にも、寝言についてだった。

 

 

 

 

 

 

最初にそれを指摘したのは、一緒に寝ている夫だったという。

 

 

「お前、寝言で、寂しいって、何回か言ってたけど、

 

 

何か変な夢でも見たのか?」

 

 

と朝食の時に聞かれたのである。

 

 

 

 


その時は、覚えてないけど、そんな事言ったんだ。

 

 

くらいにしか思わなかったといいます。

 

 

 

しかし、その後もご主人は、何度も彼女が寝言を言うのを聞き、

 

 

「何か寂しい事でもあるのか?」と気にして、

 

 

医者に行く様に勧めたといいます。

 

 

酷い時期には、3日に1度、

 

 

「寂しい」という寝言を言ったといいます。

 

 


でも医者に行っても、特に悪い所は無かったそうです。

 

 

 

 

 

 

そもそも、寝言とはどういうものだろうか。

 

 

ざっと言うと、寝ている時に、言葉を発する現象である。

 

 

 

 


人は眠りにつくと、レム睡眠ノンレム睡眠になるという。

 

 

何やら難しい名前だが、

 

 

レム睡眠とは、英語から来ており、REM睡眠と書き、

 

 

英語で、Rapid Eye Movementの頭文字を取って、REMとなっている。

 

 

つまり、直訳すると、急速な眼球運動をしている時の睡眠がレム睡眠だというのだ。

 

 

 

だから、寝ている人の眼球が動いているなら、レム睡眠だという事が分かる。

 

 

人はレム睡眠の時は、脳は起きているが、体は寝ている状態だという。

 

 

その間、脳は活動し、記憶の整理や固定などを行っているらしい。

 

 

この時、脳は起きているので、レム睡眠中は夢を見る。

 

 

レム睡眠中は、脳が起きているので、人は起きやすい。

 

 

ちょっとの物音や呼びかけで起きたりもするし、

 

 

起きた直後でも不機嫌では無いが、

 

 

これが逆に深い眠りの時のノンレム睡眠中に起こされると、

 

 

ノンレム睡眠の時は、今度は脳が眠っていて、体は起きている状態なので、

 

 

なかなか脳が目覚めないので、起こされた人も不機嫌になるし、

 

 

起きた時も、不快な状態が続き、目覚めが総じて良く無いのだ。

 

 

むかし、スリープトラッカーという腕時計が話題になった事があるが、

 

 

この時計は、つける人が現在、レム睡眠中か、ノンレム睡眠中かといった

 

 

その人の睡眠のサイクルを検知して、レム睡眠中に起こす様に設定されている

 

 

時計で、最も快適に目覚めやすいタイミングで起こしてくれるのである。

 

 

 

 

さて、寝言が多いのは、このレム睡眠中なのだが、

 

 


実は、レム睡眠中の寝言と、

 

 

ノンレム睡眠中の寝言には、違いがあるのである。

 

 

レム睡眠中には、体が眠っている状態である。

 

 

つまり、唇や喉が動かない

 

 

だから、はっきりと聞き取れる長い寝言は言えないのである

 

 

それによって、レム睡眠中に言う寝言は、

 

 

短く怒鳴っている声や、うなっている声になる事が多い。

 

 

喉から空気が漏れた「ムニャ、ムニャ」などで、

 

 

夜明けに、自分が発した怒鳴り声に、

 

 

自分でビックリして起きるケースもこれである。

 

 

 

 

それに比べて、ノンレム睡眠中に言う寝言は、

 

 

体は起きていて、唇や喉も動くので、長い言葉が言え、

 

 

隣に寝ている人も、はっきり聞き取れる寝言となるのである。

 

 

ちなみに、夢遊病も、このノンレム睡眠中に起きる。

 

 

 

 

そう考えると、今回の相談の場合、

 

 

ご主人がはっきりと、彼女の「寂しい」という声を聞き分けているので、

 

 

ノンレム睡眠中に発した寝言の可能性が高い。

 

 

 

そんな事を考えながら、彼女の話を聞いていた。

 

 

 

では、なぜ彼女は占い師に相談しに来たのでしょうか?

 

 

 


私が理由を聞くと、

 

 

「実は、夫に最初に私が寝言で、

 

 

寂しいと言っていた聞かされた時、ドキッとしました。」

 

 

と彼女は言う。

 

 

 

 

 

それまで、夫には隠していましたが、

 

 

数年前から、ずっと普段の生活をしながら、

 

 

寂しい」とか「悲しい」と感じていたんです。

 

 

それが声に出てしまったんだと思いました。

 

 

 


なぜ、寂しいとか、悲しいと感じるんですか?と聞くと、

 

 

彼女も分からないという。

 

 

だた、何故か分からないが、寂しくて涙が出る時もあるという。

 

 

 


普通なら、夫と男の子2人との生活で寂しいはずが無いのに、

 

 

なぜか「寂しい」という気持ちになるのだと言うのだ。

 

 

 

 

 


何か嫌~な感じである。

 


後半は、明日のブログに続く。