●パンドラの箱を開ける
このお話は、昨日のブログ(●蔵の中の怒り)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12227815021.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
相談を頂いたのは、2月も中盤を過ぎた辺りでした。電話をくれたのは奥さんで、
彼女の家族は、高校生になる息子さんが2人とご主人の4人家族。
家族が帰京してから、夫の実家で悪い事ばかりが続けて起きたというのだ。
最初の災難は、家族が帰京した翌日の1月4日の事だったという。
実家のご主人が集まりに出かけようと軽トラックを動かそうとすると、
キーを差しこんでもウンともスンともいわない。
そこで、家族が使っている車を使用しようとエンジンをかけるが、
それもなかなかエンジンがかからない状態だという。
それと同時に、家にあった一番古い掛け時計が止まったというのだ。
その後、1週間の間に、立て続けに4羽のニワトリが死に、
飼い犬が原因不明の病気になり、一時入院。(現在は持ち直している)
また、実家のお嫁さんが料理中に手を怪我したり、
お祖父さんが足を怪我したりと、家族が続けて怪我をする様になったというのだ。
そして今、最も気持ちが悪いのは、敷地内にある蔵から、夜中になると、
何か音がする時があるというのである。それも、家族が帰京してから、
その蔵から音がする様になり、実家に災難が起きる様になったというのだ。
そこで問題になったのが、家族が正月に田舎に居た時の、ある行動だった。
それは家族が田舎に泊まっている時、息子さん2人が、
蔵の中を見てみたいといい、二人で蔵の中を色々探検したという。
どうやら、それから、その蔵から音がする様になり、
実家に災難が起きる様になったというのだ。なにかその時に、
ご先祖の怒りを買う様な事をしたのではないか。蔵の怒りに触れたのではないか。
そんな風に考える様になったという。そこで息子さん達に正月田舎の蔵に入った時、
何か取ってこなかったか、何か壊してこなかったのか、聞いてみたという。
しかし、息子さんは二人とも、何も取って無いし、何も壊したりしていないと言う。
ただ、蔵の中に、どんなお宝があるのか、懐中電灯で、照らして見ただけで、
壊すのはもちろん、お宝の場所も移動させていないという。
彼らは当時、蔵の中でこんな事をしたという。
■棚の引き出しに入っていた箱を開けると、
紙に包んであった短刀が3本あり、触らずにそのまま元の位置に仕舞ったという。
■棚に掛け軸が、10本あったので、
兄がそれを高く持ち、弟が下に広げて、どんな絵柄か、全部見てみたという。
風景画が2作、人物画が4点、鳥の絵が2点、字だけの掛け軸が2点あったという。
■棚の中に、皿が10点あったが、ホコリで絵柄が見えなかったので、3点ほど、
タオルで拭いて見てみたのだが、綺麗な花の絵柄だったという。
1つは元から割れていたという。
■古いお餅をつく臼があり、一時弟が、その上に軽く座ったという。
■木の箱が5つあり、それぞれの箱に壺が入っていたという。
兄弟いわく、値打ちがあるとすれば、その壺かなぁ。と思ったと言う。
一見、普通にただ蔵の中にある物を、見学しただけの様だが、
実は、上の中に、まさかの、やってはいけない事が含まれていたのだ。
もし、息子さん達が何かしているとすれば、
きっと上の5つの行為の内、どれかが良く無かったはずだと思いました。
まず一番先に気になるのは、弟さんが臼の上に座ったという所です。
確かに、食べ物を作る道具の上に座るのは余り感心できる事では無いですね。
でも、軽く座っただけで、それほど怒りを買う事でしょうか。
それに、座った弟さん本人には、何も悪い事が起きていないというのも変です。
私はこれは違うと思いました。
次に掛け軸ですが、掛け軸は通常床の間に飾るもので、
私の田舎などは、毎年、違う掛け軸にして気持ちを新たにしていました。
ご主人の実家でも、蔵の中にある10本の掛け軸を毎年か季節毎に、
入れ替えて床の間に掲げていると言います。
だからこれも今開いてみて所で、問題は無いと思います。
皿も割ったのは兄弟では無いという事だし、ホコリをタオルで拭いてあげたのですから、
感謝される事はあっても、特に問題は無いでしょう。
という事で、残りの壺(つぼ)と短刀が気になりました。
壺に入る霊は意外と居るんです。
だから、壺を会社の玄関や、家の玄関、庭などに置いて置くのは良く無いです。
ただし、壺が何かに使われていれば、問題ありません。
だから、壺に花を一輪さしておくとか、花が無ければ、棒を差しておくなど。
また今回の様に、ちゃんと箱に入っているなら問題は無いでしょう。
次に短刀ですが、
話を聞いた時から、これが一番嫌な感じです。
なにしろ、実家で起きた災難の内、
実家のお嫁さんが料理中に手を怪我したのは、包丁だったといいますから、
短刀が関係しているかな。とその時チラッと浮かんだぐらいです。
短刀や刀というのは、それで昔、人を切ったとかという場合、
短刀が血を吸って、切られた人や切った人の念が籠る事がよくあるのです。
ただ、兄弟の話を聞く限り、蔵の中の短刀を見たけど、
短刀には一切触っていないんですよね。
箱の中身を見て、それで元の位置に仕舞っただけだというのです。
えっ!!
そうなると、壺も短刀も問題無いという事?
どこかで、見落とししてるのかなぁ。
この時点では、さっぱり分かりませんでした。
そこで、ご実家に居るお祖父さんに、蔵の中にある、
壺と短刀の由来について聞いてみてもらいました。
すると、壺については、
お祖父さん本人と彼の父親(曾祖父)が集めた物だという事でした。
しかし、短刀について、彼(お祖父さん)が物心ついた頃からあり、
開けた事も無かったそうです。
というより、曾祖父から、
あの短刀は開けてはいけないと言われていたそうです。
なんか、嫌な予感がしました。
開けてはいけない短刀。を、
開けたんだ。と思いました。
そこで改めて、兄弟に聞いてみました。
「棚の引き出しに入っていた箱を開けて、紙に包んであった短刀が3本あった
という事なんだけど、その箱か紙が封印されてなかった?」
すると、彼らは、箱には封がされていて、短刀が包まれていた紙も、
一ヶ所糊付けされていたと言ったのです。
紙の一ヶ所を糊付けするのも、封印の簡略系です。
つまり、短刀を包んだ紙も、それを入れた箱も封印されたいたのです。
その両方の封印を破ったという事になります。
これは、ちょっとヤバいかもしれない。
そんな感じがしました。
昔から伝わるギリシャ神話では、
人類初の女性は、パンドラという名前の女の子だった。
パンドラは美しく、永遠の命を持ち、何不自由なく暮らしていたが、
ある時、神ゼウスから、1つの綺麗な箱を渡される。
ただし、この箱を絶対に開けてはいけないと言われたのである。
しかし、パンドラは思った。
こんな綺麗な箱の中には、きっと綺麗なお宝が一杯入っているに違いない。
「絶対開けるな!」と言われると、開けたくなるのが女心か。
彼女は、神ゼウスから開けるなと言われていた箱を開けてしまったのだ。
すると、中から、
あらゆる人間の災いが飛び出したのである。
争い、病気、嫉妬、復讐、妬み、寿命、死、憎悪など。
この時以来、人間は永遠の命を失い、災難や戦争を起こす生き物になったという。
そして、人々はその後、彼女の名前をとって、
余計な事をして、取り返しのつかない事を引き起こしてしまう事を、
「パンドラの箱を開ける」と言う様になったのである。
どうやら、兄弟は、
パンドラの箱を開けてしまったのだ。
最終話は、明日のブログに続く。