●二重人格の息子
私がまだ東京で占いをしている頃、
島根県にお住いの方から、是非息子を診て欲しいから来てくれないか。
という相談を受けた事があった。
さすがに島根県となると、遠いのでおいそれと行ける所では無い。
それでも出雲大社の近くなら、まだ一度も行っていないので行ってもいいかなと、
場所を聞くと、出雲とはまったく違う田舎だった。
もうこの時点で、心の中では断る事は決定していたが、
断るにしても、軽いアドバイスが出来るかもしれないと思い、
一応どんな相談か聞いてみた。
すると、小学3年になる息子さんで悩んでいると言う。
息子さんは、小学校に入る頃から、時々言動がおかしくなっていったという。
それはまるで、誰かが息子さんに乗り移った様に、
息子の中に、もう1人誰かが居る様だと言うのだ。
医者に行っても原因は分からなかったという。
しかし、その後もどんどんおかしな言動が多くなり、
心配して、色々な医者を回って診てもらうと、
ある医師は、息子さんは二重人格の疑いがあると指摘したという。
医者の言葉で言うなら、
解離性同一性障害という名前を持つ精神的な病気かもしれないというのだ。
それで、薬を貰ってしばらくその医師に従って治療したのだが、
まったく効果は無かったという。
そんなある日、彼女が親しい友人に相談したところ、
その友人は、「何か邪悪な物が息子さんに憑依しているかもしれないわよ。」
と言ったという。
それが息子さんを二重人格にしているのではないかと。
彼女はそれを聞いて、思い当たる事があったそうだ。
というのは、息子さんは事ある毎に、
「もう一人のボクは、違うって言っているんだよね。」とか
「もう一人のボクは、嫌いだって」と云う様に、
頻繁にもう一人のボクという表現を使うのだと言う。
一度こんな事があったという。
家族でレストランに行った時、息子だけなかなか何を食べたいのか決められない。
聞くと、ボクはスパゲティを食べたいんだけで、
もう一人のボクは、ハンバーグを食べたいんだ。
また、その日の朝は、行くと言っていた買い物も、
午後聞くと、あれはもう1人のボクが言ったんだよ。ボクは行きたくないよ。
と訳の分からない事を言ったりする事があるという。
決定的だったのは、お父さんに対して、
「あなた誰?」と言った事もあったという。
幼稚園の頃は活発だったのが、
だんだん家に引きこもっている方が好きになって来ているので、
それもお母さんの心配の一つだという。
それから、彼女は祈祷師も兼ねているという占い師の所へ相談に行き、
お祓いをしてもらったという。
しかし、その直後は良かったものの、
1週間経つとまた元の二重人格の息子に戻ったと言う。
この子は将来どうなってしまうのでしょうか。
そんな相談だった。
二重人格。
相談を聞いただけでは、何とも言えないのだが、
かなり難しい案件だと感じた。
引き受けても、私に力になれるかどうかも分からないとも思った。
幸い、場所が遠いという理由が有ったので、
私は丁重にお断りしたのだった。
これが、彼女との最初のコンタクトだった。
それから、どの位経った頃だろうか。
数ヶ月経った頃、
再び彼女から電話があった。
息子を東京の医者に見せる事になったので、
息子と一緒に上京します。
その時に、是非一度だけでも息子に会って診て欲しいというのだ。
さすがに今度は、断る理由が見つからなかった。
「分かりました。お会いましょう。」
こうして私は、二重人格の息子さんと後日会う事になった。
やがて、息子さんを二重人格にしていたものの正体が明らかになるのである。
おまけ。
人は誰しも少なくからず二重人格的な所があると言われる。
自分にどの位二重人格的な部分があるのかを簡単に調べるテストがある。
MMPI(ミネソタ多面人格テスト)と言って、世界中で使われているテストだという。
本来は550問という大量に質問に答えて出すのだが、
ここでは簡略版として55問のテストで性格が判断出来る。
もし、自分見つけにやってみたいという人は下記。
(注意「どちらでもない」は2回まででないとダメみたいです。)
http://psycho.longseller.org/mmpi.html
後半は、明日のブログに続く。