●娘の幽霊
夏休みも、残すところあと一週間ですね。
そこで今日は、夏らしいお話しという事で、
夏に受けた相談の中から、幽霊のお話をしましょう。
これは彼女が夏休みに、友人の家族と三浦半島に旅行に行った時の話です。
当時、彼女は小学5年の男の子と、
そして、彼女の友人は中学1年の男の子と一緒に出掛けたといいます。
4人は東京を出発してしばらくは、夏休みという事もあり、
平日でも電車は座れない程混んでいました。
ところが、途中から京急に乗り換え、
乗った時は混んでいて座れなかったのですが、
途中の駅で、目の前の4人席が偶然にも全員降りたのです。
私はラッキーと思い、直ぐに息子と一緒に片側の席に陣取りました。
友人も続いて真向いの席に座りました。
友人は窓側の席を、中学生の息子さんの為に空けて、通路側に座りました。
私も息子が景色を見やすい様に、通路側に座りました。
ところが、電車が走り出そうとしても、友人の子供は立ったままで、
空いている席に座ろうとしません。
幸いとても混んでいるという車両では無かったので、
他の方に席を取られるという事も無く、電車は走り出しました。
友人の息子さんの健太君を見ると、吊り輪や周りの椅子にはつかまらず、
両足だけで踏ん張って、立っていました。
私も昔経験がありますが、通勤電車の中で、
吊り輪などにつかまらず、両足だけで電車の揺れに対応して立っていると、
足腰の訓練になるし、バランス感覚も鍛えられます。
だから、健太君もてっきり自己鍛錬の為に座らずに立っているのだなと思いました。
結局、健太君は座らずに、20分間立ち尽くしていました。
電車が終点の三崎口に着いて、バスに乗り換えの為待っている時、
私は健太君に、「学校では何部に入っているの?」と聞くと、
「吹奏楽部です。」という。
私はさっき座らないで、足腰を鍛えていたから、
てっきり運動部だと思ったわ。と言うと、
彼は変な事を言ったのです。
「えっ、席空いていませんでしたよ。」と言うのです。
彼いわく、
母の隣の窓側の席には、中学生位の女の子が座っていたといいます。
だから、仕方なくずっと立っていたと言うのです。
ちなみに、その女の子はずっと外の景色を見ていたといいます。
その時は旅行に来たという事もあり、余り気にはしなかったのですが、
家に帰って来て、ゆっくりと当時の事を考えた時、
ふと、健太君が見たという、あの中学生の女の子は、
私についてきた亡き娘の霊ではないと思ったのです。
実は、昔2歳になる娘を病気で亡くしているのです。
もし、その子がそのまま成長していれば、長男よりも2歳年上ですから、
健太君が見たという中学生の女の子になっている歳なのです。
それに、亡くなった長女は、とても電車が好きで、
いつか旅行に連れてってあげると言っていましたが、ついぞ実現しませんでした。
そんな亡き娘が、私について来たのでしょうか?
そんな電話相談でした。
まず私が彼女に言ったのは、
多分、その健太君が見たという女子中学生は、
貴方の亡くされた娘さんでは無いと思います。という事でした。
理由は2つあります。
■まず、当時貴方のすぐ側にいたのに、貴方自身はまったく気がついていません。
お母さんに供養してもらいたいとついて来たのなら、
なんらかの気づきが、お母さんにもあってもいいと思います。
それが、まったくの他人である友人の子供だけが目撃したというのが気に入りません。
■そして、もう1つは、
亡くなった子供は、それ以上体は成長しないという事です。
つまり、2歳で亡くなった娘さんは、幽霊として出て来ても2歳の体のままです。
二十歳で亡くなった息子が、40年後、お爺さんの姿で出て来る事は無いという事です。
なぜなら、お爺さんとなって出て来ても、誰も気がつきませんよね。
霊が出て来るのは、供養して欲しいとか、思い出して欲しい時が多いのですから、
まったく見た事も無い姿で出て来るという事は無いのです。
大抵は、亡くなった当時の姿で現われます。
例外としては、60歳で亡くなった人が、昔の事を思い出させる為に、
40歳の姿や、二十歳の姿で夢などに現われる事はありますが、
なってもいない70歳や80歳の姿で出る事はありません。
ただ、そんなに心配する事は無いだろうと思いました。
まず、幽霊を見た健太君自身もそんなに怖がった様子では無かった様だし、
その女子中学生の霊も、貴方を睨んでたとかではなく、
窓の外の景色を見ていたといいます。
多分、ほんとに電車の旅が好きだったのでしょう。
だから、特に悪い影響は無いはずです。
あと、もし、今度旅行される時は、
2歳で亡くなったという旅行好きだった娘さんの写真を持って行ってあげてください。
約束は、亡くなった後でも実現出来るのですよ。
そして、それが、きっと旅行のお守りにもなりますよ。
END