●誰も居ない部屋から音がする
一軒家を含め、賃貸の住居にお住いの人でも、
時々、こんな相談を受けます。
「誰も居ない部屋から、奇妙な音がする事があるんです。」
一応、そんな相談を受けた時は、
その家の間取りから、家族構成、
音がする時刻や、どんな音がするのかという事を聞きますが、
私の今までの経験上、
その原因で最も多いケースを、今日はお話し致しましょう。
ある時、女子大生の方から電話相談を受けました。
彼女は、一軒家にご両親と住んでいて、
彼女はその家の2階に住んでいるのですが、
その隣の部屋から、時々奇妙な音がするというのです。
ある時は、物が床に落ちた様な音。
ある時は、本をめくる様な音。
そんな音がすると、気になって勉強が手につかないといいます。
間取りは、彼女の部屋が8帖。
音がするという隣の部屋も8帖。
2階には、その他に押し入れとトイレと廊下があります。
ご両親は一階に寝ていて、物が落ちる音については、
一階でも確認できる事があるといいます。
ただ、彼女から家族構成を聞くと、
何となく、謎の音の原因が分かった様な気がしました。
普通、家族構成と言えば、
彼女の場合、彼女、そしてご両親となりますが、
今回の様に、家で奇妙な事が起きるという様な場合、
私が家族構成として、聞くのは、
その家に住み始めた時点の家族構成を聞く事にしています。
つまり、現在ではなく、住み始めた当初の家族構成です。
すると、
この家に引越して来た当初は、
彼女と5歳年上のお姉さん、そしてご両親が住んでいたそうです。
つまり、現在と比べると、5歳年上のお姉さんがいません。
聞くと、2年前に水の事故で亡くなったそうです。
そして、奇妙な音がし出したのが、1年半前頃からだといいます。
しかも、音がするという部屋は、亡きお姉さんの部屋。
ここまで、聞くと、
私でなくても、原因は分かるでしょう。
多分、相談者の彼女も、何となくお姉さんじゃないかな。と思っていたと思います。
なぜなら、普通隣の部屋から謎の音が聞こえて来たら、
怖くてとか、気持ちが悪くて、2階に上がれません。という感じになりますが、
彼女の場合、相談時に、
「そんな音がすると、気になって勉強が手につかない。」と言っていて、
怖いという感じは受けていない様子でした。
大体、怖くないと感じる時は、身内だったり、悪く無い霊だったりします。
それを考えても、今回のケースは、お姉さんの霊だと思いました。
多分、ちゃんと成仏の道を歩めていないのでしょう。
お姉さんの様に、若くして亡くなった場合、
特に覚悟出来る病気ではなく、急な事故で亡くなってしまった場合、
その無念や未練から、なかなか納得して成仏しない事はあります。
そこで、供養などちゃんとしているのか聞いてみると、
彼女は余りしないものの、お母さんは毎日供養しているし、
墓参りは家族全員で毎月月命日に行っているといいます。
どうやら供養はちゃんとしている様です。
ちゃんと供養していると、お姉さんに無念の心がや未練があっても、
段々と納得して、成仏への道を歩むものです。
しかし、彼女の家の場合、
2年経った今でもお姉さんが居た部屋から音がすると云うのです。
何か他に原因があるのかもしれません。
そこで、音が鳴るという部屋の写真を見せてもらいました。
すると、そこは、生前のお姉さんの部屋のままでした。
2年前に亡くなってから、手つかずのままだといいます。
他にも家族の話を聞くと、気になる事がありました。
毎日供養しているというお母さんは、
お姉さんが亡くなってから、めっきり元気が無くなり、
趣味のアートフラワーも止め、家に閉じこもりぎみで、
2年経った今でも、時々泣いているといいます。
亡くなったお姉さんは、とても母親孝行だったみたいで、
よく一緒に買い物もし、料理も一緒にしていたといいます。
まるで姉妹の様だと、近所の人からも言われていた程でした。
多分、そんな娘さんを失ったショックは、計り切れない程だったと思います。
私の経験上、故人が成仏しない最も多いケースだと思います。
それは、
■残された家族が、いつまでも嘆き悲しんでいる。
そして、
■その故人の部屋が、亡くなった時のまま保存されている。
この条件が重なっている時、最も成仏しないケースが多い様に感じます。
家族にとって、大事な人が亡くなったのですから、
悲しいのは当たり前だし、急にその人が居た部屋を失くす事も出来ないでしょうし、
故人の物を手放すのも、勇気が要ります。
しかし、今回の様に、音がする様な感じだと、
亡くなったお姉さんも、苦しんでいると予想されますし、
部屋から変な音がする様だと、残された家族も気になって勉強が出来ないなど、
あんまり良い状況とはいえません。
それに、ちゃんと成仏の道を歩めれば、
その後、家族を守ってくれる存在になってくれるはずです。
ここはお姉さんに早く生まれ変わってもらう為にも、
お母さんを説得して、まずはお母さんに元気を出してもらう事です。
私の勘じゃ、多分お母さんは、仏壇で供養していても、
「何で死んじゃったの?」とか
「どうして先に逝っちゃったの?」
みたいな事を言っていると思います。
こうしたお母さんの言葉や涙が、お姉さんの後ろ髪を引いて、
なかなか成仏出来ないという原因になっている事があります。
また、未だに生前の部屋がそのままあるという事は、
急に命を落とした故人にとって、本当はまだ死んでいないんじゃないか。
と思わせて、成仏の道を歩みだせないという事も起きます。
私のアドバイスとしては、
まず、故人の部屋を段々に片づけていく事です。
時々音がなるという部屋の物を片づけたり、
捨てるのは怖いという人もいるでしょうから、
こういう時は、コツがあります。
まず、部屋に入る時は、「お姉さん、お邪魔します。」と言って入り、
部屋を片付ける時は、「お姉さん、片づけますね。」言って片づけ、
部屋の物を捨てる時は、「お姉さん、これ明日捨てますけどいいですか?」
と言ってから、明日捨てます。
部屋の物を売る時も、「お姉さん、これ明日売りますけどいいですか?」
と言ってから、明日売ります。
そして、もう1つ大事なのが、
今でも嘆き悲しんでいるお母さんを、みんなで支えて元気づけるという事です。
まず、悲しんでいると、お姉さんが生まれ変われなくても困っている事を伝えます。
その上で、また趣味のアートフラワーを続けさせる様にするか、
他の趣味をやらせるか。みんなで外に出かける様にするなどして、
家に独りで閉じこもっていない様に、させる事です。
その後、亡きお姉さんの部屋を徐々に片づけ、
お父さんがお母さんと一緒に、アートフラワーをやり始めた事もあり、
お母さんも亡き娘の為と思って、明るくなったという。
今では、大学生の娘さんと買い物に行く様になった。
すると、部屋からしていた音もしなくなったという。
「母さん、今でも愛しているんだよ。
妹を私だと思って、いつまでも元気でね。」
END