●お隣の祠(ほこら)
このお話は、一昨日のブログ(●家族を不幸にする人形)の続きです。
従って、一昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12182565146.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
電話相談してきた奥様は、ここ3年の間に、家で悪い事ばかり起きるんです。
それは3年前。夫が交通事故を起こす3日前の事だったという。
その日は日曜日で、夫が家の留守番をしていた。
彼女が買い物から帰って来ると、夫が近づいて来てこんな事を言ったのである。
「畳の部屋にある、人形の毛が抜け落ちているぞ。」
さっそく夫婦で見に行くと、確かに人形の足元に、毛が2本ほど落ちている。
見ると、人形の毛の材質や長さが似ている。しかし、抜けた髪の毛を拾って、
ただ捨てました。その3日後に、夫が交通事故に遭い、入院となったのです。
その翌年の事です。今度は息子が、食事中に言ったのです。
「畳の部屋にある金太郎の毛が抜けてたよ、母さんいじった?」
「いいえ。触って無いけど・・」実は、畳の部屋にある人形は息子が5歳の時に、
お祖父ちゃんが買ってくれた五月人形の金太郎で、
それから19年間ずっと畳の部屋のあの場所に飾ってあるものでした。
そんな話が出た、その夜の事です。息子が、夜中私達に部屋にやってきて、
「みぞおちが痛いんだ。」と横っ腹を押えながらやって来たのです。
「それは盲腸かもしれないな、明日朝すぐにでも病院に行った方がいい」
息子は病院に駆け込んだのです。胃ガンだと分かりすぐに手術となりました。
そして、今年、決定的な事が起きたのです。
同居していた祖父が、畳の部屋に飾ってある掛け軸を外して、
違う掛け軸にしようとしている最中に、
あの金太郎の人形を誤って蹴って倒してしまったのです。
その時に、金太郎の髪の毛が3本抜け落ちたのでした。
その話を聞いた時、奥さんは「また髪の毛?」と何か嫌な感じがしたそうです。
その翌週でした。お祖父さんは肺炎になり急死したのです。
それからは、次に髪の毛が抜けたらと思うと、恐ろしくなるといいます。
かと言って、捨てたりすると何か悪い事が起こりそうだし、
またあの人形は息子の為に買った五月人形だったので、
捨てたりしたら、息子の身に何かあるのではないかとも心配です。
こうして私の所に、相談したきたと言うのです。
人形の髪の毛が抜ける度に起きるという、家族の不幸。何か偶然とは思えない、
嫌な感じがした。ただ、話をいくら聞いても、分からなかった。
なにしろ、買った五月人形は新品の物を購入したのであって、
悪いいわくつきの物や中古品ではないのだ。新品の物に悪い物は憑いていない。
しかも畳の部屋には窓はあるが、そこから墓地も見えなければ、
隣に幽霊屋敷も無いという。さっぱり分からなかった。
場所も東京の町田だったので、行けない距離でも無かった。
私はつい。「ではお伺いします。」と約束した。
私が町田に行ったこの当時、
東京の人は、町田は危ない街という人が多かった。
私も町田に行く時に、渡河から気をつけてと言われたものだった。
今でこそ、少なくなったが、今から10数年前の町田は、
ヤクザや暴走族の集会や暴走などが結構テレビなどで聞かれる事があったからだ。
風俗地帯と言えば、新宿の歌舞伎町が有名だが、
2000年以降は、新宿地区の風俗規制強化が行なわれ、
多くの風俗店が、町田に移転したのが治安悪化の原因と言われている。
多くの風俗店が町田に引っ越したので、
私が行った当時は、町田市の事は「西の歌舞伎町」と呼ばれていた。
その後、住民のパトロールや交番の数をかなり増やした結果、
犯罪件数が半減したという。
そんな当時の町田だったので、
私は寄り道せずに、真っ直ぐ相談者の家に向った。
相談者の家は、住宅地のやや外れに立地する、
極普通の庭付き2階建ての一軒家だった。
まずは、行き成り訪問する前に、下調べとして、
周辺の様子を観察した。
右隣と後方は普通の一軒家。
そして左隣はアパートらしき建物が建っていた。
地図を見ても、周りには墓地は無いし、隣付近に幽霊屋敷らしき家も無かった。
別に相談者を疑う訳では無いが、見落としや勘違いという事もある。
自分の目で確かめるのが一番だ。
ベルを鳴らすと、奥さんが出て来られた。
お子さん達とご主人はもう出かけていて、
家には彼女とお祖母さんだけだった。
お二人に挨拶すると、さっそく問題の五月人形を見せてもらう事にした。
問題の畳の部屋に入る前に、彼女にこんなお願いをした。
「私にドアを開けさせてもらえませんか?」
何か問題の物が有るという部屋に入る時、
一番大事なのには、入る瞬間である。
人間はとかく環境に慣れやすい。
入る瞬間をよく観察しないと、1分後には慣れてしまう。
だから、部屋に入る前の空気とか臭いとか感覚を覚えていて、
ドアを開けた瞬間と、よく比べる事が大事だ。
この一瞬を逃すと、大事な事を見落とす事が多い。
私はまず、ドアにノックした。「とん、とん」
「お邪魔致します。かやと申します。」そう言ってドアに手をかけた。
ドアの向こうの部屋に何が居るか分からない場合、
まずは、ちゃんと礼儀を尽くして、入る事が大事である。
そうしてから、少しずつドアを開けた。
かすかに畳の臭いと木の臭いがする。
動物の臭いはしないので、動物霊が関係している訳では無さそうだ。
畳の部屋は東南に窓が有り、明るい陽射しが入っていた。
嫌な感じの部屋では無い感じだ。
特にカビ臭い事もなく、湿った感じも無い。
ただ、部屋に入った瞬間、誰にも五月人形の場所を教えてもらっていないのに、
直ぐにそれがどこにあるのか目に入った。
これは、ある意味、この五月人形にオーラがあると言ってもいいのかもしれない。
私は部屋には入らずに、しばらくその人形を観察した。
子供の金太郎は、裸に金と書かれた四角の衣装を身にまとっている。
肩まで伸びているたわわな髪の毛が抜けたのだろうが、
右手に持っている斧がやや怖い感じがした。
窓からは隣のアパートが見える。
私は「失礼します。」とお辞儀をしてドアを閉めた。
この間約5分位。
さっそく、私達は居間に移り、彼女とお祖母さんに質問した。
まずは、あの人形の購入時の事である。
「あれは亡きお祖父さんが、新品をお買いになったという事ですが、確かですか?」
その時お祖母さんも一緒に買いに行ったにで、確かだという。
それから誰かに預けた事も無いし、ずっとあそこに飾ってあるという。
この時点で、実物を拝見したのにも関わらず、さっぱり分からなかった。
確かに、部屋に入った時に人形にオーラらしきものがある様な気がして、
斧にやや怖い感じを受けたが、確かな確証は無い。
ただ、これだけは彼女らに指摘した。
それは、五月人形も一応季節の物なので、出来れば5月中には仕舞って、
また来年の五月に出すという方が良いですよ。
しばらく考えたが、悪い環境には無い事が分かると、
後はもう謎だけが、私の頭の中を駆け巡るだけだった。
新品を買ってから、ずっとあの部屋にあるだけの人形である。
やはり、この家に問題が無いとなると、残るは窓から見える景色だ。
「今から3年前は、隣はアパートでしたか?」
すると、3年前は確かにアパートだったが、
4年間は大きな庭がある一軒家だったという。
「もしかして、幽霊屋敷だったとか?」と聞くと、違うという。
「じゃあ、空家では無かったんですね。」と念を押すと、
お祖母さんが、変な事を言ったのである。
「空家って、祠(ほこら)でも入りますか?」
「祠(ほこら)?」
隣のアパートが建つ前、一軒家の広い庭には小さな祠があったという。
その祠は小さい鳥居もあり、この畳に部屋からよく見えたという。
しかし、引っ越しと同時にその家も、その祠も壊されて、
今のアパートが建っているというのである。
私は聞いてみた。
「その祠を壊す時、誰か神主さんとかお寺の人は来ていましたか?」
と聞くと、知らない。見た事は無いという。
何か嫌な予感がした。
4年前と言うと、時期的にこの人形と家族に不幸な事が起きる時期が合っている。
私は、それが原因だと思った。
というか、それ以外考えられなかった。
とにかくやってみる価値はあるだろう。
私は彼女らに、私の考えを説明した。
多分、お隣の祠には、お稲荷さんとか神様を祭っていたと思います。
それが何の断りもなく、ただ壊されたのでしょう。
そうなると、その祠に祀られていたお稲荷さんとか神様の化身が、
祠から逃げ出して、近くにある石像とか人形に入り込んで避難するんです。
多分石像があっても、それも壊されたのでしょう。
やがて、一番近くにあったこの家の五月人形が目につき、
避難して入り込んで来たのだと思います。
そうなると、ちょっと厄介で、
避難して入ったあの五月人形が、仮の祠となってしまい、
こんどはその祠となった五月人形に対して、奉仕する様に求めて来るのです。
でも、貴方がたはそんな事は知らないから、奉仕などしないし、
祈りもしない。そこで霊障が家族を襲ったと思われます。
私はまず、近くで人形供養出来る神社を探す様にアドバイス。
そして、今日から1週間毎日、
あの五月人形の下に立派な赤い絨毯の布を敷き、
お酒と水とお茶をあげ、ご飯を供えて、
「今まで、気づかずほっといてすみませんでした。」と家族全員で謝り、
1週間後の○日に、○○神社に持っていきますので、
この家から離れて下さいとお願いする様にアドバイスした。
その翌年、今まで毎年起きていた不幸は起きなかったという。
とても希なケースであるが、こういう事があるのである。
END