●夫婦というもの




今日は何を書こうかと、テレビを見ていると、

黒柳さんの番組で、永六輔さんの追悼番組をやっていた。




番組で、黒柳さんは、永六輔さんの事を、番組冒頭に

「私とは60年以来のお友達でした。

 どんな時でも笑うことが大好きな方でした。

 本当にいろんなことを皆さんに教えてくださいました」と語った。




 

徹子の部屋』 番組最多タイとなる、39回出演した永六輔さん。

今年の2月4日にタレントの大橋巨泉(82)と共に出演し、

2010年にパーキンソン病と診断され車椅子でのこの出演が最後となっていた。




テレビや新聞では、永六輔さんの事を、

放送タレント、エッセイスト、作詞家などで活躍していた方と紹介されていたが、



私が抱く永六輔さんの印象は、





優れた愛妻家」である。




この日の番組では、永六輔さんが出演された39回の中から

印象に残っている場面を放送していた。



しかし、私が一番印象に残っている回は、最後まで放送されなかった。




それは、愛する奥さんが亡くなってまもなく「徹子の部屋」に出演した時のもので、

話が奥さんの話になった時だった。



永六輔さんが、急に子供の様に泣きじゃくって、番組が中断するほどだった。


テレビ放送で、亡くなった妻の事を思い泣きじゃくる人は余りいない。

よほど奥さんの事を愛していた人なのだと感じた。






実際、永六輔さんは、奥さんが亡くなって14年経っても、

遠出すると毎回、妻宛てに絵手紙を書いて出すという。



それを受け取る奥さんはもういないのに、毎回絵手紙を書いているのだそうだ。

家に届いている手紙は、次女たちがお母さんの慰霊の前に山になって置いておくという。





手紙だけではない。




黒柳さんが、こんな話をした。


彼女と番組で地方に行った時に、永六輔さんが電話しているので、

誰に電話したの聞くと、亡くなった奥さんに電話しているという。


「妻に、今、旅先に着いたって電話をするんだけども出ないんだよね。

 当たり前だけども・・・

 出ないけども・・・ひょっとして出るかなと思うわけですよ。

 だから待っている。

 その待っている間って、楽しいでしょう

 そして、最終的に居ないんだと思って受話器はおきますけども、

 また電話しているんですよ。」





自宅の玄関には、今も妻のお気に入りの靴が出してあるという。





私は永六輔さんが、7月7日、

七夕の日に亡くなられたのは偶然では無いと思う。



 

次女の永麻理さんもマスコミにこう話している。



「父は、三途の川ではなく、七夕の夜に天の川を渡って


 
 天国の母に会いに行きました。」と。




永六輔さんは、瀬戸内寂聴さんとも40年来の友人だが、

奥さんが亡くなられた後、彼女と会うと、

なぜか、瀬戸内寂聴さんは、永六輔さんに挨拶すると、

続いて、永六輔さんの後ろに向って再び丁寧に挨拶したという。

永六輔さんが、不思議そうに見ていると、瀬戸内寂聴さんが、



「ほら、後ろに奥さんいるでしょ」って。



 


永六輔さんは、生前、夫婦についてこんな事を書いている。(抜粋)


 

 

恋人と夫婦の見分け方

 


不安と戦うのが「恋人」 不満と戦うのが「夫婦」

ときめきをくれるのが「恋人」 安心をくれるのが「夫婦」

責任がないのが「恋人」 責任を伴うのが「夫婦」

夢を見るのが「恋人」 現実を見るのが「夫婦」

相手に完璧を求めるのが「恋人」 不完全を受け入れるのが「夫婦」

幸せ気分を味わうのが「恋人」 幸せを作り出すのが「夫婦」

お互いを見つめあうのが「恋人」 同じ方向をみるのが「夫婦」

自由な関係なのが「恋人」 運命を供にするのが「夫婦」

 

 

いいですか、夫婦ったってアカの他人ですよ。

アカの他人同士が起こす奇跡、それが夫婦というものです。

 

 


そして、ラジオの生放送で、

女房に腹が立っているという男性に対して、こんな事を言ったという。



 

「あなたね、女房だと思うから腹が立つんですよ。


 どこかの見知らぬ女だと思えば、いいんです。


 

 

 


 どこかの見知らぬ女が、炊事、洗濯、そのうえ、いっしょに寝てくれる。

 


 これには頭が下がりますよ。」

 

 

 

 

そんな最愛の妻が残した、永六輔さんへの


最期の言葉は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野菜食べてね。」だったという。

END