●庭が無い



 


このお話は、一昨日のブログ(●従業員は宝)の続きです。

 

従って、一昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12172088050.html

 


を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ



それは関東圏内に10店舗以上の飲食店を経営しているという男性だった。

5年前に亡くなった父親の経営を引き継いだ、ご長男で、

引き継ぎもスムーズに行き、業績も伸ばしていたという。ところが、

2年前から段々と業績が落ちていき、去年からは3店舗が赤字に転落したという。

赤字になっていない店舗もみんな2年前から、業績が悪くなっているという。

さて、10数店舗の内、赤字は3店舗、

しかし、実際はどの店も2年前から業績が悪くなっているという。

もちろん、各店舗ごとにも、それぞれ問題はあるのだろう。

しかし、同時期に全店舗の業績が悪くなるというのは、偶然だろうか。

何か全店舗に共通する何かに、問題があるのだと疑う。

そして、離れている場所にある全店舗に共通する事と言うと、

私の経験上、大抵の場合、それは社長である。

社長のお家騒動が、全店舗に悪い影響を及ぼしているケースは多い。

そこで、社長に2年前~3年前に何かご自身の事で、

変わった事を行ったとか、何か今までに無い事をしたとか、

特別な買い物や、建築を行ったとか誰か亡くなったとか無かったか聞いてみた。

しばらくすると、「車を新しく3台買いました。」と答えた。

ケータイに入っているそれらの車の写真を見せてもらうと、

それらは私の様な素人にも分かる高級車である。

ただ、高級車を3台買ったからと言って悪い事では無い。私もこの時点では、

まさかこれが今回の事に関係しているとは、思いもしなかった。

他に、2年前~3年前に何か特別な事は無いという。そこで質問を変えた。

「何か2年前から自宅にお住いの方で病気とか具合が悪くなった人はいますか?」

すると、奥さんが2年前頃から、

呼吸がスムーズに出来ないので医者に掛かっているという。

ただ、肺や喉の検査など3ヵ所の病院で精密検査してもらっても、

特に異常は無く、ストレスや他の原因だろうと薬はもらうのだが、

未だに治らないという。自宅に問題がある場合、

そこに住む人が病気になったり、原因不明の体調不良になる事がある。

会社の業績も、奥さんの体調もほぼ同時期に悪くなり始めているという一致に、

何か嫌な感じがした。一度、自宅を診てみたいと思った。

そこで、何か今お持ちの車で問題は無いですか?と聞いてみる。

すると、奥さんが普段の買い物に使用しているベンツがあるらしいのだが、

先日猫を轢いたとかで、気持ち悪がっているという話が出た。

私は、それはチャンスだと思い、「それだったら、

私が今行ってその車の供養してあげますよ。」と名乗り出た。

ようやく社長も、それじゃあ車だけ供養してもらうかな。という事になった。

こうして、車だけという条件ではあったが、

私は社長の家に行く事になったのである。























 

 

 


私達はそれぞれの車で、社長の自宅に向った。

高級そうな家が並ぶ住宅地に入って行く。

多分、都内の高級住宅地なのだろう。



しばらくすると、社長の車が立派な家の前で止まった。

大きな車庫とその前に何台か停まれるスペースがある。

社長の車が着くと同時に車庫の扉が自動で開き出す。

車庫の中は、意外と明るい作りになっている様だ。

車庫の中なのに、サンサンと太陽の光が入ってきている。

始めは天井が無い吹き抜けの車庫かと思いきや、

シャッターが全開すると分かったのだが、

天井がアクリルみたいな透明の素材で出来た全面窓になっている作りだ。





 

凄い!


 

そして、社長の高級車は車庫の中に、

私の車は車庫の前のスペースに停める様にと、社長が手で合図する。




指示通りにガレージ前に車を停めると、降りて社長の元へ。

さっそくガレージの中にあった奥さんのベンツの供養を頼まれた。




そこで、奥さんに塩と空雑巾を持って来てもらう様にお願いした。

塩は天然の海の水から出来た塩を使うのだが、

そこは心配無かった。



私の経験上、大抵のお金持ちの家は天然の塩が常備されている。

料理で使う他に、風呂に入れたり、美容に使ったりしている。

まぁ、無いと言われても、私の車には常時用意はしてあるが。





猫を轢いてしまった車の供養だが、

実はそんなに難しいものではない。

先にも言ったが、別に私がわざわざ来なくても出来る事だ。

「奥さん、猫を轢いたのは、どこのタイヤか分かりますか?」


すると、左側の前のタイヤだと言う。

なるほど。



こういう場合、左の前のタイヤに塩をふり、また雑巾にも塩をかけて、

タイヤを乾拭きする。その時に「猫ちゃん、ごめんなさい。

どうか成仏して、早く生まれ変わってね。」と言いながら乾拭きする。

タイヤを雑巾で乾拭きするのを、社長夫人にやらせる訳にもいかないので、

そこは私がやり、その間、夫人には祈ってもらった。

ちなみに、念の為に左の後ろのタイヤも同じように塩乾拭きしながら、

猫に祈った。


というのは、前のタイヤで轢いた後、後ろのタイヤでも轢いているかもしれない。

最後に、夫人に、「今度、猫を轢いた場所を通ったら、

今言った言葉を言って、合掌してあげて下さい。」

別に、彼女は故意で猫を殺した訳では無いので、

こんな感じで誠意を示しておけば、そんな悪い霊障は来ないはずである。

 

多分、奥さんはご主人に車から指示をされていたのだろう。

塩の他に、他の店舗の資料も手に持って来られた。




という事は、あくまで自宅には上がらせたくないという事なのだろう。




まずいなぁ。



ガレージの中だけ見たのでは、来た意味が無い。


人目、自宅を診たかった。



 

 

しかし、こんな時、


私がよく使う良い手がある。







「すみません。


 ちょっとトイレ貸してもらえますか? すみません。」



社長も、顔でしょうがない奴だなぁ。と思いながらも、

仕方なく、自宅へ案内してくれた。






ちょっとずるい方法だが、社長の為でもある。






門の外からも少しだけ見えたのだが、

敷地内に足を踏み入れると、はっきりとそれが鉄筋の3階建の豪邸だと分かる。

しかも大きな玄関と、優雅な階段。

そして階段脇に、まさかのエレベーター付きだという。





かぁー。個人宅でエレベーターが付いているの初めて見たわ。







私は感心しながらも、トイレに入ると、

トイレの窓を開けて、そこから裏庭も観察してみた。



どうせ見せてもらえるのは、トイレだけだろうから、

出来る限りの観察を試みたのだ。



裏庭は、一面大理石の床になっていて、土の部分が無い。

だから、ゴミや草も無くすっきりしていて綺麗なものである。





そう言えば、家に入って来る時も、

庭らしきものが無かった。





そこで、トイレから出ると、奥さんに、

「庭は家の横にあるのでしょうか?」と聞いてみた。





すると、庭はもう無いという






以前は、家の前に庭があったのだが、

2年半前に庭を全て取り壊して、

そこを、大きな車庫と車庫前のスペースに代えてしまったそうだ。



そして、ご主人が3台の高級車を買ったという。






 

つまり、この家には「庭が無い」のである。





別の言い方をすると、


この家の土地は、すべてコンクリートで塞がれた土地となっているのである。




 

ここからの話は、信じる信じないは自由ですが、


実は、「土地は生きている。」と思って下さい。


日々私達は、平然と暮らしていますが、

実は、土地の上の住まわせてもらっていると、感謝すべきところです。




社長の家は、鉄筋コンクリートでエレベーター付。

ただでさえ、かなりの重さで土地の負担を強いています。

土地は何年もの間、重い3階建の住宅を背負って頑張ってきたのです。



それだけでも、時々土地に感謝の気持ちが必要です。

ところが、それに加えて土地が呼吸出来ない様に、

土地の全てにフタをしてしまったのです。




多分ですが、奥さんの謎の病気である、

呼吸がうまく出来なくなるという症状も、それに関係している気がします。




そして、こういう場合、

土地は、この家の住人に出ていってもらいたいと思い、

仕事がうまくいかなくなったり、住民が病気になって、

この家に居られなくしたりする事があるのです。





裏庭の大理石の床を壊し、家の前にも小さい庭を作る事を社長に提案しました。

しかし、こういう提案は、社長のお気に召さなかった様でした。






「なんで、会社の業績が、私の家と関係があるんだぁ!!」



「わけ分からん。

 他の占い師に聞くからいいわ。」





と、言われてしまいました。







元々、前兆もありました。

一番不振だった店舗の原因が、社員の不出来ではなく、

社長が元調理人の老人を、無下に切り捨てたからだと思いますと、

指摘した時から、社長は気に入らなかった様でした。




 

その後、社長の会社がどうなったかは知りませんが、

私にとっては、苦い経験の1つでした。

END