●従業員は宝



占い師の仕事をしていると、

どうしても、私の鑑定結果に不満というお客も現れる。




そういう場合は、仕方が無い。

鑑定結果をゴリ押しする訳にもいかないので、縁が無かったとして、

黙って引き下がる事にしている。




そんな時は、その時の手数の度合いにも寄るが、

その時の鑑定料を貰わなかったり、返却する事もある。





占い師の仕事も、全てがうまく行くとは限らないのである。






そんな、うまくいかなかった経験談を、

今日はひとつ書いてみようかと思った。





それは都内でも、ややお金持ちと言える方からの相談だった。

関東圏内に10店舗以上の飲食店を経営しているという男性だった。

5年前に亡くなった父親の経営を引き継いだ、ご長男で、

引き継ぎもスムーズに行き、業績も伸ばしていたという。





云わば、若き2代目社長というわけだ。




ところが、2年前から段々と業績が落ちていき、

去年からは、3店舗が赤字に転落したという。





 

そんな時、彼の知人の紹介で、私の所に相談に来たのである。

私の前に現われた彼は、ネクタイはしていないラフな格好だったが、

高級そうな靴と、ロレックスの時計が逆に目立つ第一印象だった。




 

私が鑑定に入る前に、

もう既に彼には心当たりがある、という感じで、

現在赤字の3店舗の写真数枚と、そこに勤める従業員の履歴書を出し始めた。






そして、彼はここにある従業員を鑑定して欲しいと言った。






つまり、赤字に転落したのは、

その店に勤めている従業員に問題があるというのだ。






3店舗となると、個々の従業員の問題では無い気がしたが、



そこは、占い師も客商売である。

私も一応お客が診て欲しいという所から、真剣に検討し始める事にしている。






大抵の経営者の方は、こんな時には、

決まってみなさん、従業員の履歴書をお持ちになる。



確かに、履歴書には学歴である、今までの職業や学校名、特技、生年月日、

そして写真が載っていて、鑑定するには絶好の資料である。








ただ1つ忘れている事がある。




それは、履歴書はこの会社に入社する前の姿であるという事。


つまり、鑑定結果はその人の入社前の判断になるという事である。

だから、履歴書からこの会社に向き不向きは分かるが、

最初は不向きであっても、その後頑張って会社の為に尽くしている人もいれば、

向いていても、入社したらサボってばかりの役立たずもいる。



しかも、履歴書に貼ってある写真は、よそ行きの写真であり、

余り真相がその一枚だけで判断出来ない事が多い。




それよりは、むしろ普段働いている時の写真や、

社員全員で撮った集合写真の方が、本人の性格や気持ちが出やすい。

だから、知り合いの社長には、飲み会や社員旅行の時には、

必ず全員写真や旅行時の写真を撮る様に勧めている。

意外とそういう写真に、会社への忠誠心や気持ちが出る事が多い。





という事で、個々の従業員の履歴書だけを眺めていても、

3店舗となると数も膨大だし、ざっと全部目を通した所で切り上げた。





こういう広範囲に渡って問題がある依頼を受けた場合、

全体を診ていると、段々分からなくなってしまう。

だから、私の場合、まずは1つの所を掘り下げて考える事にしている。




今回の場合であれば、

赤字3店舗の中でも、特に悪い店舗を1つだけ掘り下げて診る事である。

そこは明らかに、他の店舗よりも一桁業績が悪く、

赤字も他よりも先んじていた。





この時に考えるのは、この店舗の業績が悪くなり始めた時期に、

この店に何があったのかである。




例えば、店舗を広くしてから業績が悪くなったとか、

新しく倉庫を借りてから悪くなったとか、

その時期に新しく雇った社員が来てから、業績が悪化しだしたとかである。

そこで、初めてその社員の履歴書を診るというのが正しい順序である。




 

若社長に、その店舗の業績が悪くなり始めた時期の事を、

色々聞いて行くと、どうやらその時期に2人ほど有能な調理人が辞めたのが、

業績が下り始めた原因だという事が分かった。





調べると、他の女性の年配の従業員と、

指導役という高齢の元調理人もその時期に辞めていた。



辞めた原因を聞くと、それは特に分からないという。

ただ、最初に辞めた高齢の元調理人は、辞めたのでは無く首にしたのだという。

彼は先代の頃から活躍していた調理人だったのだが、利き腕を怪我してからは、

ほとんど料理が出来なくなっていたのだが、先代の社長は、

調理が出来なくなってからも変わらず雇い続けていたのだという。



後を継いだ若社長は、調理人でも無い彼には見合わない給料だと思い、

解雇したのだった。




しかし、それから間もなくして、彼の下に居た有能な調理人2人と、

年配の女性従業員が次々に辞めて行ったという。




会社にとって、従業員は宝だという。


多分、この店にとって、元調理人は全員の心の支えであり、

その人の元、みんな団結して頑張っていたのかもしれない。


だから、先代の社長は、

役に立たなくなった元調理人も変わらず可愛がっていたのだろう。




この店舗の業績が急降下したのは、多分そんな事情が原因だと思った。

しかし、他の店舗にはそういう問題は無かった。

社長に聞くと、赤字になっていない店舗もみんな2年前から、

業績が悪くなっているという。






 

何か、もっと違う原因がある様な感じがした。


後半は、明日のブログに続く。