●猫ちゃんの家相
このお話は、昨日のブログ(●何か居る和室)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12168088538.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
渡河の仕事関係の友達Mが、水戸に住んでいて、泊まりに行ったという。
友達Mは駅から車で5分位の場所のアパートに住んでいて間取りは2LDK。
独り暮らしにはしては、やや大きいたた住まいだ。
10帖のリビングダイニングはほとんど事務所になっていて、
机と椅子と書類棚で、ほぼオフィス状態だという。
6帖の洋室には大型テレビとパソコン、そして夜はベットにもなるという
ソファがあり、普段彼はこのソファをベッドに変身させて寝るという。
この6帖の和室には本棚と丸いちゃぶ台があり、
お客が来た時や、事務所のスタッフが徹夜した時に泊まる部屋となるという。
その時の布団などは、収納に納められていて、
泊まる時にだけ、出して敷いてあげるのだという。
バルコニーには、洋室から見える所に観葉植物が1つと、
和室から見える所に観葉植物が1つ置いてある。洋室と和室の間には襖が3つあり、
普段は閉めていてバルコニー側の襖の近くに、大型テレビを置いているので、
襖を開ける時は、リビングダイニングに近い部分の襖を開けるという。
その日は、二人で夜食事に行きアパートに戻ったのは夜9時頃だったという。
二人で話をしたあと洋室でDVDを見て夜中の12時を回った頃に寝た。
友人Mは、いつもの様に洋室にあるソファをベットに変身させ寝る事に、
そして、渡河は問題の和室に寝る事になった。渡河に異変が起きたのは、
夜眠りについてから、2時間ほどした時だったという。
なんとなく息苦しくなり、呼吸が出来なくなってきた。
そこで、起きて水を一杯飲みに、リビングに行ったという。
和室からは洋室を通らずリビングに行けるので特に友人を起こす事は無かった。
渡河は水を一杯飲むと、また和室に戻り寝たという。
ところが、1時間ほどすると、また息苦しくなり呼吸が出来なくなってきた。
そこで、再び台所に行き、水をもう一杯飲んだ。
しかし、寝始めると、また息苦しくなり、呼吸が出来なくなってきたのだ。
これはおかしいと思い彼は自然に空気を求めたか、
とっさにバルコニーに通じる窓を少し開け外から空気が入る様にしたという。
幸いアパートは3階だったので、泥棒の心配はなさそうだった。
しかし、結局渡河は眠れずに、一晩を明かしたという。
翌日起きて来た友人Mに、その事を言うと、なんとMは、
「やっぱりかぁ」と言ったのである。実は、その和室で寝る人ほとんどが、
息苦しくなり、呼吸が出来なくなってきて寝れないと訴えるのだというのだ。
「お前は図太い性格だから大丈夫だと思ったんだが、やっぱりダメだったか。」
聞くと、渡河以外にも、その和室に、今まで泊まった友人3人と、
事務所のスタッフ3人が夜中に息苦しくなって、寝れなかったという。
今では、スタッフの間では、「何か居る和室」とまで、噂されていて、
徹夜作業になっても、誰もその和室には泊まらなくなっているという。
本当は引っ越したいのだが、事務所の住所や名刺に、
このアパートの住所が印刷されていて、引っ越すとなると、
引っ越し費用の他にも便せんや封筒・名刺など、
変える物が多くて引っ越せないという。そこで白羽の矢がたったのが私だった。
渡河が彼に、私の話をして、勝手に値段交渉まで済ませてから、
私に電話してきたのである。私は仕方なく、水戸に行く事になった。
普通は車で行く所だが、この時は渡河がすでに向こうに居るので、
電車で行って、帰りは渡河の車で帰ってくる事にした。
すぐに電車に飛び乗り、山手線で上野駅へ。
JRの特急に間に合い、水戸に着いた。
さすがに特急は早い、上野を発ってからわずか9駅に止まっただけで、
1時間半後には水戸に到着である。
正直、茨城県の水戸にこんなに早く行けるとは思わなかった。
乗車券の他に特急券が1500円位かかったが十分東京への通勤圏内である。
よく渋谷で待ち合わせをする場合、
有名なのは、ハチ公の銅像前での待ち合わせであるが、
ここ水戸では、
水戸黄門の銅像前での待ち合わせが有名だと渡河はいう。
という事で、渡河に言われて水戸駅北口にあり水戸黄門の像前で待ち合わせた。
私は初めて見るが、
水戸黄門だけの銅像かと思ったが、行ってみると、
水戸黄門の両脇に助さんと格さんが3人並んで居た。
ただ残念だったのが、3人並んで居るのは良かったのだが、
出来れば、助さんあたりが、「この紋所が目に入らぬか!」と、
印籠を出しているポーズにして欲しかった。
余談ではあるが、水戸黄門と言えば、
全国を徒歩で旅した諸国漫遊で有名だが、
実際は、水戸と江戸を行き来したぐらいで、他の場所に行った事は無いという。
ただ、ストーリーとしては、最高に面白い。私もファンだ。
結末が分かっていながら最後まで面白いというのは、すごい。
やがて20分もすると、渡河がやって来た。
問題のアパートは、駅の北口から車で5分位の所にあった。
一見、ごく普通のアパートである。
アパートを診る場合、私は最初にざっと外見と周りの環境等を見た後、
そのアパートのポストを見る事にしている。
落書きは無いか、綺麗か、そして空き部屋は多いかである。
落書きがポストの周辺やポストにあるアパートは、
今一管理が良く無かったり、この地域の環境が悪かったりする。
また空き部屋が多いと、他の部屋でも何か悪い現象が起きている場合がある。
幸い、このアパートは全室埋まっている様だし、
ポスト周辺も綺麗で、落書きも無い。
エレベーターで、3階の友人Mの家へ向かった。
「お邪魔しま~す。」さっそく中へ。
玄関を入り、正面のドアを開けると、リビングはオフィスさながらだ。
既に午後6時を回っていたので、居たのは社長のMだけだった。
「初めまして、かやと申します。よろしくお願い致します。 」
「遠い所、わざわざ来て頂きすみません。よろしくお願い致します。 」
簡単な挨拶を交わすと、さっそく問題の和室をみせてもらうことにした。
リビングから和室へ通じるドアを開ける。
この一瞬が大切である。
人間は環境にすぐに環境に慣れるので、
このドアを開けた瞬間、感じる事が全てな時がある。
カビ臭いとか。
動物のニオイがするとか、
背筋や腕がゾクッとこないか。などである。
普通の方は、その最初の一瞬を感じようとしないので、分からない場合が多い。
私でも、全神経を集中して感じようとして、
やっと分かるか分からないかという微妙な違いである事が多い。
ただ、この時は、和室へのドアを開けた瞬間も、
何も悪い感じはしなかった。
しいて言えば、動物のニオイがしたのだが、
聞くと猫を飼っているというので、当然である。
という事で、問題の和室に入っても特に悪いものは見つからなかった。
ただ、気になる点は1つだけあった。
それは猫ちゃんにとっての家相である。
まぁ、今回の件とは無関係だろうが、
気になったので、一応彼に言っておいた。
「この和室に気になる所は今の所無いのですが、
1つだけ猫にとって良く無い家相が1つ有るんですが・・・」
「えっ、何ですか?」
「トイレです。」
「トイレ?」
実は、私が和室のドアを開けた時、
一番最初に目に入ったのが、猫用のトイレである。
ベランダとの壁際に寄せてあったのだが、
丁度和室のドアを開けると、その猫用のトイレが真正面に見えるのだ。
つまり、ドアを開けると猫のトイレが、一番最初に視界に飛び込んでくる。
これは猫にとって、悪い家相なのである。
猫は本来、臆病でトイレも他の動物から狙われない様に、
トイレの跡は砂をかけて隠したりして、敵から分からない様にする。
だから、猫にとって良いトイレの家相は、
人目につかない場所に猫用のトイレがある事である。
どうしてもそういう場所が取れない場合は、衝立を立てるとか、
観葉植物で陰にしてあげるとか、人目につかない様にしてあげると良い。
この様に、一番人目につく場所に猫のトイレがあると、
情緒不安定になったり、病気がちになったり、
逃げだしたりする様になる事が多い。
これは、言わば猫ちゃんの家相とも言える。
そして、猫のトイレとは言え、トイレが目立つ所にあるというのは、
そこに暮らす人間にとっても、やや悪い家相にもなる。
まぁ、今回の不思議な夜の現象とは関係は無いと思うが、
気がついた所は、言ってあげるのが私の心情である。
さて、そんな訳で、私は特に異常らしきものが見つからないまま、
夜中になってしまった。
その間、本棚やタンスや畳など、和室にある物は全て見たのだが、
特に悪い物は見当たらなかったのだ。
実はここに来る前は、
密かに寝る時に敷く布団に原因があるのではないかと、
思っていたのだが、話を聞くと、
布団はつい1ヵ月前に買い替えたばかりで、新品に近いという事だった。
という訳で、
猫のトイレ以外に悪い所が見つからないのである。
やがて、12時を回り、私達も寝ようかという事になった。
こうなったら、体験するしか無いか。
と、私も観念した。
布団を敷こうという事になり、
畳の部屋にあったちゃぶ台を脇に立て、布団を敷くスペースを開けた、
そして、渡河が押し入れを開けた、その瞬間だった。
私が、「あっ!!」と叫んだ。
最終話は、明日のブログに続く。