●何か居る和室
この話は、私の友人である渡河が持ち込んだものだった。
渡河の仕事関係の友達Mが、水戸に住んでいて、
週末その彼の家に、泊まりに行ったという。
その時に、ある不思議な体験をしたのだった。
友達Mは、駅から車で5分位の場所のアパートに住んでいて、
間取りは2LDKだという。
独り暮らしにはしては、やや大きいたた住まいだ。
10帖のリビングダイニングはほとんど事務所になっていて、
机と椅子と書類棚で、ほぼオフィス状態だという。
6帖の洋室には、大型テレビとパソコン、
そして夜はベットにもなるというソファがあり、
普段彼はこのソファをベッドに変身させて寝るという。
そして、問題の和室であるが、
この和室には本棚と丸いちゃぶ台があり、
今回の様に、友人が来たり、お客が来た時や、
事務所のスタッフが徹夜した時に泊まる部屋となるという。
その時の布団などは、収納に納められていて、
泊まる時にだけ、出して敷いてあげるのだという。
バルコニーには、洋室から見える所に観葉植物が1つと、
和室から見える所に、観葉植物が1つ置いてある。
洋室と和室の間には、襖が3つあり、
普段は閉めているのだが、バルコニー側の襖の近くに、
大型テレビを置いているので、
襖を開ける時は、リビングダイニングに近い部分の襖を開けるという。
その日は、その友人と二人で夜食事に行き、
アパートに戻ったのは夜9時頃だったという。
二人で話をしたあと、洋室でDVDを見て、
夜中の12時を回った頃に、やっと寝る事になった。
友人Mは、いつもの様に洋室にあるソファをベットに変身させ寝る事に、
そして、渡河は問題の和室に寝る事になった。
さて、渡河に異変が起きたのは、
夜眠りについてから、2時間ほどした時だったという。
なんとなく息苦しくなり、呼吸が出来なくなってきた。
そこで、起きて水を一杯飲みに、リビングに行ったという。
和室からは洋室を通らずリビングに行けるので、
特に友人を起こす事は無かった。
渡河は水を一杯飲むと、また和室に戻り寝たという。
ところが、1時間ほどすると、
また息苦しくなり、呼吸が出来なくなってきた。
そこで、再び台所に行き、水をもう一杯飲んだ。
しかし、寝始めると、また息苦しくなり、呼吸が出来なくなってきたのだ。
これはおかしいと思い、彼は何を思ったのか、
自然に空気を求めたか、とっさにバルコニーに通じる窓を少し開け、
外から空気が入る様にしたという。
幸いアパートは3階だったので、泥棒の心配はなさそうだった。
しかし、結局渡河は眠れずに、一晩を明かしたという。
翌日起きて来た友人Mに、その事を言うと、
なんとMは、「やっぱりかぁ」と言ったのである。
実は、その和室で寝る人ほとんどが、
息苦しくなり、呼吸が出来なくなってきて寝れないと訴えるのだというのだ。
「お前は、図太い性格だから、大丈夫だと思ったんだが、
やっぱりダメだったか。」
聞くと、渡河以外にも、
その和室に、今まで泊まった友人3人と、
事務所のスタッフ3人が夜中に息苦しくなって、寝れなかったという。
今では、スタッフの間では、
「何か居る和室」とまで、噂されていて、
徹夜作業になっても、誰もその和室には泊まらなくなっているという。
本当は引っ越したいのだが、
事務所の住所や名刺に、このアパートの住所が印刷されていて、
引っ越すとなると、引っ越し費用の他にも便せんや封筒・名刺など、
変える物が多くて、引っ越せないという。
そこで白羽の矢がたったのが、私だった。
渡河が彼に、私の話をして、
勝手に値段交渉まで済ませてから、私に電話してきたのである。
私は仕方なく、水戸に行く事になった。
やがて、「何か居る和室」の正体が分かるのである。
後半は、明日のブログに続く。