●壺と山林
このお話は、昨日のブログ(●呪いが憑いた遺産)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12164090299.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
もう何年も前になるが、ある人から、遺産相続の相談を受けた事があった。
父親が残した遺産を、子供達と奥さんが相続して分ける事になったのだが、
父親が急死だった事もあり、明確な遺書が残されていなかった。
いざ話し合いをしてみてると、奥さんは家と絵画が欲しいとか、
兄は車と別荘が欲しいとか、やはりそれぞれの遺産の値段を算出して、
価値を数字で比べる必要性があるという事になり、
1ヵ月かけて遺産の有無と見積もりを依頼したという。
そして、先日その弁護士によって、遺産目録なるものが出来上がって、
後日また家族会議が開かれ、誰がどの遺産をもらうか希望を聞いた上で
分ける事になったのである。私は、その家の次女に依頼されて、
その遺産の中のどれを相続したら良いのか診て欲しいという相談だったのである。
今回の様に、その家の主人が亡くなると、
遺産相続の問題が起きる事がよくある。
と言っても、相続税には基礎控除というものがあり、
例えば、子供が2人いた場合、
奥さんを入れた3人が亡き夫の財産を相続する訳だが、
日本では、3000万円が初めから控除されるので、
3000万円+(3人×600万円)=4800万円が控除される。
つまり、夫が残した財産が4800万円以下なら税金は0円である。
だから、私も数年前に父を亡くした時、税金は0円だった。
(嬉しいのか、悲しいのか複雑)
きっと皆さんは、財産が多い程、遺産トラブルは激しくなると思っているだろう。
でも、実際は違うらしい。
知り合いの弁護士さんに聞くと、
一番相続問題でトラブルになるのは、相続が6000万円以下の家庭だという。
確かに、多少少なくても頭にきても、1億もらえばいいかとなるかもしれない。
やはり、諺(ことわざ)にある様に、「金持ち喧嘩せず」だ。
そんでもって、今回の依頼者は金持ちそうなので、
遺産相続に関しても、あまり問題が無さそうと思っていたのだが、
話を聞くと、お姉さん夫婦に問題が少しあるみたいだった。
お姉さんは、弁護士の人と結婚されていたのだが、
この弁護士という男が、なんか嫌な男で、悪知恵が働く奴だという。
通常、夫が亡くなると、妻が半分を相続し、残りの半分を子供達で分ける。
これが原則なのだが、
悪知恵の働く姉の弁護士夫は、超裏ワザを使ったというのだ。
どんな言い方をして、お父さんを言いくるめたかは分からないが、
お父さんの生前、何度も息子を遊びに行かせて、
いつの間にか、息子を養子縁組させていたのである。
通常、どんなに可愛い孫であっても、孫には相続の権利が無い。
ところが、養子にしておくと、子供扱いになり、相続の権利が発生するのだ。
つまり、妻が半分を相続。残りの半分を子供達+養子になった孫で分ける事になり、
お姉さんは、事実上他の兄弟よりも2倍の財産を受け取る事になった。
相続は、相続する人数が増える程トラブルも増えるという。
今回は、奥さんと兄、次男、長女、次女(私の依頼者)それに長女の孫を含めて、
6人が相続人である。
傍から見ると、長女夫婦対他の家族の争いが始めると思えたが、
そこはやはり金持ち家族、特に問題は起こらず、淡々と相続会議が行われた。
私は相続会議に同席する事は出来ないので、次女と電話でやりとりをする事になった。
元々、亡くなったお父様は、不動産業によって一代で財産を築いた方で、
既に長男が会社を引き継ぐ事は決まっていたので、会社の株式や借地など、
売掛金、営業権、貸付金などは長男が相続する事ですんなり決着していた。
また奥さんの希望する自宅の相続も、反対する家族はいなくすんなり決まった。
残りの自動車3台と、別荘2つ、アパートが一棟。
絵画類と宝石、書画骨董、預貯金、会員権、会社以外の株券、
宅地、山林などをほぼ4人で分ける事になった。
私は1つ1つの相続財産を診て精査する事が出来ないので、
アドバイスとしては、
その財産を、父様がいつ手に入れたのかを考える様に言った。
お父様は、一代で大成功して、お金持ちになられた方である。
つまり、こういう人は、不の財産を先祖から余り引き継いでいない。
だから成功したとも言える。
そして、2007年まで会社も大成功。
つまり、お父様が2006年までに持っていた物は、全て問題は無いだろう。
むしろ持っていると運が良い物である可能性の方が高い。
問題がある遺産があるとすれば、
お父様は2008年から体を壊し、急死しているので、
2006年以降に手に入れた財産に問題があるかもしれない。
そこで、改めて遺産目録を調べてみると、
2006年以前に持っていた財産は、自動車2台、別荘1つ、
絵画類、宝石、宅地、山林であった。
預貯金、会員権、会社以外の株券は、紙なので元から問題無いとして、
2006年以降に手に入れた、別荘1つ、アパート一棟、書画骨董。
この3つを手に入れてから、お父様の運が低下した可能性もある。
私も写真を見せてもらったのだが、その別荘の隣が空家になっていて、
実際に行ってみた訳では無いが、なんか気持ちが悪かったので、
その別荘は絶対相続しない様に言った。
またそれよりも気になったのが、書画骨董の中に、
中国の壺で3000万円はするという物があったのだが、今回の遺産相続の時に、
改めて鑑定してもらったところ、偽物だと分かったのである。
亡くなったお父様は、土地代金が払えない人から50万円分担保として、
預かったという品物だったそうだが、結果的に騙されていた事になる。
しかも、時期的にもこの壺が家に来てから、お父様は病気になっている。
とても偶然とは思えなかった。
普通、呪いは高価な品物に憑く場合が多いいのだが、
上の壺の様に、希に偽物にも強力な呪いが籠っている事があるのであるのだ。
多分、この中国の壺に騙されたのは、お父様だけでは無いだろう。
土地代金が払えなくなってこの壺を担保に入れた男も、
この壺に騙されたのかもしれない。
何人の人達が、この壺に騙されたかは分からないが、
騙される度に、この壺に騙された人の怨念が刻み込まれて、
次にこの壺を手にする人を不幸にしていく、怖い壺と化していくのである。
だから、私は彼女(次女)に絶対にこの中国の壺だけは相続しない事。
まあ、価値としては例え偽物でも1万円はするかもしれないが、
出来れば、直ぐに神社などに供養に出してしまった方がいいとアドバイスした。
結局彼女は、山林と古い車と会員権、宅地、絵画の一部などを相続した。
山林は、ド田舎にあるものでとても売れる様な土地では無かったが、
お父様の先祖代々から引き継いだものだった。
ただ、小さな山の一部だったが、写真を見るととてもいい感じがしたので、
誰も欲しく無さそうだったら、もらったらと彼女に言ってあった。
昔から代々引き継ぐものに、良い先祖霊も一緒に付いて来る場合がある。
その後、彼女は程なくして幸せな結婚をしたという。
END