●テニス部か陸上部だけ
このお話は、昨日のブログ(●学校の怪談:人を選ぶテニスコート)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12156650721.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
それはある主婦の方からの相談でした。
彼女には、とてもテニスの好きな中学生の娘さんがいました。
小学生の頃からテニススクールに通い、中学校でも当然テニス部に入部しました。
ところが中学生になったある日、彼女がテニスを辞めようか悩み始めたといいます。
「私、テニスコートに嫌われているの。」
当時、その中学校には、不気味な七不思議が伝えられていました。
その1つが、「人を選ぶテニスコート」だったのです。
その不気味な伝説は、この中学校が出来た頃から伝わっているもので、
学校にあるテニスコートが、人を選ぶというのです。どういう事かと言うと、
そのテニスコートに嫌われると、段々と気持ちが悪くなって倒れるというのです。
娘さんも今までに、5回も倒れて、その都度保健室に運ばれたといいます。
半年で5回も倒れると、さすがに周りの部員たちからは、
「あれは絶対、テニスコートに嫌われているからよ。」と噂が立ちだし、
部活動している時にも、彼女から離れて近づかなかったり、
彼女とペアを組みたがらないという事がおき始めたといいます。
また、彼女と同じようにして、時々倒れる部員の子がいるそうですが、
その子も悩んでいてテニス部を辞める事を考え始めたそうです。先輩の話では、
今まで何人も人が、このテニスコートに嫌われて、部を辞めていったといいます。
まるで、テニスコートが生きている様です。
自分の地面の上でプレーする人を、どこかで選別しているのでしょうか。
そして、嫌いな人がいたら、気持ち悪くさせて排除しようとするのでしょうか。
この時点で、私にはまったく予想もつきません。
普通は、こういう学校の問題は引き受けないのですが、
今回は、テニスコートという場所が、学校内に入らなくてもいい場所で、
テニスコートがある場所も、外の道路からすぐ見える場所だという事だったので、
私の興味も手伝い、引き受ける事にしました。
行ってみようじゃないか。その不気味なテニスコートを見に。
その中学校は、街中からやや離れた所にあった。
どうせなら、娘さんが実際にプレーしている所も見たいといい、
聞くと、朝練は無いので、放課後の2時間だけだという。
そこで、放課後の時間に合せて学校に行ってみた。
その中学は、大きな校舎が2棟あり、その横に体育館がある。
校舎の前に広がる大きな校庭を見ると、
ほぼ野球部とサッカー部が占領している感じがした。
さて、テニス部はどこだろう。
端の方だと聞いていたが・・・
すると、体育館から一番遠くの校庭の端にテニスコートがあった。
土のグランドに白線が引いてある。 あれだな。
多分、ネットを張っていたりしているのが、1年生なのだろう。
彼女もあの中にいるに違いない。
やがて、上級生らしき人達もぞくぞくやってきた。
ただ、見てて気がついたのだが、ボールが柔らかそうである。
これは軟式テニスだ。いわゆるソフトテニスというものだろう。
テニス部だと聞かされていたので、てっきり硬式テニスだとばかり思っていた。
後で聞いたのだが、現在中学のテニスと言えば、軟式テニスなのだそうだ。
中学で硬式テニス部があるのは、一割程度だという。
多分、怪我をしない様にという配慮からかもしれないが、
もし、中学からみんな硬式テニス部だったら、
世界で日本はもっとテニスの名プレーヤーが活躍しているだろうな。と思った。
そんな事よりも、今は「人を選ぶというテニスコート」を観察しなければならない。
とは言っても、私が来る前に想像していたのは、
テレビでよく見る硬式テニスコートだ。
それが、ここには無い。
ここにあるテニスコートと言えば、
土のグランドに、白線を引いただけのテニスコートである。
これが独自に生きているとは、とても思えない。
「人を選ぶテニスコート」
これは、何かテニスコート以外に問題がある様な気がした。
私がまず気になるのは、テニスをしている場所の土地である。
お母さんに聞くと、娘さんいわく、保健室に担ぎ込まれるのは、
決まってテニス部の人と陸上の人だけだという。
他の野球部やサッカー部、バスケ部、体操部などの子たちは、
余り具合が悪くなる子はいないらしい。
観察すると、テニス部と陸上部は比較的近くで練習していた。
つまり、この辺りの土地に問題があるのではないだろうか。
例えば、昔、墓地があったとか。
そこで直ぐに近くの図書館に行って、学校が建つ以前の土地の様子を調べてみた。
すると、以外にも、学校が建つ前は森だったのだ。
寺や墓地は近くには無いし、刑務所跡地や廃墟跡でも無い。
考えは振りだしに戻った。
どうやら事はそう簡単では無さそうである。
結局その日は無駄足に終わった。
翌日は土曜日という事だったが、
クラブ活動は、普段の平日の倍の4時間あるという。
そこで学校に行く前に、娘さんと電話で話して気になる事を聞いてみた。
「今まで5回倒れたという事ですが、
どんな時に倒れたのですか。
何か共通する日とか時間とか場所とかありますか?」
すると、彼女は、
倒れて保健室に運ばれた日は、いつも何か暑い日が多いという。
だから、今日も暑いなと思うと嫌な感じになるのだという。
そして、倒れるのは、決まってクラブが終わってからだと言うのだ。
なんと、練習がきつかったり、暑さからだったりして、
練習中に倒れたのかと思いきや、彼女は練習後に倒れていたのだ。
ちなみに、よく倒れるというもう一人のお友達も、
やはり、倒れるのは練習後だという。
それに、陸上部の子が倒れて保健室に運ばれるのも練習後だという。
なんだろう。この共通点は。
■いつも倒れるのは暑い日。
■倒れるのは、練習が終わってから。
■そして、倒れる子は、テニス部か陸上部だけ。
これは一体、何を意味しているのだろうか。
今日は上の3つの事を頭に入れてから、校庭をじっくり観察する事にした。
グラントを見ていると、テニスコートもサッカーのコートも、野球のコートも、
どれも同じ色だし、やはりテニスコートの土地だけ変わっているという印象は無い。
ただ、気になるのは、
やはり、テニス部と陸上部の練習場所が近いという点だ。
そう考えると、あの辺の土地が気になってしまうのは職業病だろうか。
しかし、例えその土地が悪い土地でも、
学校の様に、沢山の人が元気に運動している場所では、
滅多に憑依とかは起きないし、祟られる事もまず無いだろう。
子供達の元気なパワーが、憑依する様な霊を寄せ付けにくいのと、
日が当たる校庭、それも昼間だ。
霊が現れにくい場所と言えるのだ。
残念ながら、今日は余り暑くないので、倒れる条件には当てはまらない。
しかし、練習後に倒れるって、どういう事だろうか。
私は昔、中学の時はバスケ部だったが、練習が終わったらホッとして、
むしろ楽になったと思うが、それは体育館だったからだろうか。
そんな遠い昔の事を考えていても、謎はいっこうに解けなかった。
何か、もう一歩で、分かりそうな気がするのだが、分からない。
ただ、ボーっとフェンス越しに、テニス部を眺めている私は、
きっと、どこかの変態だと思った人もいただろう。
カメラを持ってヨダレでも垂らしていたら、捕まっておかしくない状態である。
時間だけが過ぎてゆく。
結局今日も、何も分からなかった。
車のバックミラーで、なにげに自分の顔を確かめる。
大丈夫、ヨダレ垂れてない。
最終話は、明日のブログに続く。