●2重の災難
このお話は、昨日のブログ(●付きまとう、しつこい幽霊)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12132128679.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
東京都で独り暮らしの41歳になる女性の方からの相談で、加藤さんいわく、
彼女がその幽霊に遭遇したのは彼女があるアパートに引っ越してからだといいます
そのアパートは、比較的安い家賃のアパートで、
当時彼女は仕事を始めたばかりだったので、余り貯金も無く、
仕方なく安アパートに住まなければならなかったといいます。
丁度彼女がその部屋に住み始めてから、2ヵ月経った頃だったといいます。
その日は暑苦しかったのか、息苦しくなり、
真夜中の2時頃に、なんとなく目を覚ましたそうです。
すると、真っ暗闇の中、人影らしいものが動くのが分かったそうです。
ゆっくりとその人影らしきものの方を見るとその人影は微妙に動いているのです。
まるで煙か雲の様に・・・そしてしばらく見ていると、
その人影は、彼女にこう言ったのです。「返せ!返せ!」「絶対許さない!」
彼女は怖くなって、直ぐに布団を頭からかぶり、眠ってしまったといいます。
それ以来その幽霊は真夜中に起きるといつも彼女の近くに現われるのだといいます
そして、決まった様に「返せ! 返して!」と言ってくるのだといいます。
しかし、加藤さんいわく、人から物を盗んだ記憶はまったく無いといいます。
やがて、彼女は逃げる様にして、その安アパートを引っ越したといいます。
次に彼女が引っ越したのは、前の安アパートから歩いて10分位離れた場所で、
少し高級感があるマンションのワンルームを借りました。
部屋は前よりも狭いですが清潔感があり、なによりも明るいマンションだったので
ここなら大丈夫だと思いました。ところが引っ越してから4日目の真夜中でした。
彼女が少しうなされて、目を覚ますと、
すぐ横にモヤの様な雲の様な人影がボ~っと現れたのです。そして、
「返せ! 返して!許さない、絶対許さない!」と彼女に向って言ったといいます
なんと、あの幽霊もこのマンションに、付いてきたのです!
実は彼女は私に相談にする前に霊能者の所に行って除霊してもらったといいます。
すると、除霊してもらったその日から、幽霊は出なくなったそうです。
ところが1週間後また真夜中に起きるとベットの横にもくもくと煙の様な雲が現れ
それが人影の様になり、「返せ! 絶対許さない!」と言ったのです。
なんとその幽霊は、霊能者によって除霊されたのに、
また彼女の元に戻って来たと言うのです。
これは相当厄介な問題になる感じがしました。
まず、彼女が引っ越しても付いて来るというのであれば、
地縛霊では無いだろうと思いました。
また、彼女の話では、昼間は現れた事が無く、
いつも現れるのは真夜中、それも彼女がふと起きた時だといいます。
これは何を意味しているのか分かりませんが、
そんなに強い霊力では無い感じがします。
非常に強い霊力を持っているなら、昼間でも現れるでしょうし、
彼女が起きるまで待たなくても、首を絞めて起こすとか、声で起こすとか、
顔に触って起こす様な事が起きても不思議ではありません。
私が霊力が弱い霊だと感じたのには、もう1つ理由があります。
それは、彼女の前に現われる霊は、ちゃんとした形をしていないという事です。
人型はしているものの、煙や雲の様にモヤモヤしていて、
はっきりと人の顔が出て来ていないという所です。
私が知っている怨みの霊は、大抵は怒った顔で出てきたり、
怨めしい動作や、睨む目をしているものです。
ところが、彼女が見た霊は、すべて顔が無い雲の様な人型なのです。
これは、怖い顔を現せるほどの力が無いのではないのかと思ったのです。
そして、やはり一番気になるのは、霊の言葉です。
「返せ! 返して!許さない、絶対許さない!」
と彼女に向って言ったといいますが、
肝心の何を返して欲しいのか、伝えてきていません。
金を返せか、子供を返せか。肝心の要求部分が無いのがやっかいです。
また、「絶対許さない!」という強い怨みがある様です。
ただ、なんとなくですが、「返して!」というフレーズが、
女性の霊の様にも感じました。
加藤さんは、今まで誰かの物を盗ったという記憶は無いとの事でした。
そこで、彼女に、
「女性から怨まれる様な事をした記憶はありませんか?」と聞いてみました。
しかし、それもしばらく考えてから、そんな記憶は無いといいます。
そこで、範囲を広げて、
加藤さんのご両親や、祖父母の時代に、
誰かの物を盗ったとか、女性に怨まれる様な出来事は無かったか聞いてみました。
しかし、そういう事は聞いた事が無いといいます。
この時点で、私は半分ギブアップです。
さっぱり分かりません。
■なぜ、霊は「返して」だけで何を返して欲しいのか言わないのか。
■なぜ、人型の煙か雲の様な姿しか現さないのか。なぜ顔が無いのか。
■なぜ、真夜中に彼女が起きた時だけ姿を現すのか。
■なぜ、引っ越してもついてくるのか。
■なぜ、霊能者に除霊されたのに、1週間後には復活したのか。
疑問だらけで、何一つ分かりません。
むしろ、こんなに疑問が多いのも珍しいとも言えます。
こういう難問にぶち当たった時、
私が手をつける解決方法は1つしかありません。
それは、
最初に戻る事です。
つまり、霊はいつから出現したのか、
そこに全ての問題が隠されているはずだからです。
彼女に幽霊が10年間も付きまとって来るという、
その10年前が知りたいと思いました。
彼女がその幽霊に、最初に遭遇したのは、
彼女がある安い家賃のアパートに引っ越してからだといいます。
普通は、その借りた部屋に問題があると思う所ですが、
先に言った様に、引っ越しても付いて来るので、
その部屋で自殺した地縛霊とかでは無い気がしますし、
その部屋に居た霊が影響するなら、その部屋に住んでから1週間以内に、
何か異変や変な事、不思議な現象が起きるのが普通です。
それなのに、彼女に最初の異変が起きたのは、
住み始めてから、2ヵ月経った頃だったといいます。
これは何を意味しているのでしょうか。
何処かで変な浮遊霊に憑依されたと思う人もいるでしょうが、
私は、浮遊霊に憑依されたのでは無い様な気がしました。
と言うのは、私のイメージと浮遊霊の憑依が何となく合わないのです。
浮遊霊って、フワフワうろついていて、自分と同じような気持ちの人に、
憑依して分かってもらおうとしたり、供養してもらおうとしたりしますが、
「返せ!返して!許さない、絶対許さない!」
と見ず知らずの人に訴えるでしょうか。
明らかに加藤さんに、何かを要求し、責めている言葉ですから、
見ず知らずの霊に憑依されたのでは無く、
はやり加藤さんに、何らかの関わりがある霊ではないかと感じるのです。
それに、真夜中に起きた時、目の前に雲の様な人型として現れるのですから、
これって体の中に入っている憑依とは、やはり現われ方が違う感じがします。
つまり、地縛霊でも無く、浮遊霊でも無く、
最初の安アパートにも関係が無いとすれば、
なんなんだこれ?
となると、安アパートに引っ越す前に問題があったのでは。と思いました。
そこで、彼女にまずどうして、安アパートに引っ越さなければならなかったのか、
そこから聞いてみました。
すると、彼女から意外な事実を聞かされたのです。
彼女は以前大阪に住んでいたそうです。
それが東京に住む父親の介護の為に、上京していました。
しかし、その父親も亡くなり、葬式をしていた時です。
当時時期的に納税の時期でもあり、相続税が問題となったそうです。
そこで、彼女に、現在は家を売るのも大変だから、
相続税を払うのは容易ではないだろう。
私が調べてあげようと言う親切な人が現れたといいます。
彼女は、調べるだけならよろしくお願い致します。 とお願いすると、
後日その人がやってきて、
調べると、貴方のご両親が住んでいた土地は、
現在ビルが建てられない規制がかかっている土地だと言うのです。
だから、この不動産不況とこの規制の為に、
売っても二束三文に叩かれてしまうとその人は言ったといいます。
ただ、その人が言うには、1つだけ高く売る方法があるといいました。
聞くと、現在老人ホームが全国で不足していて、
特別養護老人ホームを建てるという名目で申請しておくと、
その土地にビルも建てられる様になり、高く売れると言うのです。
彼女もそれを聞いて、それはいい方法だと思ったという。
そこで、その人が言うには、
現在貴方は個人なので、特別養護老人ホームを建てる許可は下りないだろうから、
一時的に老人ホームを手掛けている会社の名義にして、
許可が下りたら、また貴方の名義に移せば問題ありません。
その間は、その旨を記した念書(土地の所有権は便宜上の一時的な移転である)
をその会社と交わしておきましょう。となった。
ところが、1ヵ月経っても、許可の返事が来ない。
そこで、連絡してみると、連絡がつかない。
調べてみると、もう親の家・土地は第三者に売却されていて、
仲介に入っていたも、何処かに引っ越して逃げてしまっていたのです。
つまり、彼女は不動産詐欺にあってしまっていたのでした。
私もそれを聞いて、こんな恐ろしい詐欺もあるんだとビックリしました。
それ以来、彼女は悔しくて、悔しくて、
この両親が住んでいた場所から、離れられないそうです。
残った紙切れの念書と逃げた仲介人の名刺に向って、
毎夜、家を返せ!、こいつ絶対許せないと泣いていたといいます。
私はここまで聞いていて、「あれ?」と思いました。
これって、彼女が真夜中に霊から言われたという、
「返せ! 絶対許さない!」とやけに似ているじゃないですか。
そう思って、考え直すと、
全てつじつまが合うのです。
■なぜ、霊は「返して」だけで何を返して欲しいのか言わないのか。
それは自分は何を返して欲しいのか分かっているので、言う必要がないから。
■なぜ、人型の煙か雲の様な姿しか現さないのか。なぜ顔が無いのか。
他人の霊では無いので、他の人の顔が出る事は無かった。
■なぜ、真夜中に彼女が起きた時だけ姿を現すのか。
彼女が寝ている間に彼女自身の怨念が作りあげた物だから、
■なぜ、引っ越してもついてくるのか。
彼女自身の怨念だから。
■なぜ、霊能者に除霊されたのに、1週間後には復活したのか。
一時的に無くなっても、また彼女が作り出せるから。
そうか。
「人を呪わば穴二つ」と昔から言われているが、
こんな形で出る事もあるのか。
多分、怨む相手が会社だったり、
何処に消えたか分からない相手の場合、
怨念が自分の所に停滞するか、戻ってきてしまったのだろう。
彼女にとっては、2重の災難である。
詐欺に遭っただけでなく、その後も自分の怨念に10年も悩まされ続けたのだ。
私は彼女にとっては、とても悔しい事だろうが、
方法は1つしか無いと思った。
それは騙された人にとっては、とても酷な事だろうが、
忘れる事である。
相続するものは、無かった。
ご両親は、借家に住んでいたと思う事である。
きっと貴方のご両親も、貴方が悩んでいるのを見たくないと思いますよ。
全てを忘れて、慣れ親しんだ大阪に帰って、暮す事です。
ちょっとでも思い出しそうになったら、
お笑い番組や映画を見たり、好きな音楽を流して、消し去って下さい。
これからしばらくは、毎朝20分朝日と昼の太陽を浴びて下さい。
そして、もし近くで購入可能なら、安い物でいいので、
しばらくは、ポケットに水晶を入れて持ちあるいて下さい。
嫌な事を思い出したら、その水晶を握って、吸い取ってもらって下さい。
いいですね。
ご両親は、借家に住んでいたのです。
貴方は無事看取って、また大阪に帰る。
ただそれだけです。
何も取られなかったのです。
そして、また、
大阪で幸せに暮らして下さいね。
END