●真夜中に聞こえる女の子の声
ある時、夜中に不気味な声がするという女性から電話相談を受けた。
彼女はアパートに住んでいるというのだが、
夜中の2時頃に窓の外から、
「寒いよ。寒いよ。」という声が聞こえるのだという。
最初は夢かと思って、気にしなかったそうだが、
それからしばらく眠れなくて、小さい電気を点けて、
本を読んでいると、また、
「寒いよ。寒いよ。」という声がしてきたのだという。
これは夢じゃない。
すぐにそう思ったという。
さすがに、怖くて窓を開けて確認する事は出来なかったというが、
それは比較的小さな声で、
多分、真夜中じゃ無かったら聞こえなかっただろうと彼女は言った。
何かこの部屋に、幽霊がいるのでしょうか?
そんな電話相談だった。
ちなみに、彼女が住んでいる部屋は、
契約時、事故物件とかでは無かったという。
まず、私が彼女に聞いたのは、
「その部屋に引っ越してきた時から聞こえたと思いますか?」だった。
すると、彼女は、
「いえ、この部屋に引っ越して来て随分になりますが、
こんな不気味な声を聞いたのは、今回が初めてです。」
次に聞いたのは、
「声は窓の外から聞こえたという事ですが、
それはどんな感じの声ですか?
また、貴方の部屋に入って来る感じはしましたか?」
すると、彼女は、
「小さい声だったんですが、何となく女の子の声の様な感じでした。
この部屋に入って来る感じはしませんでした。」
「窓を叩くとか、窓が揺れるという事も無かったですか?」
「無いです。」
「近くに墓地とかありますか?」
「無いと思いますが、分かりません。」
「ちなみに、どちらにお住まいですか?」
「田園調布です。」
なんとあの高級住宅地の田園調布だという。
田園調布にも、アパートがあったのか。
他にも彼女に色々聞くと、
どうやら若干、彼女自身にも霊感がある様である。
霊を見た経験は無いというが、この場所は何か居るとか、
臭いや耳は敏感だという。
私の判断は、
「夜中にしたという、その不気味な声の霊は、
貴方の部屋にいる霊では無いと思います。」
■まず、その部屋に引っ越してからだいぶ経っている事。
■声が微かであり、外から聞こえている事。
■窓を叩くとか、窓が揺れるとか、
部屋に段々近づいて来るという感じでも無い事。
■彼女に金縛りの様な現象が無かった事。
などから、そう言った。
ただ、またその声を聞いたなら、
お水を1杯。窓際に置き、
「どうか成仏して下さい。」と言って合掌して、
「南無阿弥陀仏」もしくは、「南無妙法蓮華経」と唱えてみて下さい。
とアドバイスした。
彼女は霊感が少しありそうなので、
多分、他の場所で起きている霊現象を拾ったのかもしれない。
一応、これで電話相談は終了となったのだが、
実は後日談がある。
後日、彼女が住んでいるアパートの花壇から、
女の子の赤ちゃんの死体が見つかったのだ。
彼女から再び電話をもらって、
「ああ、そうだったんだ。」と思った。
こんなタイムリーに真相が分かったのは、私にとっても始めての事だった。
この事件は、新聞やテレビでも報道され、
テレビでは、大田区としか言っていなかったが、
田園調布の彼女のアパートで間違いない。
例え産まれたばかりの赤ちゃんでも、
立派な1つの魂を持っており、亡くなっても訴えてくる事があるのである。
どんな子供でも、
神様からの預かりものとして、大事に育てて欲しいと願う限りである。
その後、アパートに住む夫婦が逮捕された。
当時、女児の遺体を発見した女性(60代)は、
「朝、パートに出勤しようと玄関を出ると、
花壇の中に、丸まったセーターが置かれていました。
開けると、赤ちゃんだったんです。」
と語った。
そして、最後に彼女は、こうも語ったという。
「子どもを見つけてください、という置き方だったんです。
そこにぎりぎり、
わずかな親の情を感じました。」
END