●ご飯を吐く妻
さて、今日は何を書こうかなと思っている時、
先日の事を思いだした。それは、
母が、「ちょっと来てー」と言うので、
行ってみると、
なにやら、床にまだらの小さいヘビの様な死体があった。
近寄って、よく見てみると、
ヘビじゃない。
なんか、細かな錠剤みたいな物が連なっている感じだ。
更にじっと見ていると、
母が、「それ、猫のミミが吐いたのよ。」と言う。
「えー!! 猫が吐いたの?」
普通、街で酔っ払いが吐いたりしているのを見ると、
水の様な嘔吐物の中に、食べ物が少し分かるくらい入っている感じだが、
猫のそれは、水分よりも食べ物だけが、そのまま胃から飛び出た感じだ。
だから、よく見ると、今朝やったエサの形がそのまま残っている。
ちり紙で取ると、全体に柔らかい。
半分胃の中で消化されているが、エサの形は残ったままだ。
もともと、猫は吐きやすい所があるという。
猫を4匹飼っているという人に、電話で聞いていると、
吐いた後、元気にしている様だったら、
様子を見て、エサの記録をつけてみてと言われた。
エサによってはアレルギーで吐く事があるそうだ。
また、新しいエサにしたら吐いたという事もあるという。
犬を飼っていた時には、経験無かった事だったが、
聞くと、犬や人間は猫に比べて解毒機能が高いという。
猫は食べ物の解毒機能が低いので、
異物は吐く事で体内に入れない様にしているという。
なるほど。と思い、
翌日は昔から食べているエサだけを与えた。
しかし、また吐いた。
これは何かしらの病気かなぁ。と思ったが、
猫のミミはけろっとしている。
吐いた後も飛び回っているのだ。
そこで、絶食させてみる事にした。
人間もお腹をこわしている時や、ゲリをしている時は、
一旦お腹の中を空にした方がいい。
猫も本来野生なら、2日位獲物が取れなくて絶食する事がよくあるという。
絶食初日。
ミミが自分のエサがまったく無い事に気づく。
「今日から2日間、絶食だから。」とミミに告げる。
一度はしょうがないなーと思っているのか退散するが、
しばらくすると、またエサの器の前に参上。
「エサがありませんよ。」と、可愛い目でこちらを見る。
絶食と心に誓った私だが、
ミミの上目使いに、心が折れた。
「少しだけだぞ。」と固形のエサを10粒ほどあげる。
絶食2日目。
夜。
なんとまた吐いたという。
行ってみると、
今度はほとんど水みたいな吐き方。
酔っぱらった人間と同じだ。
しかも何か所も。
多分、吐く物が無くて、水分だけ吐いたのだろう。
やっぱ、医者に連れて行かなとダメか!
と、そう思った時だった。
何か所か吐いた場所を、ティッシュで拭いていると、
吐いた中に、白い長い物があった。
何だろうと、よく見てみると、
それは、新聞紙などをまとめて縛る時に使う、
白いビニール紐だった。
それが、2本。吐いた物の中にあった。
どうやら、ビニール紐を食べたらしい。
それがいつまでも消化できずに胃の中にあったのだろう。
ミミはそれからは、吐かなくなった。
今は何事も無かった様に、飛び跳ねている。
猫を飼っている方は、ビニール紐だけはご注意を。
さて、猫の話が異様に長くなってしまったが、
これで思い出した相談事があったので、今日はその時の事を書いてみましょう。
私の友人に渡河という男がおりまして、
たまに私の話に登場する人物であります。
彼は顔が広く、私と違って多方面に知り合いがいるという、
とても社交的な男で、
どこどこのレストランは美味しいとか、よく話してくれます。
そんな彼が、突然電話してきて、
知り合いの社長さんが困っているので、相談に乗ってあげて欲しいという。
聞くと、都内にレストランを2店舗以上持つ社長さんだという。
自宅は東京の白金台にあり、豪邸だという。
白金台と言えば、
よくニュースでも話題になるシロガネーゼと呼ばれるマダムが出没する所だ。
その中でも、特に白金台の2丁目、4丁目、6丁目に住んでいる人は、
お金持ちだと渡河はいう。
渡河は金持ち大好き人間だが、
私は金持ちも、貧乏人も余り変わらない。
むしろ横柄な金持ちの依頼は、こちらから断った事があるくらいだ。
さっそくご自宅に電話してみると、留守番電話だった。
そこで、用件をふき込んで、電話を切った。
されど3日経っても、返事が来ない。
多分、たいした相談じゃ無いんだろう。
と、そう思っていると、渡河から電話で、
どうだった?と聞いてきた。
そこで、事情を話すと、渡河が直接電話してみるといって切った。
すると、その夜、
その社長さん(仮に町田さんとしておきます)から電話があった。
電話しようとメモしておいたのだが、
そのメモを失くして困っていたという。
また、自宅が留守電だったのは、彼が独身だったからだった。
さっそく相談を聞く事になった。
ずばり、相談は結婚についてだった。
普通なら、よくある相談ジャンルなのだが、
彼の結婚相談は、今でも忘れない、
とても異様なものだったのだ。
彼は2年前に、A子さんという女性と結婚したという。
ところが、結婚後しばらくして、
その奥さんが、食卓で急に吐いたという。
すぐに奥さんは彼に謝って、掃除したというが、
そんな事が頻繁に起きたという。
酷い時は、彼が休みの時に、
昼吐いて、夜吐いたという事もあったという。
病院に行っても、それは治まらず、
もらった薬を飲んでも、吐いたという。
彼女に聞いても、今までの人生で、
こんな食事中に吐いたという事は無かったと言う。
ただ、吐き方が少し変わっていたという。
普通、吐くというと、
胃の中の物を吐きだす事が多いのだが、
彼女が吐く時は、
主に口の中にある物や、喉に入りたてのものを吐くのだという。
ほかにも不思議な事が3つあった。
それは、奥さんが吐く時は、必ず自宅なのである。
よく彼女と彼は外で外食する事が多かったのだが、
彼女が家の外で吐く事は無かった。
また、不思議だった事は、
奥さんが吐く時は、必ず彼が居る時なのである。
自宅でお昼を食べている時は、吐いた事が無いのだという。
もう1つ不思議なのは、
魚や肉などのオカズを食べた時ではなく、
ご飯を食べた時に、吐きやすいという事だという。
結局、二人は離婚する事になったそうだ。
ここまでの話であれば、
変な癖を持つ女性と結婚してしまい、別れたという話で、
私に相談が回って来る事も無かっただろう。
しかし、それからまもなくして、
彼はB子さんという女性と、婚約する。
そして、彼女が彼の自宅に来て、
夕食を作ってくれたという。
ところが、3度目に彼女が家に来て、食事を作ってくれた時、
彼女が吐いたのである。
それは前妻のA子さんと同じ感じだったという。
彼は「まさか」と思ったそうだが、
B子さんも病院に行ったのだが、治る事は無く、
その後、B子さんは同じようにして3回も吐いたという。
婚約は解消となったそうだ。
そして、現在、
新たに結婚したいという女性がいるそうだが、
怖くてまだ家に連れて来て、食事を作ってもらった事は無いのだという。
そんな異様な相談だった。
後半は、明日のブログに続く。