●友人の形見


 


このお話は、昨日のブログ(●ある釣り仲間の死)の続きです。


 

従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12106334684.html

 


を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ

 

ある男性からの相談でした。

最近、胃の調子が悪くて医者にかかる事が多いというのです。

でも、どの病院に行っても、特に異常は無いとの結果。

そして、胃の調子が悪くなったのは、友人が亡くなった頃からなんです。と言う。

彼いわく、その友人は、学生時代からの釣仲間で、

よく一緒に海釣りなど、暇があれば全国の穴場に一緒に出掛けたといいます。

そんな彼が、1年前に胃ガンで亡くなったそうです。

そして、それから3ヶ月後位から、彼も胃がもたれたり、

胃が痛くなる症状が現れ始めたというのです。

また、胃が痛くなり始めた頃から、夢にその友人が出て来るというのです。

■友人が亡くなってから起き始めた胃の痛みやもたれ。

■友人が胃ガンで亡くなっていて、それは彼の痛みと同じ場所である。

■胃が痛くなり始めた頃から、友人が夢に出る様になった。

以上の事を考えると、何らかの原因で、友人が関係している感じがします。

その釣り仲間だった友人が、何か彼に訴えている可能性がある様に思えました。

そこで、彼が見たという夢について詳しく教えてもらいました。漠然とですが、

■ある夢では、彼と海釣りを楽しんでいる夢。

■またある時は、彼が船上で食事をしている夢。

■そしてある時は、彼が船を操縦している夢。

いずれも、波の音はするけど、彼が話す声は聞こえなかったといいます。

そう言えば、もう1つ変わった夢を思い出したと言って、教えてくれたのが、

■カモメが夢に登場した事があったそうです。

 そのカモメが彼らが乗った船の上を、グルグル何度も何度も、

 行ったり来たりしていて、やがて船の帆に当たって海に落ちたといいます。


























 

 

 

 

夢の内容を聞いていると、

全て海に関係しているのが分かる。


多分、海釣り仲間だったのが影響しているのだろう。



そこで、彼に、入院中や自宅療養中の友人に、

何か約束して実行出来なかった事とか、

彼から頼まれて実行出来ていないものはないか。聞いてみた。


すると、

確かに、入院中などお見舞いに行った時に、

「早く良くなって、また一緒に海釣りに行こうな。」と言ったという。


ただ、

こういう約束は、誰もがお見舞いの時は言う、社交辞令だ。

言う方も、言われる方も、そんなに期待はしていない約束である。

これが今回の霊障になっているとは、考え難い。






やはり手がかりは夢だけか。





そこで今度は夢の内容について質問した。

まず、夢で船上と食事したとありますが、

そんな事はありましたか?



すると、船上でおにぎりは食べた事はあるが、夢で見たような、

お皿を使った食事はした事が無いという。

「では、彼が船を操縦した事はありますか?」

亡くなった彼は免許も持ってませんし、操縦したいとかも聞いた事が無いという。

「では、カモメを見たり、それが帆に当たったという事は?」

カモメは見ますが、帆に当たったという事はありません。

と言うか、私達が乗る釣り船が帆を張った事はありません。





なるほどねぇ。

なんで船を操縦しているのかなぁ。

なんで帆がある船が出て来るのかなぁ。

そう電話元で私は呟いた。






所々現実とは、違う箇所がある様だったが、

夢ではよくある事である。この時は気にはならなかった。





 

しかし、疑問は声に出して言って見るものである





私はまったく何も気づかなかったが、


相談者の彼が反応したのである。







彼と亡くなった友人は、帆を張った船に乗った事は無いですが、

帆船の模型を彼の家族から貰ったというのである。





亡くなった彼は、趣味で船のプラモデルを作っていたという。

その中に1つに、約2年前から作り始めていた大きな船の模型があり、

自宅に一時帰宅出来た時には、一日中その模型作りに没頭していた。

そして、最後自宅で過ごしていた時も、具合が良い時はその船の模型作りに、

時間を費やしていたという。

それが大きな帆船の模型だった。

彼が自宅にお見舞いに行った時も、その模型の話をしたといい、

彼が手伝える事は、なんでもやったという。





 

しかし、彼が亡くなると、

遺族の方が、もし良かったら、息子の形見として、


貴方がこの模型貰って頂ければ、嬉しいのですが。と言われたという。

彼の家族で模型が趣味の人はいない上に、その模型はかなり大きい物だったので、

貰ってくれる人がいない場合は、残念ながら捨てるしか無いとの事だった。

それで、彼が貰ったのである。








なるほど、

形見として貰った、帆船の模型か。





一番の釣り仲間に貰ってもらったのだから、

特に問題は無さそうではある。






 

大切な形見が、嫌いな人に渡った事によって、

霊障が起きたという例はあるが、今回は問題無いだろう。そう思った。







それにしても、偶然だろうかねぇ。

夢に出て来た帆がある船と、形見に貰ったのが帆船だったというのは・・・





とりあえず、手がかりらしい物はこれしか無かったので、

私達はしばらくこの帆船の話題について話していた。







その時、私はこんな話をしたと思う。


「手作りの物って、結構念が入るんですよね。

 また、亡くなる直前に作った物にも念が入ります。

 だから、約2年も手作りしていて、しかも亡くなる直前に完成させた船となると、

 亡くなった御友人の念は間違いなく入っているでしょうね。

 ただ、形見として家族から一番の親友に贈られたなら、問題は無いと思いますが。」


すると、それを聞いていた彼が、意外な事を言ったのである。









まだ完成してませんけどね。」


なんと、約2年もかけて、しかも彼や家族も手伝っているのに、

船は完成していないというのだ





「えっー、なんでまた?」と思わず聞き返してしまった。






彼の話に寄ると、

船のパーツが、まだ送られて来ていないのだという。





毎週1つのパーツが送られて来て、それが終わらないと船も完成しないのだという。

私が「こっちから、全部のパーツを買いに行ったらいいんじゃないですか?」

と聞くと、

売ってくれないという。なんでもそういシステムなのだそうだ。




だから、友人が亡くなる時、出来れば船も完成出来ていたら良かったのだが、

まだパーツが来なくて、未完のままとなったという。




なるほど、

未完成の形見なんだ。





それが原因かもしれないなぁ。と感じた。










実は、友人の形見を貰う分には、

その人が守ってくれたりするので、良い事であるのだが、

未完成の形見となると、話が違ってくる。

特に亡くなる直前の未完成が良く無いのである。






 

 

あと少し、あと少しで完成出来たのに・・・・

悔しい、残念だ。あと少しだったのに・・・・

そんな気持ちが、悪い念として、その物に籠る事がよくあるのである。





今回の場合、

約2年もかけているというのと、

亡くなる直前まで、作っていたという事。

そして、手作りだったという事が、

全て未完成だったという無念な念となっているはずである。




こういう場合、方法は1つである。







彼にアドバイスしたのは、

■まず、亡くなった彼の写真を、帆船の模型の前に置き、

■彼に声を掛けながら、貴方が、残りの部分を取り付けて、

 帆船の模型を完成させる事である。





つまり、帆船を彼に代わって完成させる事によって、

彼を納得させて、思い残した事を失くしてあげるのである。




 

その後彼は、半年近くかけて帆船を完成させたという。

しかし、彼の胃の調子は、

帆船を作り始めて2週間頃から痛みは無くなっていったという。






 

多分、完成よりも、

自分の無念を分かってくれた時点で、霊障は無くなったのかもしれない。










「大丈夫だよ。安心しろ、

 オレが必ず完成させてやるからな。

 お前の帆船!」

 
END