●開かずの部屋





これは私が顧問契約をしている会社の社長からの相談だった。





どの世界でも同じだろうが、

 


会社との顧問契約と言えば、

その会社で起きた事件のみを扱うものだと、普通の方は思うでしょうが、

実際は違う。







 


顧問契約など、社長の一言で、すぐに取り消されたりしてしまう。

つまり、社長ひとりの決断で顧問契約を結んでもらえる事もあれば、

終了するのも、社長の胸先三寸なのだ。




 

だから、社長から直々の電話で、

その会社以外の事を頼まれたら、

しがない占い師は、断る事は出来ないのが現状である。





 


その意味で言えば、顧問契約はとても便利なものである。

費用は会社の経費で落ち、用件は無限大に広がっている。




 

今回の社長の依頼は、


彼の友人宅で起きている不思議な現象に関するものだった。







仮にその社長のご友人を、北沢さん(仮名)としておきます。




 

北沢さんの家で起きている不思議な現象というのは、

去年亡くなった祖父の霊が、

今でも祖父が居た部屋に居て、

その部屋を使う事を許さないというのである。

だから、今では元祖父の部屋は、開かずの部屋状態となっていて、

気味悪がって、誰もその部屋を開けようとしないというのだ。







ただ、北沢さんの商売も最近右肩下がりで、

これはやはり、家の中に開かずの部屋があるせいではないか。と思い、

ある時一緒に食事した時に、私の知り合いの社長に相談したという。




そこで私が紹介されたという訳である。








「北沢君の家にある、開かずの部屋を調べてくれないか。」  というのである。

当然、そこには解決してくれという含みがある依頼である。

つまり、開かずの部屋を、普通の部屋に戻して欲しいという事になる。




 


そして、私の答えは1つしかない。

「分かりました。調べてみましょう。社長。」








私も占い師とはいえ、一般の方とそう変わりない。

開かずの部屋」と聞けば、普通に気持ち悪い。



 

何がそこに封印されているか分からないし、何が出て来るのか分からない。





しかし、引き受けた以上、

仕事と割り切って、すぐに北沢さんに電話してみた。






 


北沢さんのお話だと、事の起こりは、

昨年、祖父が亡くなってからだという。





北沢さんの祖父は、ガンになり入院していたが、

最後は自宅で死にたいという、祖父のたっての要望から、

ホスピスには行かず、訪問看護という形をとり、

最後の半年間は、在宅緩和ケアとなったという。








そして、お祖父様は自宅の自室で亡くなられたのである。

家族はお祖父様の最後の要望を聞いてあげて、自宅で看取ったのである。

普通なら、問題無い様に思えるのだが、




 

ここから、北沢さんの家で不思議な現象が起き始めたのである。




 

最初に異変が起きたのは、

お祖父様の死後、3ヵ月が経った時だった。



遠方に住む友人の方が、香典を持参してお線香をあげに来てくれたという。




余談ですが、よく電話で、お葬式でお金を包む時に、

「香典袋を買う時、文房具屋に、

 御霊前と、御仏前という袋が売っていますが、

 どちらを買ったらいいのですか?」  と聞いてくる人がいます。







ついでなので、恥をかかない為にも、

ここで完璧に覚えておきましょう。



 



 

皆さんは、人が亡くなると、49日間はその人のは、

家の辺りをうろついたりして、

天国には向かわないというのはご存じだと思います。


つまり、亡くなってから、49日までは、御霊前を供えるのです。






そして、49日を過ぎたら、



の道を歩み始めるという事で、御仏前を供えるのです。

ね。ちゃんと意味を理解すると、もう忘れませんね。


 

 

ちなみに、上の事は仏教で、

神道の場合は、「御神前」となり、

キリスト教の場合は「お花料」となりますが、

いずれの場合も、「御霊前」であっても問題ありません。



 

また、御仏前の正式名は御佛前ですが、

御仏前が一般化されているので問題は無いでしょう。






 


ちょっと話が脱線してしまいまいしたので、

戻します。




 


最初に異変が起きたのは、

お祖父様の死後、3ヵ月が経った時だった。

遠方に住む友人の方が、香典を持参してお線香をあげに来てくれたという。






お祖父様の古くからのご友人だという事で、お歳をめしていたのと、

日帰りで帰るのも難しいと思われたので、

良かったら、今夜は夕食を召し上がって、泊まって下さいと勧めたという。




その頃は、もう49日も過ぎ、

お祖父様の部屋の遺品も少し片付き、ゲストルームにもなる様にしていたという。

そこでその友人は、元お祖父様の部屋にその日は泊まったのである。




ところが翌日、

そのご友人は、背中と腰が痛くて立てなくなり、

救急車を呼ぶ事態になったのです。





そして、その痛みは1週間も続いたといいます。




しかし、その時は、お歳をめした方だったし、

遠方から来てくれたので、無理をなさったのかな位にしか思わなかったそうです。






しかし、それからしばらくして、

北沢さんの友人が、家に来て一緒にお酒を飲んだ時、

すっかり酔いつぶれてしまい、家に泊まっていけとなりました。

そこで彼も、今はゲストルームになっている亡き祖父の部屋に泊まったのです







すると、まだ中年の彼も、

朝起きると、背中と腰が痛くて立てなくなり、

2時間ほど湿布やマッサージなどをして、

ようやくなんとか歩いて帰ったといいます。






前に救急車で運ばれたご友人と同じ症状だったので、

家族はこれはオカシイという事になったという。




そして、これはきっと亡き祖父が、

この部屋を使わせたく無いのではないだろうか。という意見が飛び出したのです。

というのは、

生前、お祖父様は秘密主義の方で、

部屋に入る時はノックは当たり前で、

祖父の「どうぞ」というの返事が無い限り開けてはならないと、

キツク皆に言い聞かせていたといいます。



そして、祖父の死後も、その仕来りは生きているのではなのか。

つまり、「どうぞ」というの返事が無くその部屋を使用する者には、

祖父の霊障が襲ってくるのではないか。というのです。







しかし、その家族会議に居た長男が、

そんなバカげた話があるはずはない。

祖父の霊障などであるはずが無いと言い出し、

自分が試しに今日そこで泊まってみると言い出したのである。




 

そして、翌日。







 

 

やっぱり、その部屋で寝た長男は、

背中と腰が痛いといい、すぐに湿布をしたという。

ただ立てないほどでは無かったという。


やはり家族には手加減をしたのだろうか。と、みんな囁いたが、

これは祖父の霊障に間違いないだろうという理由がもう1つあるという。

それは、生前この部屋で在宅緩和ケアしていた祖父は、

よく背中が痛いとか、腰が痛いと訴えていたのである。




つまり、これが霊障なら、

祖父が起こしている現象以外には考えられないというのだ。





 

こうして、現在、この元祖父の部屋には誰も近づかず、

開かずの部屋となっているという。





 

電話で話を聞く限り、

私も一連の出来事は、何らかのお祖父様の霊障の可能性がある様に思えた。



 

しかし、それなら、

なぜお祖父様は、もう使わなくなった部屋を誰にも使わせないのだろう。

そしてなぜ、友人や家族までをも襲うのだろう。


疑問だらけである。




 

もし、この時点で真相が分かる方は、

明らかに私よりも優秀な方です。





 

こうしてただ電話先で考えていても、

開かずの部屋を、普通の部屋に戻すとなると、

やはり、現場の部屋を診てみない訳にはいかない。




 

私は意を決して、そのお祖父様の部屋に行ってみる事にした。



 


嫌な感じはするが、

 


開かずの部屋を、開けてみよう。

 

後半は、明日のブログに続く。