●大きいウェディングドレス
このお話は、昨日のブログ(●拒食症を起こす高校)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12102112379.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
時々、病気と場所が絡んでいる相談を受ける事がある。この時もそうだった。
彼女には二人の娘さんがいるのだそうだが、ある高校に通う様になってから、
その二人とも拒食症になってしまったというのである。
娘たちが拒食症になったのは、何かこの高校に原因があるのではないかという。
事の起こりは、2歳年上の姉が、当初は公立の高校に進学する予定だったのが、
友人と都内にある私立の高校の文化祭に行った事に始まったといいます。
それまでは公立一本で受験勉強していた姉が、
その時を境に、この私立の高校に絶対行きたいと言い始めたのです。
それはまるで、何かの魔法にかかったみたいだったといいます。
やがて、娘は受験に合格したのですが、
高校に行き始めて半年が経った頃、拒食症が始まってしまったのです。
初めは単なる姉の病だけだと思っていたのですが、
去年、2歳年下の娘も姉と同じ大学に入学した途端に拒食症が始まったのです。
それも、妹も初めは慕っていた先輩と同じ高校に行く予定だったのに、
姉の高校の文化祭に行ってから、急に志望校を姉と同じ高校にしたのです。
そして、入学すると姉と同じような症状の拒食症になってしまったといいます。
当時、何でそんなに文化祭で気が変わったの?と母親が聞いても、
模擬店で色々と食べて、お化け屋敷に入ったという共通点はあったものの、
どうして二人の気が変わったのか、具体的な理由は語らなかったという。
彼女いわく、何かこの高校が、
二人の娘の拒食症に深く関係しているのではないかという。
彼女が指摘した高校は、さすがに、名前は伏せるが、
杉並区にある、ある大学の付属高校だった。
さて、この依頼者の最も解決すべき問題は、拒食症である。
そう考えた場合、依頼者は、
初めに行った文化祭が問題だったのではないかと、私が語るのだが、
文化祭は問題ではないだろう。
そう思う理由は2つ。
■文化祭に行った時期と拒食症の発症が離れすぎている。
妹の場合で、半年以上後だし、お姉さんに至っては1年以上後に起きている。
■もし、文化祭で何かに憑依されたとか、霊障にあったなら、
もうその時付近で、何かしら異常が起きたり、
拒食症の前触れがあったはずである。それが無い。
となると、
付属高校に入った後、何かが二人に影響されているのだろうか。
少なくとも、母親はそう主張している。
そこで、学校が原因だと思われる現象か、
学校で起きた変な事などあったら教えて欲しいと言ったのだが、
そういう事は特に思いつかないという。
また、クラスメイトや友達などで、
他にも拒食症になった人はいないか聞いてみたのだが、
そういう拒食症の様な事になっている学友は思いつかないという。
「では、その付属高校がある場所が、
貴方の先祖に関係ある場所であるとか、
その付属高校自体に、何か因縁めいた事が、
貴方のご先祖にあったとかの話は聞きませんか?」と聞いてみたのだが、
一切心当たりは無いという。
どうやら、ただ漠然と、
その付属高校に入ってから、二人とも拒食症になったので、
拒食症は、きっとあの附属高校に原因があるのではないかと思った様だ。
実はこういう事は、世間ではよくある事である。
ある小学生のA子が、友達の庸子の家に遊びに行った。
すると、翌日熱が出て、病気になった。
翌週、同じクラスのB子も庸子の家に遊びに行った。
すると、翌々日熱が出て、風邪を引いてしまい学校を休んだ。
やがて、庸子の家に行くと病気になるという噂が立ち、
それが、庸子はバイキンとなり、いじめの対象になってしまったのだ。
単なる1つの偶然を、原因を決めつけ、
いじめへと発展してしまったケースである。
たった1つの事実の一致を、原因にするのは危険なのである。
さて、学校が原因から外れるとなると、
初めの問題が浮上してくる。
それは、病気と場所が絡んでいる問題は、霊障の可能性があるのだが、
学校が外れ、場所が絡んでいないとなると、
これはただの拒食症という病気という事になり、
私の専門外となる。
この時、私は半分病気だから、私の出番は無いなと思い始めていた。
それで、彼女に、
「二人も拒食症になると、食事管理も大変でしょう?」という話をすると、
意外にも、彼女は、
「姉の方は、治り始めています。
現在は妹の方だけが深刻です。」というのだ。
詳しく聞くと、妹さんが拒食症になり始めたと同時に、
お姉さんの拒食症が治り始めたというのだ。
これは何を意味するのだろう。
何か嫌な予感が頭をよぎった。
これは、霊障かもしれない。
考えようによっては、
姉に憑りついていたものが外れて、妹に乗り換えた。
とも言えるのだ。
そこで彼女に、
「貴方のご先祖か、知り合いに、
拒食症で亡くなった人はいませんか?」と聞いてみた。
しかし、しばらく考えた彼女は、特に思いつかないという。
依頼者に思いつかないと言われれば、それまでである。
霊障かもしれないと感じたのだが、
それ以上の事は、電話相談では分からない。
相談はそこで、行き詰ってしまった。
そんな時、1つの疑問が何となく浮かんだ。
それは、
姉は、付属高校に入学してから半年後に拒食症になったという。
しかし、妹は付属高校に入学してまもなく拒食症になった。
この半年というタイムラグは、何が意味しているのだろう。
そこで、奥さんに率直に聞いてみた。
「お姉さんは高校に入学して半年後に、
娘さんは高校に入学してまもなく、
何かありましたか?」
すると、しばらくそのクイズを考えていたお母さんは、
ポツリと、
「誕生日?」と言った。
つまり、姉は高校に入学して半年後に16歳になって、
妹は高校に入学してまもなく16歳になったというのだ。
これは何を意味しているのだろうか。
そう考えた時、
もしかしたら、これは「年齢の導火線」かもしれないと思った。
そこで、彼女に、
「貴方のご先祖か、知り合いに、
16歳で悲惨な死に方をした人は知りませんか?」と聞いてみた。
すると、その時は知らないと言っていたのだが、
1週間後に、また彼女から電話があり、
祖母に聞いたところ、思い当たる事があるというのだ。
祖母は初婚だったが、
祖父は祖母が2度目の妻だった。
最初の妻とは離婚しているのだが、
離婚した時、15歳の娘さんが居たという。
その娘さんは、咽頭がんを患っていて、
離婚する時に、養育費はいいから娘の治療費は下さいと妻は嘆願して別れた。
しかし、祖父は金が無いといい、約束のお金は払わなかった。
祖母と再婚した後も、元妻は家に来て、娘の治療費を嘆願しに、
何度も何度も頭を下げに来たというが、祖父は払わなかった。
どうせダメなものに、金をかけても無駄という考えがあったそうだ。
やがて、娘さんは何も食べれなくなり、亡くなったという。
16歳だった。
私はその話を聞いて、それだと感じた。
娘さんと元妻さんは、どんなに無念だっただろうか。
離婚しても、娘さんとの縁は残っている。
戦後の苦しい時とはいえ、なぜ娘を少しでも救ってあげられなかったのか。
祖父の死後も、その霊障だけが孫の彼女達に降りかかって来ていたのだ。
私はその娘さんの供養を家族全員で1ヵ月してあげるように言った。
それと同時に、16歳の娘さんが食べたいだろうと思われる食べ物を毎日供える様にとも。
やがて、1ヵ月の供養が終わる頃、
妹さんの拒食症も自然と良くなって、治ったという。
無念にも無くなった霊が、
自分を思い出してもらう為に、
自分が亡くなった年齢と同じ年になった関係者に、霊障を起こす事がある。
私はそれを「年齢の導火線」と呼ぶ事がある。
そんな時、過去にその年齢で亡くなった人を探ると解決出来る事があるのだ。
最後に、こんな話を。
イギリスに、モデルの仕事をしていた10代の女の子がいた。
彼女の名前はケイト。
彼女には、ハンサムなボーイフレンドがいたが、
ある日、彼に、
「お前、最近デブになってきたろ。
痩せないと別れるから。」
と突然言われたのです。
彼女は必死に痩せる努力をしました。
下剤を頻繁に飲み、食べては吐きました。
やがて、体重は急激に減り、彼女は18歳にして摂食障害となっていました。
そんな彼女を見たボーイフレンドは、彼女を捨てて去っていきました。
失恋は、彼女を絶望に突き落とし、彼女は拒食症となり、
餓死寸前にまでなりました。
結局、モデルも辞め、彼女は親元に戻り、入院しました。
医者からは、
もう貴方には子供を産む事も難しいでしょうと言われました。
それほど体のダメージは大きかったのです。
彼女は入退院を繰り返し、痩せた体のまま30歳になっていました。
こんな体で、しかも子供も産めない。
こんな私を好きになってくれる人なんかいない。
私の人生は、もうダメかもしれない。
彼女は、絶望の中、何とか生きていました。
それでも親に負担をかけてはいけないと、
病院に行きながら、クレジットカード会社で働きました。
そんな時、
ひとりの消防士のバリーという男性と出会います。
普通の人は、彼女を見て骸骨とか陰口を言っても、
彼だけは、彼女を差別する事はありませんでした。
消防士という仕事柄、
彼女を救いたいという気持ちもあったのかもしれません。
二人は食事をしたり、デートをしました。
そして、2年後のある日、
バリーは彼女に言いました。
「子供が出来なくてもいいじゃないか。
それよりも、
ここに、君の体のサイズよりも
2サイズ大きいウェディングドレスがある。
もし、これが1年以内に着れる様になれるなら、
結婚しよう。」
涙が出た。
素敵な貴方なら、
子供が出来ない、30才になる私よりも
もっと、もっといい人がいっぱいいるのに・・・・
私でいいの?
彼女は頑張った。
彼が選んだ可愛いウェディングドレスを着たい。
ただそれだけに、彼女は頑張った。
今まで親や医者がどんなに勧めても出来なかった事を始めたのです。
ケイトは下剤を使うのを止めた。
そして、1日3食の食事を規則正しくとる様にした。
やがて彼女は、拒食症を必死になって克服したのでした。
その後二人は結婚。
医者から不可能と言われていたのに、
