●暇乞い
このお話は、昨日のブログ(●ねずみの幽霊)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12091239106.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
相談者は、普通の主婦の方で、5歳の息子さんのお母さんだった。
彼女は築40年位のアパートに住んでいて、一階に中華レストランがあるという。
その中華レストランの定休日が3日前だったのだが、
その定休日の前日から、業者に頼んで大規模なねずみの駆除が行われたという。
それに合わせて、アパートのゴミ集積場や、物置などにも罠が仕掛けられて、
住人にも協力と注意の紙が回っていたという。
彼女は、アパートの3階に住んでいて、特にねずみの被害には遭っていなかったそうだが、
確かにゴミ捨て場にねずみが出るという話を聞いていたので、ねずみの駆除には賛成だった。
結果は、子供のねずみを含めて10匹ほど駆除出来た様だった。
ところが、それから2日経った昨日、彼女の家でとても不思議な出来事があったという。
午後4時頃の事だったという。畳の部屋で、子供と勉強をしていた時の事だったという。
急に、「ガチャ、ガチャ」という小さな物音が聞こえたのである。
耳を澄ますと、その音は、少し開いた押し入れの中から聞こえてくるのである。
押し入れの中に、何か居る!
押し入れの中には座布団や洋服を整理して入れてある引き出し、
それに子供の玩具が入っている。更に耳を済ませて、
「ガチャ、ガチャ」という小さな物音を聞いていると、
どうやら、その音は子供のおもちゃ箱の中から聞こえてくる感じだったという。
おもちゃ箱の中には、積み木やレゴブロックが入れてあるという。
そのおもちゃ箱の中から音が聞こえてくる感じだったという。
例えて言うなら、そのおもちゃ箱の中に、ねずみが入って、
積み木やレゴブロックの上を、駆けずり回っている様な、
「ガチャ、ガチャ」という小さな物音だったという。
きっと生き残ったねずみが、3階に逃げてきたんだわ!彼女は、絶対ねずみだと思って、
怖くて直ぐに少し開いていた押し入れの襖を閉めたという。
すると、襖を閉めた途端に、音も鳴りやんだ。音は1分位鳴っていた感じだったという。
そして、ご主人が帰ってくるまで開けなかった。ところが、
押し入れを恐る恐る開けたのだが、ねずみどころか、虫一匹居なかったという。
その後、ご主人と奥さんはは、押し入れの中はもちろん、家中の床を調べたのだが、
ねずみの糞(フン)らしき黒い物は、1つも見つからなかった事から、
多分ねずみでは無いと確信したという。ただ、1分ほど押し入れの中から鳴っていた音は、
彼女だけでなく息子さんもはっきりと聞いていたので、
彼女の聞き違いや勘違いでは無いという。
それで、彼女の最初の質問、「先生、ねずみの幽霊っていますか?」となったのである。
タイミング的に、多くのねずみが駆除された後だけに、
彼女がそう思っても不思議ではないだろう。
正直言って、私は、ねずみの幽霊の話は聞いた事が無い。
ただ絶対無いかと聞かれると、否定も出来ない。
まず冷静に考えて、おもちゃ箱から、一瞬音がしたというだけなら、
おもちゃが崩れたとかいう物理的な要因が考えられるし、生霊という可能性もあるが、
音が1分も続いたとなると、死霊、つまり亡くなった人の霊が関係している感じがした。
そこで、まず彼女に聞いたのは、その家で、亡くなった人はいますか?という質問だった。
しかし、今いる息子が最初の子で、流産などもした事が無いと言う。
ただ彼女は7年前に、この部屋に越してきたので、それ以前の事は分からないという。
そこで範囲を広げて、貴方やご主人の親戚やご先祖で、
幼くして亡くなった人は、この5年以内にありますか?
と聞いてみたが、やはり思い当たるふしは無いという。
その後も色々と聞いてみたのだが、さっぱり音の原因は予想もつかなかった。
最後には、私もねずみの霊かもと思ってしまう始末である。
結局、私は何の答えも導き出す事無く、相談は終了となった。
ところが、その3日後、
再び彼女から電話があり、
音の正体が分かったのである。
あれから彼女のアパートで、
ひっそりと家族葬が、同じ階のお宅で執り行なわれ、
彼女も挨拶に行ってきたという。
同じ階の2軒隣の家の裕也君という5歳の子が亡くなったのだ。
その子は生まれつき心臓が悪く、学校も休みがちだったという。
ただ、彼女の息子さんと同じ5歳で、
同じアパートの階に住んでいる事から、
時々彼女の家に遊びに来ていたのである。
だから、ひっそりと行われた家族葬にも呼んでくれて、
息子と一緒に、お線香をあげに行ったという。
なぜ、彼女がそんな出来事を私にもう一度電話してきたかと言うと、
あの電話相談の時、
私は彼女にこんな事を言っていたのである。
「う~ん。ちょっとおもちゃ箱の音が、
どうしてしたのか、分かりません。
ただ、
私が思うには、
もしそれが霊が起こした音であれば、
多分、そのおもちゃ箱の中の積み木やレゴブロックを
生前、触った事がある人が起こした可能性は高いと思います。」
とそんな考えを伝えていたのである。
その直後に、裕也君が亡くなったという知らせを受けて、
そういえば、裕也君は生前、
息子とよく積み木やレゴブロックで遊んでいたわ。
もしかしたら、
そう思って、電話をくれたのである。
私は、それを聞いて、
ああ、あの押し入れの中のおもちゃ箱の音は、
その裕也君だったのだ。と思った。
日本には、昔から「暇乞い」という言葉がある。
これを下を見ないで読める人は凄い。
意味はと言うと、
読んで字の如く、暇(ひま)を乞う(こう)という事で、
ひまをくれるように、お願いする事である。
しかし、占いの世界では、
暇乞い(いとまごい)の意味は、
別れを告げる事。
つまり、今生の別れにやってくる事を言う。
例をあげると、
Aさんという主婦の方が、2階で洗濯物を干していた時の事である。
ふと、気になって下を見ると、
なんと田舎から、お祖父ちゃんが来ているではないか。
「なんで、急に来たの?」と
急いで1階に降りて行ったという。
しかし、どこを探してもお祖父ちゃんはいなかった。
やがて夕方になり、食事の支度をしていると、
田舎から電話がかかって来た。
お祖父ちゃんが心臓発作で急死したというのだ。
そう、
お祖父ちゃんは亡くなる最後の瞬間に、
可愛い孫に、一目会いに来たのである。
これを、「暇乞い(いとまごい)」と言う。
つまり、最後のお別れに来たという意味である。
この現象は、親戚や親類の間だけとは限らない。
親しかった友人とか、心に残った人や、
もう一度会いたかった恋人にも起きる事がある。
また、暇乞いの現れ方も、色々で、
はっきりと亡くなった人の姿を見る人もいれば、
姿と一緒に、声も聞こえたという人もいる。
そうかと言えば、故人の声だけ聞いたという人もいて様々である。
これは見る人の霊感の強さによる事もあるが、
主にその亡くなった人の性格や能力に寄る事の方が大きい。
例えば、生前騒がしかった人や、目立ちたがり屋だった人は、
なるべく姿や声を直接聞いてもらおうとするだろうが、
生前物静かな人や、あまり目立つのが嫌いな人は、
相手が気づくか気づかないかという位の静かの別れを伝えにやってきます。
ただ、どんなに普段は鈍感で、霊感ゼロの人でも、
最後の別れである暇乞い(いとまごい)の瞬間は感じる人が多い。
だから、今まで幽霊など一度も見た事が無いという人も、
お祖父ちゃんが亡くなる前日に、お祖父ちゃんらしき人を見たり、
お祖父ちゃんが初めて夢に出て来たという現象が起きる。
また、私が入院した病院の看護婦さんも、
ある病室で寝たきりのお祖父ちゃんが、夜中に歩いているのを一瞬見た事があったという。
そしてそのお祖父ちゃんは、2日後に亡くなったのだという。
多分、亡くなる前に、家族や友人の元に最後の挨拶に行ったのだろう。
そう、いとまごいに行ったのである。
今回のケースでは、
裕也君はたった5歳の子供であるが、
子供でも、1つの立派な魂である。
子供による暇乞い(いとまごい)はあるのである。
ただ、子供による暇乞いは、
私の経験上、姿を現すよりも音だけの事が多い様だ。
今回も玩具の積み木やレゴブロックをいじる音だけだった。
聞くと裕也君は、生まれつき心臓が余り良く無かった様で、
片腕の動きもぎこちないので、
怪物と言われて気味悪がって友達が居なかった。
外出は余りせず、お友達も彼女の息子さん位しかいなかった様である。
また、治療費にお金がかかって、余り遊び道具とかは買ってもらっていなかった様だ。
だから、同じ階に住む彼女の息子さんが唯一の遊び相手だったのかもしれない。
そして、息子さんが持っていた積み木やレゴブロックで遊ぶのを
とても楽しみにしていたと言う。
「おばちゃん、僕もこれで遊んでいいの?」
「いいわよ。いっぱい遊んでいってね。」
きっと、裕也君は、亡くなる最後の瞬間、
唯一の友達だった息子さんに会いに来たと同時に、
最後に、楽しかったブロック遊びをして、
天国に旅だったに違いない。
「こんな僕と、友達になってくれて、ありがとうね。」
END