●ルームメイトはゴルゴ13

 


これは私がアメリカに留学してしている時の話です。






当時、私は単身アメリカに留学していたので、

大学の寮で生活していました。




寮と言うと、小さいイメージがあるかと思いますが、

アメリカの大学の寮は、デカいです。

鉄筋コンクリート5階建てで、多分部屋数が300部屋くらいあり、

そこに500人位の学生と、食堂と娯楽施設や勉強室があるのです。


部屋は、私が知る限り、

個人部屋と、2人部屋と4人部屋があったかと思います。

驚いたのは、ある4人部屋にお邪魔した時、

2階建てのベッドの下段が男子学生で、上段が女子学生だった事です。

今から考えると、希望すればそういう設定に出来るシステムなのかもしれません。




ただ当時私は2人部屋だったので、

僕んとこも女子学生が来ないかな。と、有らぬ期待をしたものです。




当然、そんな願いは叶うはずもなく、

大学の一年目は、現地のアメリカ人男性がルームメイトになりました。

そして、彼は来年は実家から通うという事だったので、

2年目のルームメイトこそと、期待していると、

今度は、背が高くがっしりしたタイ人がルームメイトとしてやって来ました。



彼は部屋に来るなり、荷物を置くとすぐに近くにあるキッチンに出かけ、

ラーメンを作って来て食べ始めした。

私よりもかなりアメリカ生活が慣れている感じです。


 

う~ん。

こいつと1年間いっしょかぁ。



女性のルームメイトという幻の期待があった分、ちょっとがっかりでしたが、

知り合ってみると、けっこういい奴でした。





大学4年生で、勉強もかなり出来た人でした。

当時、私は美術を専攻していたのですが、

私が作ったビルの模型を見て、一目でこうしたらもっと丈夫な設計になるよと、

指摘したりしてくれて、ちょっとビックリさせられたのを覚えています。

意外だったのは、彼は普通の学生ではなく、

タイの軍人さんだというのです。

だから、タイに帰国したらお国の為に軍隊で働くのだと言っていました。







国ではライフルも撃った事があるのだといいます。


というのは、

ある日私が、漫画のゴルゴ13を読んでいると、後ろから、

オレもそのライフルを撃った事があるよ。と、

ゴルゴ13が劇中で使っていたアーマライト銃を指さして言ったのです。

今まで気がつかなかったが、そういえばコヤツ、

背が高くてがっしりしてて、短髪やなぁ。

銃を持たせたら、ゴルゴやないかい。056







 

う~ん。

意外と怒らせたら怖い奴かもしれん。




 


それまでは、彼の持ち物や机の物など、色々と気になった物は聞いていたのですが、

その時から、あまり聞かない様になりました。



 


あまり深く詮索したら、

知り過ぎた奴として、消させるかもしれんわ。






 


そんな彼には叔父が居て、ここシアトルで暮らしていたので、

彼を頼って、この大学に留学して来た様でした。






彼とは1年も一緒に暮らしていながら、大した思い出は無いのですが、

一度だけ、彼の役に立った事がありました。







今回は、その時の事をお話ししたいと思います。










ある日の事、部屋に電話ありました。

私が最初に出たのですが、彼の叔父さんから電話だった様です。





彼は普段から余り驚いたりはしないのですが、

電話で話している彼は、明らかに動揺している感じでした。






彼は私に一言いって、直ぐに叔父さんの家に飛んで行きました。







 

 

「叔父さんの娘さんが、誘拐されたみたいだ!」


後半は、明日のブログに続く。