●顔が歪む(ゆがむ)男
基本、占いは匿名である。
特別な場合を除き、相談者は私に本名を伝える必要はない。
そういう間がらなので、
どんな相談者も遠慮なく色々な事が相談出来ると思っている。
しかし、それが逆に弊害となる事もある。
相談者の中には、
たまに、
犯罪を犯している者がいる事もある。
それはある男性の電話相談者だった。
歳はけっこういっていると思われる。
後に家族構成を聞いた時、
娘は嫁に行って、妻と二人暮らしだと言っていたので。
彼の依頼内容は、奇妙なものだった。
まず彼が最初に、訴えたのは、
「家に、見えない何かがいる感じなんです。」という。
彼の話をまとめるとこうだ。
ある朝、彼が目覚めて、
洗面所に顔を洗いに行ったという。
そして、歯を磨いている時に、
何気なく正面の鏡を見た。
すると、自分の顔が歪んでいるのだという。
これは歯を磨いているからかと思って、
歯を磨き終えてから、改めて見ても、やはり顔が歪んでいる。
右口が上がり、右目が上がり、全体的に右上がりに顔が歪んでるのだ。
彼は驚いて妻を呼ぶと、自分の顔が歪んでいないか見てもらった。
しかし、妻は別にいつもと変わらない顔だと言う。
そこで、妻と一緒にさっき居た洗面所に行き、
大きな鏡の前に立った。
すると、
不思議な事にさっきは右上がりに歪んでいた顔が、いつもの普通の顔に戻っている。
妻からは、寝ぼけていたんじゃないと言われた。
確かに、起きてから30分と経っていないので、
寝ぼけていた可能性はあると思い、その時はそれ以上深く考えなかったという。
ところが、翌日、
彼が風呂に入っている時だった。
彼が髪の毛を洗い終え、正面の鏡を見ると、
またもや自分の顔が歪んでいるのである。
しかも今度は、右目がやや大きくなり、おでこが腫れている感じだ。
彼はびっくりして、すぐ風呂を出ながら妻を呼んだ。
飛んできた妻が「どうしたの?大きな声を出して?」と聞くと、
「オレの目とおでこ、腫れてないか?」と彼。
「別に腫れて無いけど。」
そこで改めて、風呂の中の鏡を妻と見ると、
普通の顔なのである。どこも腫れていない。
結局その時も、妻に、
「鏡に水滴がついていると、その部分だけ変に映る時があるわよ」と指摘され、
その時も無理やり納得したという。
しかし、その次の日、
今度は間違えようが無い事が起きた。
起きた朝食を食べ、会社に出かける時だったという。
玄関で靴を履き、ふと玄関にある大きな鏡を見ると、
今度は体全体が歪んでいるのである。
鏡の中の自分は、右足が短く、右腕が異様に曲がっていた。
今度は間違いなかった。
起きたばかりで寝ぼけている訳でも無く、
鏡に水滴が付いている訳でも無かった。
今度は顔では無く、自分の体だ。
妻を呼ばなくても、見れば異常が無い事は分かる。
その時彼は、瞬間的に思ったという。
これはきっと、重大な目の病気だ。と。
その日、彼は会社を休み、すぐに眼医者に行った。
ところが、異常は何も認められなかった。
彼は納得いかず、他の眼科医にも行ったが、結果は同じだった。
その後も、家の鏡を見ると、時々、
自分の姿が歪んでいる現象が起きるという。
私が、なぜ家に見えない何かが居ると思うのですか?と聞くと、
家から一歩でると、
外の鏡を見ても、顔が歪むという現象は一切起きないという。
それなのに、洗面所の鏡を新しい物に取り換えたのに、
その新しい鏡でも顔が歪む現象が起きるのだという。
だから、きっとこの家の中に、見えない何かが居るのではないかと言う。
それ以来、彼は怖くなって、
洗面所と風呂場と玄関の鏡はもちろんの事、
奥さんが使っている鏡も全て、普段は布を掛けさせ、
彼はこの半年、家の鏡を使った事は無いという。
しかし、こんな状態だと、
家に人も呼べず、奥さんからもどうにかして欲しいと言われているのだという。
でもこの時点では、私はさっぱり訳が分からなかった。
ご主人だけに起きるという、顔や体が歪む鏡の怪現象。
この家でいったい何が起きているのだろうか!
後半は、明日のブログに続く。