●1ヵ月の花嫁


 


このお話は、昨日のブログ(●不気味な婚約)の続きです。

 

従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12060048815.html


 


を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ


 

彼女は病院で受付兼事務をしているという。ある日、男性が入院してきたそうです。

重い胃潰瘍の治療、他に精密検査などでの入院でした。

彼が退院の日、彼女が受付にいました。

彼は会計を済ませると、突然彼が、受付にやってきて、

「車の鍵が無いんです。落し物の届は出ていませんか?」と言ってきたそうです。

彼女は、病室から駐車場までを丹念に探しましたが見つかりません。

一緒に荷物の中を全部探しましたが、ありません。

最後に彼女が、小銭入れの中はどうですか?と尋ねました。

すると、なんと車の鍵は小銭入れの中にあったのです。どうやら彼も会計の時に、

もらったお釣りと一緒に握っていた車の鍵を小銭入れに入れてしまった様でした。

その時は、それだけだったのですが、2ヵ月程経ったある日、

彼女がスーパーで買い物をしていると、偶然そこに彼も買い物に来ていて、

二人はばったり遭ったそうです。丁度夕食の買い物をしていた彼女でしたが、お礼にと、

彼と食事をする事になったそうです。

それから1週間後、彼が再び病院に来た日も食事に行きました。

検査結果は悪く無かったものの、まだ彼は本調子では無い様子でした。

その日から、段々とデートする様になり、1年後に二人は婚約したのです。

ところが、婚約してから今度は彼女の体調が悪くなったといいます。

婚約してから2週間で4kgも痩せたといいます。それだけではなく1ヶ月後には、

胃が痛くなったので、検査すると胃潰瘍だと診断されました。

また、目も悪くなったといいます。彼との食事の約束も2回も1時間遅れたのも、

時計を見間違えたのですが、それが何度も確かめて間違いだったそうで、

直ぐに眼医者に行くと、ものもらいだと言われたといいます。

それからも彼女は痩せ続け、あれから10kg痩せたといいます。

そんな彼女には、気になる事が2つあるのだといいます。

■1つは病気の事でした。婚約してから彼女が胃潰瘍になったのですが、

実は、彼が入院したのも胃潰瘍だったのです。

それが、婚約までずっと調子が悪かった彼ですが、

婚約してから調子が良くなり、すっかり治ってしまったというのです。

それと同時に今度や彼女が胃潰瘍になるという不思議な現象。

■そしてもう1つは、目の事。時計を見間違えて、

彼との食事の約束を2回も大遅刻したのですが、実は、家を出る前に、

亡きお祖父ちゃんに彼との事を応援してねとお願いした後に起きたといいます。

これは、もしかして、亡きお祖父ちゃんが、

彼との結婚を反対しているのでは?と考えてしまいました。

彼と婚約してから急激に痩せるという現象も、

亡きお祖父ちゃんが、結婚に反対しているからでしょうか?

そんな電話相談でした。

この時はまだ、婚約と同時に彼の胃潰瘍が良くなり、

彼女が胃潰瘍になったのは、ただの偶然だと、私は思っていた。























 

 


私としては、彼女の話の中で一番興味があったのは、

亡きお祖父ちゃんが、この結婚に反対しているのではないかという所でした。


というのは、

希に霊が時計を狂わせるという現象は、聞いた事があったからです。





 

そこで、詳しく聞いてみると、

その日は朝一番で、仏壇に水をあげ、

お祖父ちゃんに今日の彼との食事よろしくお願い致します。とお願いしたそうです。

ところが時計が1時間狂っていて大遅刻となってしまったそうです。

それと同じ事が後日にも起きたという事でした。




本当にお祖父さんの霊が、彼女の時計を狂わせたのでしょうか。




この時はまだ、私も半信半疑です。







彼女のお祖父さんは、彼との結婚を反対しているのでしょうか。

そこで、彼の生年月日や写真もインターネットを通じて見せてもらいました。





でも、彼女との相性は良い様ですし、彼の人相も悪くありません。





そこで気になったのは、

もし、お祖父さんが彼女の結婚に反対なら、

いつ頃から、時計を動かすなどの妨害工作を始めたのかでした。




私が彼女に、

「婚約前から、時計が狂うなどの現象はありましたか?」と聞くと、

意外な答えが返ってきたのです。





なんと、婚約前には、もっと安い時計をはめていたというのです。

つまり、時計が狂う現象は、

婚約後にした時計でのみ起こっていた現象だったのです。

また、お祖父ちゃんが起こしたかもしれない不思議な現象は、

婚約前には何も無かったという事でした。






 

この瞬間、


私の興味は、お祖父ちゃんから婚約後にはめた時計へと移ったのです。






なぜなら、婚約後にはめた時計だけが狂うというのもそうですが、

もし私がお祖父さんの霊で、結婚を邪魔したいなら、

婚約後からあせって邪魔するよりも、そこまでの過程で邪魔するはずです。

婚約までいった後では、相手の家族も巻き込んで、取り消しが効かないかもしれません。

それよりは、付き合っている段階で邪魔した方がいいに決まっています。






 

なんとなくお祖父ちゃんの霊は関係無いように思えてきました。









私が婚約後にはめだした時計の事を聞くと、

彼女から私が知らなかった意外な言葉が返ってきました。









なんと、時計はエンゲージウォッチだというのです。







初めて耳にする言葉です。







普通、婚約すると、

婚約指輪(エンゲージリング)を交換するものだとばかり思っていた私には、

指輪は交換していないという彼女の言葉は、初耳だったし意外だったのです。






現代の若者は、婚約指輪を交換するよりも、

現実的に役に立つ記念品として、婚約時計を贈り合う事があるそうです。




なるほど、

ダイヤの指輪よりも時計の方が、現実的で安いかもしれませんね。と言うと、

「とんでもありません!」と彼女。






彼から贈られた婚約時計は、130万円もするといいます。


「高ッ!!」

内心ビックリです。(今まで私は2万円以上の時計をした事がありませんでした)

カルティエの時計だといいます。






ちなみに、貴方も130万円位の時計を彼に贈ったのですか?と聞くと、

同じ様な時計をはめてあげたのは、確かですがそれも彼が買ったものだという。

「彼がプロポーズの時に、私にカルティエの時計をくれて、

 同時に彼用のカルティエの時計を彼が買っていて、

 それを私が彼の腕にはめてあげました。」




「ヘェー凄いないぁ。 彼が260万円出したんだ。」

時計は箱に入っており、説明書もある新品だったという。


 

なるほど。



そうなると、1つ疑問が浮かぶ。





カルティエといえば、超一流の世界的な会社の製品だ。

しかも新品。1時間も狂うはずがない。

彼女に確認しても、絶対彼女の見間違いで1時間間違ったのでは無いという。


それも2回も。







 

となると、

霊が絡んでいるという事になる。





 

そこで彼女に、カルティエの時計の箱をもう一度探してもらってきて、

保証書を探してもらった。






それだけ高い時計なら保証書があるだろう。






そして日付を確認してもらった。




すると、保証書の日付が、

婚約した日よりも約3年古いのである。






普通、婚約する少し前に買うだろう。

3年前って、ちょっと古くないか。と私は内心感じた。





彼女も同じ感じを受けたのだろう。

私が何か言う前に、「彼に聞いてみます。」と言って電話を切られた。



中古品か、もしくは何か事情があるのだろう。










 

 

3日後、彼女から再び電話があった。








彼は正直に話してくれたという。

やはり、あのカルティエの時計には隠れた事情があった様である。






 

今から4年前、

彼は雑誌のモデルをしている女性と恋仲になったという。

やがて結婚を約束する仲に。

モデルの彼女は、雑誌で手タレもしているという事もあって、

指輪の跡の心配もないし、昔からずっと欲しい時計があるので、

婚約指輪よりも婚約時計にしたいと言ったという。






彼は彼女のぞっこんだったので、相当奮発したらしい。

それがあの高級なカルティエの時計だった。





ところが、彼女はその婚約した1ヵ月後に急性の胃がんで亡くなってしまったのだ。

彼は相当なショックだった。

その後何度も彼女の墓参りにも行ったという。









やがて1年が過ぎ、


彼女の一周忌の法要の時だった。





彼女の家族から、家に貴方からもらった高級な時計があるのですが、

こんな事になってしまったので、お返ししますと母親に返してもらったという。

彼はそのまま受け取り、引き出しの中にずっと保管してあった。

その後、現在の彼女と出会い、婚約。

そして彼女にそのカルティエの時計が渡ったというのだ。




つまり、彼女がもらったカルティエの時計は、

亡くなったモデルの彼女が婚約時にもらった時計だったのである。






 

 

私はその話を聞いて、

はやり時計が問題だったのだと確信した。





そのカルティエの時計には、モデルだった彼女の想いが詰まっていて、

同時にそれは自分の物で、他の人にはあげたくないという強い念が込められていると思った。






最初、彼が一周忌にその時計を彼女の実家から持って来てから、

ずっと胃潰瘍に悩み、婚約後に今度は彼女が胃潰瘍になって彼は治ったという現象。

多分それは、時計が絡んでいる。




時計の移動と共に、胃潰瘍の現象も移動しているからだ。

そして、モデルの彼女の死因が胃がんだった事も関係がありそうである。






当然、時計が1時間狂って、彼氏との食事の時間に大遅刻したのも、

その時計の霊現象だろう。






私は、彼女に、カルティエの時計の前に、

モデルの彼女の名前を書いた短冊を置き、水とお線香を焚き、

「彼女に謝り、この時計は近く貴方にお返しします。どうかお許し下さい。

 そして成仏なさて、今度生れ変わる時には幸せな結婚をなさってくださいね。」


と言って供養してあげる様にアドバイスした。






最後に彼女は、

「こんな何回も使っていない新品な時計に、

 亡くなった人の怨念が入るものですか?」と聞いてきた。



確かにそうだ。

日頃から愛用している物には、怨念が染み込んでいる場合がある。

しかし、今回はほとんど使われていない新品の時計である。




でも、実は入るのである。



新品、中古関係無く、

今回の様な場合、

この新品のカルティエは、

死んだモデルの彼女の仏壇に1年もあったのだ!

その間に段々と、彼女の想いが入っていったのだろう。





それはたった1ヵ月だけの夢と消えたかもしれないが、

彼女にとっては、

たった1ヵ月の花嫁だった唯一の物だったからだ。



 


その後、彼らは時計を彼女の実家に返したあと、


二人は結婚した。

今度は二人で、新品の指輪を買いに行ったという。


END