●和解の言葉を

 


このお話は、昨日のブログ(●妹を怨む亡き兄)の続きです。

 

従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12058955890.html

 


を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ

 

ある時、亡くなった兄に、

怨まれていて困っているという女性の相談を受けました。

お兄さんが亡くなってから3ヶ月程経った頃から、

彼女の夢の中に出て来て、初めの内は怖い顔をして彼女を睨んでいたそうです。

やがて「違う!」と言う様になり、はっきりと「怨む!」と言う時もあると言います。

酷い時には、3日連続で兄が怒って夢に出てくるのだそうです。

それで彼女は、夢の中ではありますが、謝るのだそうですが、

それでも兄はずっと怒ったままだといいます。

彼女は30歳で、お母さんと同居して暮らしていて、

そしてお兄さんは34歳で、都内で独身で独り暮らしをしていました。

そんなお兄さんが、半年前にバイクの事故で亡くなったのです。

お葬式は、自宅でこじんまりと密葬で行いましたが、

お兄さんの友人は、みな呼んでとりおこなったといいます。

そして、後日ちゃんとお墓に埋葬しました。

彼女は唯一の兄妹であった兄を失い、泣きました。

30年間生きて来て、お兄さんと喧嘩らしい喧嘩はした事が無いといいます。

お兄さんも彼女の事を大切に思っていた様で、

仕事の相談とか、将来の結婚の事とか、色々と相談にのってくれていたといいます。

彼女もそんなお兄さんの為に、

普段から無精な兄に代わって洋服を選んで買ってあげたりしてあげていたそうです。

生前、お兄さんは、週末には家に帰って来て、

母が作る手料理を食べに来るのを楽しみにしていました。

お兄さんが一人暮らしをしているアパートは、実家から1時間の所だったので、

彼女は度々「家賃がもったいないから、家から仕事場に通ったら。」と言っていたといいます。

そんな妹の言葉もあってか、兄も「そうだな、来年にはそうするかな。」

と言っていた矢先の事故だったといいます。

そんな仲の良い兄妹だったのに、亡くなって3ヶ月後には妹を怨む様になっていた兄。

彼女は、何が何だか分からないといいます。私は始め、お兄さんの死後、

何かお兄さんの大切な物を、勝手に処分してしまったのではないかと思いましたが、

お兄さんの持ち物は、全てそのまま実家の元お兄さんがいた部屋にあるといいます。

勝手に処分した物は無いというのです。

お葬式の手順や行い方にも問題はありませんでした。

元々無精なお兄さんだったので、特にお葬式には何のコダワリも無かったと思われます。

ただ、唯一手がかりらしいものが1つあります。

それは、「違う!」という夢の中でお兄さんが言った言葉です。

多分、何かが違うのでしょう。

しかし、その何が違うのか、いくら考えて分からないと彼女はいいます。

私も電話口で、彼女と一緒に考えたのですが、

お兄さんが何の事を違うと言っているのか、皆目見当がつきませんでした。

この時点で、お兄さんは、なぜ妹を怨んでいるのか、分かった貴方は、

天才か、相当な洞察力の持ち主です。

もちろん私はこの時点では分からなかったので、私よりも有能なのは間違いないでしょう。

























 

 

確かに夢の中でお兄さんが言った「違う」というのは手がかりではあったが、

それに固執して考えてしまった事で、だいぶ時間を無駄にしてしまった。

「違う」というだけでは、色々考えられて選択肢が定まらないのだ。

バイク事故が違うのか、葬式の仕方や友人が違うのか、

とにかく違うと考えられるものは沢山あり過ぎる。




そこで、違う点から考え始めた。

それは、夢の中で、

お兄さんは、彼女の事をはっきりと、「怨む!」と言う時もあるという。

 

霊はウソをつかない。




つまり、これは何か彼女がお兄さんに怨まれる事をしたという事になる。

しかし、彼女は生前お兄さんと喧嘩もした事が無いという。




実際、兄妹の最後の会話も、

「家賃がもったいないから、家から仕事場に通ったら。」と言うと、

兄も「そうだな、来年にはそうするかな。」と兄の事を思う良い妹である。

上の会話以降、彼女はお兄さんとは会ってもいないし、話してもいない。




という事は、

お兄さんがバイク事故で亡くなってから、夢に出る3ヶ月間のあいだに、


何か彼女はお兄さんに怨まれる様な事をしたという事になる。




 

そうなると、機会は限定される。

葬式か、埋葬か、普段の供養である。







ただ、葬式については、先ほど聞いて、

お葬式の手順や行い方にも問題は無かった。




また、普段の供養についても、

お兄さんの持ち物で、勝手に処分した物は無いという。

例え、他に供養の仕方で間違っていたとしても、

怨まれる事にはならないはずである。





残るのは、埋葬である。

しかし彼女は、ちゃんとお墓に埋葬しましたと言っていた。

改めて聞いてみたが、お墓には毎月行っていて、

綺麗な墓地で、墓石も立派なものだという。

彼女がお兄さんに怨まれる要素は何も無い。






 

また振出しに戻ってしまった。








彼女は、何もお兄さんに怨まれる様な事をしていないのである。

それよりも、家賃がもったいないから、家に帰って来たらと言う優しい妹なのである。






そんな事を考えていた時、

ふと、些細な事が疑問に感じた。






生前、お兄さんは家から1時間の所に一人暮らししていると言っていた。

家賃がもったいないという位なら、なぜそんな所に引っ越したのだろうか。

なぜ、妹が兄を家に呼び寄せるのだろうか。

普通、兄が一人暮らししていても、

家賃がもったいないからと、家に帰って来る様にと妹が言うだろうか。








 


そこで、その辺の事を彼女に突っ込んで聞いてみると、

ある家庭の事情が、明らかとなったのである。









現在、彼女は30歳で、お母さんと同居して暮らしているのだが、

3年前までは、彼女とお母さんとお父さんの3人で暮らしていたという。

しかし、3年前に父親が急死。


それ以来、彼女とお母さんだけで暮らしている。







でも、それよりも興味があったのは、

6年前までお兄さんを含め4人で一緒に暮らしていたという事だった。






ところが、お兄さんはどうしても俳優になりたいと大学を中退し、

アルバイトをしながら、ずっと劇団の活動をしていたという。

そんなお兄さんと父親はずっとぶつかっていて、

3年ものにならなければ、俳優は諦めろという父の言葉も無視して続けていたという。

その後、バイクの購入を反対されたのをきっかけに、殴り合いの大喧嘩して、

最後は父親に、家から出て行けと勘当されたのだそうだ。

それが6年前である。






それから3年後に父親が亡くなり、お兄さんは相変わらずだったので、

妹の彼女が心配して、

「家賃がもったいないから、家から仕事場に通ったら。」と言ったのだった。



 

でもここまでの話なら、たまに聞く話であり、

彼女がお兄さんに怨まれるという事にはならない。






この続きがあったのである。







その後、お兄さんはバイクの事故で亡くなるのだが、

その時病院にかけつけた彼女と母親に、

死に際に、お兄さんはこう言ったという。




「おやじと同じ墓に入れないでくれ。 違う墓に入れてくれ!!頼む」と。





お兄さんのお葬式の後、家族で埋葬の事について話し合ったという。

お母さんは、自分の貯金を全部はたいてでもお墓を買ってあげようかと言った。




しかし、妹さんは、

そんな母子家庭の私達に、わざわざ新しい墓地を買う余裕なんか無い。と頑強に反対。

それに親子なんだから、

最後は父親とお兄ちゃんがお墓の中で和解して欲しいという願いもあったという。

結局、お兄ちゃんの遺骨は、父親が眠る墓に埋葬された。







 

私はこの話を聞いて、これが原因だと思った。





結論から言うと、こういう場合、

小さくてもいいから父親とは違う墓を用意した方が良かったのです。

お兄さんの最後の願いを無視した事によって起きた事でした。







 

ただ、世の中、特に東京では、

墓地はそんなに安い買い物ではありません。




彼女も、新しく墓地を用意する以外に、何か方法は無いでしょうか。と聞いてきた。



そこで次点の策として、次の事をアドバイスした。


■まず、現在埋葬されている墓に行き、

 父親の骨壺とお兄さんの骨壺の距離を開け、

 その間に、段ボールなどで仕切りをして、

 お墓の中に2つの部屋を作る様にする。


■お兄さんは、生前、パリに行きたいと言っていたので、

 お兄さんの方の段ボールには、パリの風景の写真を貼り、

 お父さんは、生前山が好きだったという事なので、

 お父さん側の段ボールには、山の写真を貼る。


■少なくても1ヵ月以上、お兄さんが怒っている夢を見なくなるまで、

 仏壇でお兄さんに訴えかけて下さい。

「うちは余りお金が無いので、別のお墓が買えません。ご免なさい。

 どうかお父さんとは離れさせましたから、これで許して下さい。お兄ちゃん。」と。





 

 

彼女は、さっそくやってみると言って電話を切られた。



 

最後に彼女は、

ついでに、こんな事もお兄ちゃんに伝えたいと言っていました。


 


「お兄ちゃん。ホントはお父さん、お兄ちゃんの将来が心配だから、

 うるさく言っていたんだよ。

 バイクだって、結局お父さんの心配していた通りになったし、

 母さんが時々、お兄ちゃんの部屋行って、食事作ったり、

 掃除したりして、2万円置いて行ったでしょ。

 それホントはお父さんが、母さんに見に行ってやれって、

 影でこっそり2万円母さんに渡してたんだよ。

 父さん、兄ちゃんが憎かったんじゃないんだよ。」




彼女の言葉を聞いて、きっといつのか、

二人は和解するだろう。

END