●森の正体
このお話は、昨日のブログ(●隣の森)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12041271391.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
ある主婦の方からの相談だった。
新しく新築した家に住み始めて、まだ2ヵ月だというのだが、
家族の内、彼女の夫、祖母、そして彼女自身も、
次々と謎の頭痛がし始めるのだという。
彼女の家は、子供2人とご夫婦と祖母の5人暮らしで、
子供2人以外は、全員この家に引っ越して来てから頭痛が始まったという。
医者に相談しても、偏頭痛だろうという事で、
薬を処方してもらうのだが、それを飲んでも一向に良くならない。
次々に頭痛がしだし、彼女のご主人までもが頭痛になった時、
これはおかしいと思い始めたという。なにしろ、この家に引っ越して来るまでは、
誰も頭痛になど悩まされていなかったものが、この家に引っ越して、たった2ヵ月で、
子供を除く家族全員が頭痛の症状に悩まされる様になったのである。
これはこの家が悪いのではないか。家相が悪いのではないか。
さっそく家相を拝見したのだが、特段悪い家相ではなかった。
家族3人が、次々と頭痛になるのは、何かこの家に問題があるはずだという。
そんな彼女には、気になっている事が2つあるという。
■この家を建てる前に、実はボロい空き家が建っていたという。
その家を取り壊して、今の新築の家を建てたんです。
その空き家を壊した事がいけなかったのではないだろうか。
■もう1つ気になるのは、隣に森があり、なんとなく気持ちが悪い森だという。
まだ森の中に入った事は無いが、冷たい風が森から吹いてくるのだという。
こうして、私は初めて栃木県へ出張する事になったのである。
彼女の家、2階建ての新築の家の前に着いた時、
確かに隣に、森があるのがすぐに分かった。
暗い、雑草が生い茂る、入りずらい森である。
電話では、空き家を壊して新築の家を建てた事を気にしている様だったが、
私には、後者の森の事の方が気になり始めていた。
なんとなくだが、この森は、自然の森とは、何か違う感じがする。
そして、直感で、なんとなくだが、この森には、何かいる!!
そんな森を、車から出て眺めていると、
家から奥さんが出て来た。
簡単な挨拶を交わした後、
さっそく家の中を見せてもらった。
家の見取り図の原本をまずテーブルの上に広げて、
ざっと家相を診た。
前日聞いてものとほぼ同じで、やはり特に悪い点は無い。
次に一部屋一部屋診ていった。
1ヵ所を除いて、やはり問題は無かった。
1ヵ所とは、仏間の問題だった。
奥さんに仏間がある畳の部屋に来てもらい、
床の間に置いてある、神棚について聞いてみた。
「神棚が床の間に置いてある様ですが・・・」
「はい、引っ越して来て、
作り付けの仏間はあったので、仏壇は飾ったのですが、
神棚を飾る天井近くの棚を頼むを忘れていて、
とりあえず、床の間に置いてあります。」
なるほど、床の間は高貴な場所だという事で臨時に神棚を置いておいたのだろうが、
神棚を目線より下に置くのはよくない。
しかも、仏壇よりも下である事も良く無い。
とりあえず、目線よりも上で、仏壇よりも上になるタンスの上に置いて置く様に勧めた。
また、その時に奥さんから、
仏壇と神棚のどちらを先に、お祈りをしたらいいのか聞かれた。
これは他の人からも、時々聞かれるのだが、
神棚を仏壇より先に、お祈りする。
と言うのは、
仏壇では、彼女のお祖父さんを供養なさっているという事だか、
そのお祖父さんは、生前朝起きたら毎日神棚にお祈りしていた方だったという。
つまり、お祖父さんを神棚より先に供養したのでは、
お祖父さんが悲しむし、神様に先にお祈りを捧げるのが昔からの習わしである。
さて、神棚を移動してもらったが、
これが3人の頭痛の原因ではないだろう。
神様を目線よりも下に置いていたのは良くはないが、
来週には神棚用の棚が完成するという事なので、
神様はその事を知っているはずである。
つまりずっと目線より下に放っておかれる場合は、
頭痛などを起こして、家族の注意を引こうとするが、
神棚を天井近くに備え付けなければと家族が気が付いていて、予定がある場合には、
謎の頭痛などを起こして、分からせたり知らせる必要は無いのである。
そうなると、
やはりあの森・・・
もう一度、表に出ると、隣の森を眺めた。
普通の森とは違う、何かを感じる。
なんだろう。
普通の森よりも、木々が大きい様な気がする。
それに民家のすぐ近くだというのに、森が深い。
ご夫妻に聞いても、隣に森がある事しか特に気にせず買ったという。
奥さんの話に寄ると、
時々森の方から冷たい風が吹いてきて、気持ちが悪いというが、
現在、無風状態なので、それは感じなかった。
ただ、この森には何か秘密がある様に思えた。
そう思いながら、森を見ていると、
一ヶ所だけ木々の生え方が、何となく違う部分があるのに気付いた。
感じとしては、森に小さな穴が開いている様な・・・
もしかしたら、山道かもしれない。
ご夫妻に話すと、彼らも気になっていた森なので、
かやさんが、行くなら私達も行ってみますという。
私もひとりじゃ怖いので、3人ならという事で、
私達は森に入ってみる事にした。
あの森に何となくあった木々の生え方が違っていた部分に近づいてみると、
他の部分よりも地面が固い。
やはり、古い山道になっているようだ。
ご主人が家から持って来た竹刀で、草をかき分けて進んでいく。
すると、茂った草に隠れていた山道は、以外にも広かった。
1mくらいはあっただろうか。
草木が生繁っていたのは、最初の5m位だった。
森の中に完全に入ってしまうと、
意外にも山道は、はっきりと分かる様になった。
そして、森の中を進み始めて15分位たった時、
この森の正体が分かったのである。
森に入ってしばらくした時、
一番後からついて来ていた奥さんが、
急に、前方に、赤い木があります。と叫んだのだ。
えっ、赤い木?
血か?
一同、息を飲んで、奥さんが指さす方を見た。
良く見ると、
赤い木は2本あった。
そして、上の方で繋がっていた。
それは、まぎれもなく、
神社の鳥居だった。
上の部分の赤い塗料はだいぶ剥げ、
近くまで行かないと、鳥居だとは分からなかった。
木もだいぶ痛んでいて、赤い色もくすんでいたり剥げていたりする。
この森は、神社があった森だったのである。
つまり、彼らは神社の隣に家を建てた事になる。
また、もしかしたら、以前取り壊した空き家は、
その神社に関係した家だったのかもしれない。
もっとこの先には、神社の本体があるのだろうが、
私達は、一旦家に引き返した。
そして、この家を仲介した不動産屋さんに電話して話を聞くと、
だいぶ昔、確かにこの森の奥に神社があったという。
ただ、その不動産屋さんも知らない昔、
神社が火事になり、それ以来そのままの状態になっているのだという。
私はその話を聞いて、
あの森は、今でも神社と共に生きていると思った。
私達が見たあの赤い鳥居は、
今でも魂が入って、凛として立っているのである。
神社本体が無くなっても、
魂が入った鳥居は、けっこうバカに出来ないのだ。
私は、ご夫妻に、
やや高級なお酒を一合買ってくるようにアドバイスしました。
そして、再びあの森に入り、
3人で、お酒を鳥居の周りにかけながら、
「この度隣に住まわせてもらう事になります。○○です。
ご挨拶が遅れまして、どうもすみませんでした。
どうかよろしくお願い致します。 お守り下さいませ。」と3人でお祈りした。
そして、鳥居の前に少量のお米と小豆を包んだちり紙を置き、しばらく合掌した。
その後、
3人の頭痛は、不思議としなくなったという。
いつの日か、
燃えて無くなってしまった神社が復活するまで、
きっと、いつまでもあの鳥居は頑張って立っている事だろう。
そして、あの鳥居が頑張って立っている限り、
あの森は、神社なのである。
END