●生きている人形
これは私がアメリカのシアトル留学中での出来事です。
当時、私は大学の寮に住んでいました。
寮は4階建てだったと思いますが、
その2階に住んでいて、2人部屋でした。
相部屋になった人は、現地のアメリカ人でした。
顔はジェームス ディーンが、
弱気になって無口になった感じでしょうか。
どんな感じじゃ。と、突っ込まれそうですが、とにかくハンサムガイです。
アメリカ人といっても、彼の家はスポーカンというシアトルとは、
少し離れた町から来ていたので、彼も寮生活をしていたのです。
とてもおとなしくて、いい人でした。
時々彼が聞いている音楽が、いいねと言うと、
カセットに録音してくれたりしました。
私はどちらかというと、夜型の人間だったので、
夜遅くまで勉強したりして、
ベットに寝転がりながらの勉強もしました。
ところが、彼はもう10時には床につくという健康人間。
しかも小さな私のベッドの光にも、起きてしまうという人でした。
そこで、私も気を利かせて、
10時以降は、寮の勉強室へ場を移して勉強したものです。
大学寮には、そういう人向けに、勉強部屋があり、
1人1人がベニヤ板で仕切られたルームがありました。
またその勉強部屋の隣には、卓球室があり、
勉強に疲れた人たちが、卓球をしたものです。
私も少し卓球が上手かったので、よくやりました。
当時香港や台湾から来た留学生とよく卓球をしたものです。
ルームメイトの住人が、現地のアメリカ人である良い点が1つありました。
それは、現地の人なので、
クリスマスとかの記念日や、週末など、
度々実家に戻る事です。
そんな時は、部屋は自分独りのものになるので、うれしいものです。
はっきり言って、ルームメイトが居ない時はとても快適です。
別に嫌なやつでは無いのですが、
彼が居ない時は、10時になっても部屋を出なくいいし、
音楽もイヤホンなしで聞けて、
部屋で自分で作った料理や、カップラーメンも食べれます。
ついでに、おならも音ありでプー。
夜中もベッドの明かりではなく、部屋全体の明かりをつけて勉強出来ます。
だから、カレンダーなどを見ながら、
ああ、もうすぐ感謝祭だから、
彼は家に帰るな。とか思ったりしたものです。
ところがある時、
彼が、別に祝祭日でもないのに、実家に帰るというのです。
「What's matter?」(どうしたの?)と聞くと、
彼の母親と、弟が病気だというのです。
それも医者に行っても、よく分からない病状で、
薬をもらって家で寝ている状態だといいます。
私も医者じゃないので、大した事はいえません。
take care~(お大事に)くらいしか言えませんでした。
やがて、彼の父親も具合が悪くなったとの事で、
彼は金曜日の午後には、寮から居なくなる状態となりました。
その時はまだ、
彼も、家族全員が具合が悪いなんて大変だな。
くらいにしか思っていませんでした。
ところが、ある日、
私が食後部屋で、ベッドで寝転んで小説を読んでいると、
彼が、Can you believe it? (信じられる?)と言ってきたのです。
アメリカ人の人は、よく口癖で、
Can you believe it? を使います。
私が、What is it? (何だい?)と聞くと、
彼は信じられない様な事を、話し出したのです。
それは彼の実家での出来事でした。
彼自身は、まだ見た事はないそうなのですが、
彼の家族によると、
実家の居間にある人形が、
夜中に独りで動き出すというのです。
始めは、居間の机の上にあった人形が、
朝起きたら、床に落ちている事がよくあったそうです。
始めのうちは、家で飼っているダックスフンドが、
イタズラして落としたのかと思い、拾って机の上の戻しておいたそうですが、
やがれそれが頻繁に起きるので、
ちょっと高い、食器棚の上に置き換えました。
ここなら足の短いダックスフンドにはジャンプしても届きません。
ところが、翌々日の朝、
またその人形は、床の上に落ちていたのです。
さすがに今度はおかしいと思いましたが、
もしかしたら、夜中に気がつかなかったが、
地震でもあったのかしれないと、自分を納得させたそうです。
そこで今度は、地震が起きても落ちないように、
置時計の後ろに人形を置き、
家族にも、人形をいっさい触らないようにと言いました。
念の為に、犬もしばらくガレージに入れておく念の入れようです。
ところが、翌日の朝、
置時計はなんともないのに、
人形だけ、床に落ちていたのです。
しかも、床に落ちてから少し歩いたのでしょうか。
落ちそうな場所から2mほど遠くの場所にあるのです。
この時、初めて認識したそうです。
この人形は、自分で歩いたのだ。と。
そして、その事を息子に電話で話したのでした。
その反応が、
彼が言った、Can you believe it? (信じられる?)だったのです。
私は、何か嫌~な予感がしました。
なぜなら、
歩く人形だけでなく、
そこに住む、彼の家族が、
次々と原因不明の病気になっていっているのですから・・・・
私は、彼に直ぐに家に電話する様に言いました。
というのは、
電話では、彼の母親が、
気持ち悪いので、人形をゴミ箱に捨てたというのです。
たいへんです。
後半は、明日のブログに続く。