●「こけし」という名のお地蔵様
さて、恒例のゴールデンウィークも終わりました。
長い休暇を取れた方でも、今日からお仕事ですね。
反対に、占い師の場合、
人が休みの時は休めませんので、
今日から夏休みという場合もあります。
ゴールデンウィークが終わってから来た相談に、こんなものがありました。
5月5日は、子供の日なのですが、
その翌日辺りから、子供が泣く夢ばかりを見るというのです。
それも同じ夢を何度も見るという。
これは子供の日と何か関係があるのでしょうか?という相談。
詳しく聞くと、
小さい女の子が、泣いている夢だという。
ただ泣いているだけの夢だが、もう同じ夢を4回は見ているという。
ちなみに、彼女には女の子供さんはいない。
流産や降ろした事も無く、
まったく心当たりが無いという。
まぁ、子供泣いているという夢。
たとえそれが霊だとしても、
ある程度大きい訳だから、流産や降ろした子供ではない。
可能性があるとすれば、ある程度大きくなってから亡くなった女の子である。
ただ子供が泣く夢を見るのであれば、
特に気にする事は無いのだが、
同じ夢を4回も見るとなると、話しが違ってくる。
その子供の霊が、何かを訴えている事がある。
相談者は、子供の日と関係があるのでは?
というが、関係は無いだろう。
なぜなら子供の日は、毎年やって来る。
しかし、彼女は今年の子供の日から見るという現象だ。
そこで、彼女に、
子供の日を含めてその前、一週間に何か変わった事をしなかったか聞いてみた。
すると、
ゴールデンウィークは、田舎に帰郷していたというので、
「何か田舎で、女の子に関して、
変わった事はありませんでしたか?」と聞いてみたが、
特に無いという。
「では、田舎から何か持ち帰りましたか?」と質問すると、
何個か、実家の蔵に仕舞ってあった骨董品を持って来たという。
彼女は、去年からインターネットオークションをやり始めて、
家の不用品などを売ったそうだが、
実家の親に言うと、蔵の中にも売れそうな物があったら、
売っていいと言われて、何点か持って来たという事だった。
そこで、どんな骨董品を実家から持って来たのか聞くと、
■古い絵皿3枚。
■壺
■掛け軸
■こけし
■茶道具
上のリストを聞いて、すぐにピンと来た。
詳しく聞くと、
絵皿は、花の絵だし、
壺は模様無し。
掛け軸は、鯉の絵だという。
となれば、女の子に関係しそうなのは、
「こけし」だ。
彼女が貰う時、親にこけしの事を聞いたらしいが、
彼女の親も、ずっと蔵にあった事しか覚えていなかったそうだ。
だいぶ古いものらしい。
こけしも今、少しブームになっていて、
インターネットでは、古いこけしが、
2000円から高い物では4万円で売れるのは、私も知っていた。
ただし、高く売れるこけしは、大概こけしの裏に、
著名な人のサインがしてある、こけしだ。
ヤフーオークションで、43500円で売れたこけし。
そうなると、立派な芸術品の彫刻である。
彼女に聞くと、持って来たこけしの裏にサインは無いという。
そうなると、
思った通り、こけしが怪しいと思った。
普通、一般に流通している「こけし」には、
今回の様なケースは滅多に無いだろうが、
たまに、彼女の実家の様に、
古いその家だけに伝わるこけしが見つかる事がある。
そんな時は、今日の私の話を思い出してみてもらいたい。
こけしは、
作られる地方によって、色々な呼び名があり、
木芥子・木牌子・木形子・木削子や、子化身、
木偶(でく)などと呼ぶ地方もあったが、
1939年の全国こけし大会から、
漢字ではなく、統一して「こけし」と呼ぶ事に決議され、
それ以来、漢字は使われず、全国的に「こけし」となっている。
しかし、私が知る限り、
こけしには、悲しい歴史も秘められている物がある。
昔、子供を亡くした家族は、
その子を偲んで、お墓にお地蔵さんを建てて供養した。
しかし、
お金が無い貧しい家は、
お地蔵さんを作る費用などは無かった。
そこで、マキや木々からこけしを作り、
それをお地蔵さんとして、亡くなった子供を供養したのである。
つまり、こけしという名のお地蔵さんである。
その場合、
そのこけしに、亡くなった子供の霊が宿っている場合がある。
彼女が蔵の中から見つけたという「こけし」も、
そんな亡くなった子供を弔ったものだったのかもしれませんねと説明し、
私は彼女に、
そのこけしを箪笥の上に置き、
水と子供が好きそうなお菓子と、
お線香を1週間焚き、成仏を祈ってあげてから、
田舎の実家に郵送して、元あった場所に戻してあげる様に勧めた。
彼女はそうしますと言って、電話を切られた。
もし、こけしを手放しても、
女の子が泣く夢が続く様なら、また電話して下さいと言っておいたが、
電話は無かったので、やはり原因はこけしだったのだろう。
実は、
彼女には言わなかったが、
彼女の実家の場所などから、
私はもう1つの可能性を感じていた。
せっかくなので、読者の方にだけは話しておきます。
私は、夢の中の女の子が、
ただ泣いているだけで、何も語らない。
出来るのは泣くだけというのが、気になっていた。
外れたらとても失礼なので、彼女に言うを控えたのだが、
それは、
口減らし(くちべらし)という可能性。
口減らしとは、
昔、とても貧乏な家は、
食べる物が無く、お年寄りや、
長男以外の子供を、山に捨てたり、殺したりしたのである。
特に働き手とならなかった小さい女の子が、犠牲になった可能性は十分ある。
今では考えられない様な、飢饉という時代があったのだ。
女の子は死にたくなかったに違いない。
しかも、貧乏という理由だけで、
実の親に殺されるという残酷な運命。
子供は、
ただただ、泣くだけしか出来なかっただろうに。
その場合、その子の墓も作れず、
お地蔵さんも作れず、
ただ土に埋め、
木の「こけし」だけを作って、弔ったという。
そんな「こけし」は、
当時、ある地方では、こう呼ばれたという。
子消し
END