●武士は食わねど高ようじ
このお話は、昨日のブログ(●見えない家相)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-12012383779.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
事の発端は私の友人の渡河が「あるお金持ちの家の家相を診てあげて欲しいんだけど。」
という極普通の電話からでした。家の写真を見ると、かなりの豪邸です。
2階建ての大きな家と、かなり広い庭。
私は家の見取り図を広げると、まず南東部分から診始めます。
ところが、30分じっくりと調べても、何も悪い部分が見つかりません。
そこで、写真を見ながらもう一度ゆっくりと、
一部屋一部屋診たのですが、やはり問題なしです。
次に家以外の部分、庭を診てみました。
池がありましたが、さほど大きくなく問題は無い様です。
ペット類は飼っていないとの事でした。
私が2度に渡って、検討して「問題ないんじゃない。いい家だよ。」と言うと、
渡河は「それじゃあ困るんだよなぁ」と一言。彼はこんな話をしだしたのです。
その支援者の木村さん(仮名)のご両親が亡くなって2年後に、
この豪邸を建ててから、次々と悪い事が起き出したというのです。
まずは、豪邸を建設している途中に、長男が事故で骨折して入院。
豪邸が完成する直前に、家の下見に来た長女が階段から落ちてやはり骨折して入院。
家が完成した後も、奥さんがお腹が痛いと言い出し、
検査してみると、なんとろっ骨が折れていたという。
そして、ご主人も車を2回事故しており、
無事ではあったものの、一歩誤れば骨折はおろか死んでいても不思議では無かったという。
それらの全てが、家を建て始めてからの短い期間に起きているのだ。
しかし、そういう事情を聞いた後でも、やはり悪い所は無いのに、変わりは無い。
こうして、ほぼこの件は完了。となりつつあった時、
彼は、家相とは関係ないんだけど。と前置きしてから、変な話しをしだした。
それは、やはり家を建設し始めた頃、近所の人が、
木村さんの家から、老婆のすすり泣く声が聞こえてくると言ってきたのである。
始めは、きっとその人の聞き間違いだろうと思っていたという。
なぜなら、実際にその家に住んでいる木村さん家族は、
誰一人そんな老婆のすすり泣く声など聞いていないのだから。
それに、この家には老婆など居ないし。ところがである。
しばらくして、先の近所の人とは別の近所の奥さんが、
やはり貴方の家から夜中に、誰か老婆がすすり泣いている声がしたわよ。
と言われたのである。その方は、時々歌舞伎などに行く仲で、信頼のおける人だったので、
これはもしかしたら、本当に声がしているのかもしれないとなったという。
私は、家族の骨折は偶然かもしれないと思ったが、
夜中に家から老婆がすすり泣く声がするというのを聞いて、なにかすごく嫌~な予感がした。
老婆の泣き声も、家を建設し始めた頃だという。今度は、偶然とは思えない何かを感じる。
何かある。私は一転して、渡河に言った。 行ってみよう、その家に!
翌日、私たちは約束の時間に遅れては失礼だという渡河の主張もあり、
予定よりも2時間も早く家を出た。
しかし、道は順調で、
先方の地へは2時間早く着き、車の中で寝る始末。
渡河はその間ずっと起きていた様だ。
朝10時きっかりに、木村さん宅のベルを押す。
門は総赤レンガ作りのモダンな造りである。
シャッターゲート付の駐車場があり、ベンツとBMWが見える。
すると、
車の陰からご主人が出て来たので、
渡河が、「いつもお世話になっています。」と深々と頭を下げたので、
私もつられて、深くお辞儀をした。
しかし、運転手だと分かって苦笑い。
今度は玄関が開き、
出て来た奥さんに、丁寧にお辞儀して挨拶すると、
今度は、お手伝いさんだった。
もし、これがコント番組なら、
次に乞食の様な格好の男が現れ、
私達が邪険に扱うと、それがご主人だったという落ちになるだろう。
やがて、私たちは40帖はあろうかと思われる部屋に通され、
待っていると奥さんとご主人がやってきた。
渡河が丁寧に挨拶をして、さっそく本題に入った。
まずは、前日下調べした結果を伝えた。
つまり、家相には特に問題は無い事。
あとは、見取り図に載っていないものを重点的に調べる事になった。
木村さん宅には、色々と貴重な物があったが、
私は家族が骨折や交通事故に遭われた時期くらいに、
この家に来た物だけを教えてもらい、
それらをチェックしてまわった。
こうして、1時間位家の中や庭を診て回ったが、
おかしい所は見つからなかった。
と言うよりも、新しい家を建てるにあたり、
その頃に買った物や貰った物は、ほとんど無かった。
また庭は家が完成してから、じっくりと造園する事にしていた為、
前の住居と、ほとんど変わりが無いという。
つまり、前日検討した結果とほぼ同じだ。
異常無いのである。
半分私の予想通りである。
ただ、私が一番気になってこの家の来たのは、
あの老婆のすすり泣きである。
しかし、家のどの部分を診ても、
気持ち悪いという場所も無いし、
井戸や祠や墓なども無い。
すると、渡河が、
「この屋敷の下に、死体でも埋まってるんじゃないか」と言い出した。
「死体ね。
まあ、これだけ広い屋敷ならあるかもしれないけど、
今回の老婆のすすり泣きとは関係ないだろうなぁ。」
「どしてぇ?」
「だってもし屋敷の下に死体があって、
それが老婆で、すすり泣いているなら、
前の屋敷が建っている時にも、泣いていたはずだよ。
新しい家が建ち始めてから聞こえだしたのだから、
きっと新しい家を建てる事に関係しているはずだ。」
かといって、新しい家を調べても問題は無く、
庭もそれほどいじっていないという。
完全に行き詰ってしまった。
すると、渡河が、
「ねぇ、老婆のすすり泣く声が聞こえたのは、あの家かな。」
と、道を挟んだ前の家を指差した。
「そうじゃない? 分かんないけど。」
すると渡河は、家の人に聞きに行った。
しばらくして戻ってきて、
「やっぱり、あの家と、その隣の家だってさ。」
「ふ~ん。」と私。
なおも渡河はこんな事まで聞き出してきた。
「それが不思議なんだけど、
娘さんの友達が、裏と隣に住んでいるんだけど、
裏と隣の家には、何も聞こえなかったらしいよ。」
私はそれを聞いて、なんか感じるものがあった。
つまり、
この家の東に住んでいる2軒の人達には、老婆の泣き声が聞こえ、
この家の北や西に住んでいる人達には、老婆の泣き声が聞こえなかったというのだ。
なぜ、東の人だけ聞こえる?
皆目見当もつかない。
ただ、家の東に何かある!
私の直感が、そう言っている。
何か分からないが、私たちは豪邸の東側をもう一度調べ始めた。
しかし、何度調べても、おかしな所が見つからない。
私は、側に来ていた木村さんに、
何かこの東側に、家を建てる前に祠(ほこら)や墓があったとかしませんでしたか?
と、念の為に聞いてみたが、
「無かったと思いますよ。」とつれない返事。
しかし、自信が無かったのか、
「なんだったら、以前の建物の写真がありますから見て見ますか?」という。
私も行き詰っていたので、
「はい。ぜひよろしくお願い致します。 」というと、
家から、アルバムを持って来て、
取り壊す前の木村家の家の写真を持ってきてくれた。
それを拝見すると、
確かに、前の家も東には玄関があり、
その玄関の前には庭が広がっているだけだった。
祠も無ければ、墓も池も井戸も無い。今とあまり変わらないのである。
何かあると思ったのは、気のせいだったのか。
少しがっかりしたが、折角昔のアルバムを持ってきてもらったので、
次のページもめくって見せてもらった。
すると、
何ページかめくった所にあった写真を見て、
私は、「これだ! これしか考えらない!」と小さく叫んでしまった。
近くにいた渡河が、なんだなんだと寄って来た。
「分かったのかい?」
「ああ」
私は家の門を指差して言った。
「あの赤レンガの門かい?」と渡河。
「いや違う、もっと立派な門が、今もそこにあるんだ!」
それは目には見えない、立派な門が、今もあるんだ。
木村家は、代々この地に住んでいて、
この土地に、少なくても三百年は住んでいるという。
その間、少しずつ家は建て替えられたものの、
立派な門構えは、代々そのまま引き継がれた。
立派な門構えは、家の誇りであり、守りであり、シンボルだったに違いありません。
家族を盗賊から守り、火災から守ってきたのです。
日本には、門構えだけを国の重要文化財に指定された物まであるぐらいです。
そういう何十年物の木材で出来、
そこに住む人の感謝と信頼を受けて来た門構えは、
時として、その門構え自体に霊魂が宿る時があるのです。
そんな門構えを、何の感謝も無くただのゴミの様に取り壊すと、
今回の様な霊障を起こす事があるのです。
私は木村さんに、こうアドバイスした。
■まずご先祖に、門を壊した事を心を込めて謝る事。
■次に、壊した業者に至急連絡して、
門構えを構成していた木材などを探してもらい、
その木材にお酒をかけて清め、謝り、今まで感謝を言う。
■そして、その木材を使って、
小さい模型の様な前の門構えを作って、仏壇の前に一年間飾って下さい。
また余った木材で、お盆などにして仏具として形を変えて感謝して使って下さい。
■また門柱が建っていた場所に、お酒と塩を巻いて、
感謝を述べて下さい。
こうして、私たちは木村家をあとにしたが、
今からでも、ちゃんと門を供養してあげれば、
これからも、きっとあの立派な門の霊魂が、
木村家を守って、あの場所に建っているはずである。
それは目には見えない。木村家の家相の一部なのである。
最後に、
どうして老婆のすすり泣く声がしたのかですが、
百年以上昔から、ずっと木村家を守ってきたのに、
ゴミの様に捨てられる運命を悲しんだ、門の魂の泣き声だったのかもしれません。
もしくは、長年大切にしてきた家の門を、
何のためらいも無く壊してしまう子孫を嘆いた、先祖の泣き声だったのかもしれない。
また、
近所の人に聞こえて、木村家の人々には聞こえなかったかという事だが、
正直私にも分からない。
ただ、
家の門というのは、
常に家の中の人を守るという精神を持っている。
昔の諺(ことわざ)で、
「武士は食わねど高ようじ」という言葉があります。
この意味は、名誉を重んじる武士は、
例え貧しくて食事がとれない時でも、満腹を装って爪楊枝を使って見栄をはっていたという。
あの壊された門も、
泣きたい悲しい気持ちを、
主君にだけは、知られたくなかったのかもしれません。
あの時代に生きた、武士の様に。
END