●加害者の家族
最近、国会でも、
少年犯罪の厳罰化が論議されるなど、
今少年の犯罪がテレビやネットでよく耳にする。
最近の事件の様な殺人ではないが、
暴行事件の犯人の家族から相談を受けた事がある。
相談してきたのは、その暴行犯の妹でした。
お兄さんとは3つ違いだといいます。
彼女の話をまとめると、こうでした。
私には、親戚中から厄介者扱いされている兄がいました。
祖母やいとこからお金を借りまくって遊び、
あげくのはてに暴力事件を起こし、少年院に入りました。
その後少年院を仮退院して、保護観察中の身でありながら、
暴行事件を起こし、反省の色が無いとまた少年院に送られました。
出所後、働かず家でゲームばかりしていて、
まだ未成年なのに、お酒を飲みに悪友と外出し、
親に遊ぶお金を要求して、くれないと母に暴力を振るったといいます。
私も両親も、まるで腫れ物に触る様に兄に接していました。
父と激しく喧嘩して、父がろっ骨を折り入院した事もあります。
自宅は兄が作った壁の穴などがあり、
一時は母も死にたいなどと言っていた事もあります。
そんな兄が、
ある日、オートバイの事故で亡くなったのです。
両親は、悲しいというよりも、ホッとした感じでした。
私も実の兄が亡くなったのに、涙は出ませんでした。
兄の死を悲しんだのは、多分親戚中で、
祖母ただ一人だけだと思います。
そんな兄の遺骨が家に戻って来た時、
父は、そんなやつの墓など作らん。
遺骨がここにあるのも腹が立つ。
そこらの川か海に散骨してしまえと言っています。
私はさすがにそれはどうかと思いつつも、
友人などに相談も出来ずに困っています。
そんな電話相談でした。
家族内での好き嫌いは、どこの家庭でもあるでしょうが、
ここまで家族に嫌われた例は、余り無いかもしれません。
彼女の話しの中で、ちょっと気になった部分があったので聞いてみました。
「どうして、祖母ただ一人だけ悲しんだのかな?」
兄は中学の途中までは、ごく普通のお兄ちゃんでした。
小学生の時は、虐められている私を助けてくれた事もありました。
当時、父と母は共働きで、
私と兄は鍵っ子で、よく近くの祖母の家に夜までいたものです。
私はいつも近くの友達の家に遊びに行きましたが、
友達がいなかった兄は、いつも祖母と一緒でした。
兄が変わり始めたのは、中学2年の時の自転車の事故で、
顔に傷が出来てからでした。
なんとか高校には進学したものの、まったく勉強しなかった様で、
じきに除籍処分となり、その頃から悪い友達とも付き合う様になっていったのです。
その頃、祖母だけには、
「オレは産まれて来ない方が良かったんだ」と言っていたといいます。
私はここまでの彼女の話を聞いて、
これは難しい問題だと思いました。
なにしろ、占いの藩中を超えています。
墓を作る作らないは、親の判断だし、
それに加えて墓を作るという金銭的な問題や、
今まで受けた息子からの暴力。
精神的苦痛。
その積み重ねは、どんなにかこの家族を苦しめた事でしょうか。
私の様な一占い師には、何も出来ません。
出来る事があるとすれば、
ただお願いするだけです。
「貴方は、お兄ちゃんを今でも許せませんか?」
「父や母に暴力を振るう兄は、大嫌いでした。今でも。」
「そう。
でも、出来たら、お兄ちゃんを許してあげて欲しんだな。」
お兄ちゃんは、亡くなった瞬間から、きっと反省していると思うよ。
あんな事しなければ良かった。暴力を振るったオレが悪かったと。
もし、ここにどこでもドアがあるなら、
貴方に小学校の時に戻って、
あの時、貴方がイジメられているのを助けたお兄ちゃんの姿を思い浮かべて欲しい。
お兄ちゃん、きっと本当は悪い人じゃなかったと思うんだよね。
亡くなった今、今度は貴方がお兄ちゃんを助けてあげて欲しいと思う。
その後、しばらく話して、
彼女は、兄を許してあげると言ってくれた。
しかし、電話の彼女が許しても、
ご両親の怒りはそのままで、
きっと彼女の意見など吹き飛んでしまうだろう。
亡くなったお兄さんは、死後自分が親に迷惑をかけた事を、
深く反省するものです。どんなにか反省しうなだれているかと思います。
憎しみは、憎しみしか生み出しません。
もしここで寛容な気持ちになり許してあげる事で、
きっといつかお兄さんが成仏した時に、家族を助けてくれる様になるはずです。
私は彼女に、
昔お兄さんが、赤ちゃんだった頃、
小学生だった頃の写真を沢山だして、ご両親に見せながら、
もう、お兄ちゃんを許してあげよう。と言う様に伝えました。
どんなに不良になった息子でも、
可愛かった時があったはずです。
初めて子供が産まれた喜び。
長男が初めて笑った時。
ハイハイして、こっちに歩いて来た時、
家族に喜びをくれた長男が、そこにいたはずです。
やすらぎをくれた時期も、あったはずです。
不器用な生き方しか出来なかったけど、
亡くなった今、
せめて親だけでも、息子さんを許してあげて欲しいのです。
その後、彼女の家がどういう判断をされたかは、分からないが、
1つの事件には、
被害者はもちろんだが、
加害者の家族も苦しんでいる場合が多い。
END