●焼きもち
このお話は、昨日のブログ(●突然、降ってわいた夫の浮気)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-11984943480.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
珍しく浮気されている側からの相談があった。
まず、電話で聞いた生年月日から計算すると、
奥さんが28歳、旦那さんが47歳で、4歳になる娘さんがいる家庭でした。
ただ、普通の家庭と違うといえば、ご主人がジュエリー関係の会社の社長をしていて、
お金持ちだという事でした。聞くと、毎日運転手が迎えに来て、
午後時間の都合がつけば、その運転手が家に来て買い物に連れてってくれるという。
さらに、1日おきに家政婦さんが来るので、家の掃除はした事が無く、
家政婦さんが来る日は、料理も作ってくれるという。
一応家相も診るのでと、家の間取り図もブログにアップしてもらって見たが、
ベッドルームが4つある豪邸である。庭も広く、月2で、庭師と契約しているという。
絵に書いたような、玉の輿婚である。
それが、つい半年前から、急に夫が、よそよそしくなり、
家に帰って来る時間も、遅くなったり、
それまでは外で飲むなど、会社の接待の時以外は無かったのに、
明らかに仕事では無い時に、飲みに行き夜中に帰宅するのだという。
そして、ある日、夫がお風呂に入っている時に、
初めて携帯を見ると、女性からのメールでお礼や約束などが書かれており、
明らかに浮気していると分かったのだという。結婚6年目の衝撃の出来事だった。
それまでの5年間は、幸せそのものだったという。
結婚式はハワイで身内だけで、式をあげ、仕事熱心で、家族思い。
娘さんもとても可愛がっているという。
今までは、女性の影などまったくなく、とても優しい旦那様だった。
まだ、その事実は、夫にも誰にも話していないという。親にも相談出来ないという彼女。
そして、夫の浮気の他に、彼女が心配している事が、あるという。
それは、今まで、とてもフレンドリーだった運転手が、
半年前を境に、急に彼女に冷たくなったというのだ。
明らかに車が空いているのに、故障で動かないと言われて来なかったり、
娘の幼稚園のお向いに遅れてきたり、とにかく愛想が悪くなったという。
それだけではない。長年勤めているという家政婦までもが、
半年前を境に、急に彼女に冷たくなったという。夕食に彼女の嫌いな物を作ったり、
挨拶などが雑になり、呼んでも聞こえないふりをされる事もあるという。
彼女が感じるには、もう夫が私と別れると、みんな思い始めているのではないか。
浮気が本気になる予兆なのではないか。そう思うと、不安で夜も眠れないという。
一応の話を聞いた後、ご主人と彼女の相性を見ると、良い。
そして、ご主人の写真を5、6枚見せてもらったが、女に狂う様な顔ではない。
また、半年前を境にして、ご主人だけでなく、長年勤めてきた運転手や家政婦までもが、
おかしくなっている。この時点で、なんか嫌な予感がした。
「半年前ですが、なにか、ご主人かご家庭に、変わった事は起きましたか?」
すると、彼女もそれを考えていた様で、
「実は、主人は半年前、仕事で、ブラジルとウルグアイに行ったのですが、
帰国した辺りから、みんなおかしくなったんです。
何か、南米で変な呪いかなんかに関わったのでしょうか。
それか南米に出張に行ったのをきっかけに、女性が出来たのでしょうか。」
「半年前に南米に?」
「はい。」
「どのくらい行かれたのですか?」
「4日間です。」
「じゃあ、お仕事で?」
「はい。宝石の輸入で。」
「じゃあ、今回が初めてでは無いのですね。?」
「はい。私が知っている限りでは、毎年行きます。」
「その輸入した石は、今どこに?」
「会社の保管庫だと思います。」
「家には持ち帰らなかった?」
「帰国後に、最初に会社に立ち寄って置いて来て来ますし、
残りは郵送で会社に。」
「ブラジルとウルグアイから、何か宝石以外に、
持って帰って来た物はありますか? お土産とか。」
「あっ、イグアスを買って来てくれました。」
「イグアス?・・・・」
「おおトカゲですか?」
「いえ、コーヒーです。」
「奥さんの所では、犬を飼っているという事ですが、
ご主人が帰国後、犬はちゃんと普通にご主人を出迎えましたか?」
「はい。普通に飛びつきました。」
確かに、石や宝石に、
怨念が宿る場合がある。
しかし、それは高価な宝石や、
その宝石が贈られた後の、奪い合いや遺産問題、殺しなどが絡んだ物がほとんどで、
地中深くから掘り出された原石に近い段階での石や宝石には、
まず怨念が宿っている事は考えられない。
また、奥さんが心配しているブラジルの呪い、ブドゥー教だが、
私が知っているブドゥー教なら、
呪いに、人形とか動物の生贄(いけにえ)を必要とする。
でも、ご主人は人形の持ち込みが無く、
また飼い犬も、何も軽快なくご主人を出迎えている事から、
多分、ブドゥー教の呪いとは関係ないだろう。
それにご主人は、今までも何回も仕入れに行っている国だそうなので、
今回が特別では無いかもしれない。
「奥さん、
他に、半年前に変わった事はありませんでしたか?
例えば、半年前に、家に何か買って置いてあるとか、
貴方がどこかに旅行に行ったとか、
半年前に、もらった物があるとか・・・・」
すると、奥さんは、
「半年前に、家族旅行に行った事があります。」
「家族旅行? どこに行かれたのですか?」
「下田です。下田に別荘があり、
行ったのは今回が初めてでした。」
「そこにどの位いましたか?」
「2泊三日です。」
「そこに泊まった時、何か変な事は起きましたか?」
「いえ、何も・・」
「何か、そこから持って来た物はありますか?」
「いえ、何も・・
あっ、娘が、クマのぬいぐるみを持ってきました。」
「クマのぬいぐるみ?」
「それはご主人が娘さんに買ってくれた物ですか?」
「いえ、別荘にあった物を、娘が欲しがったら、
主人がくれたのです。」
その後、奥さんには、
他に半年前に、何か起きなかったか、
1年前に、何か変わった事は無かったか、色々聞いたが、
私が気になる様な事は無かった。
ただし、たった1つ。
あのクマのぬいぐるみ以外は・・・・
男性の別荘にあったという、クマのぬいぐるみ。
少し気になる。
そこで、そのクマのぬいぐるみについて、
どんな経緯(いきさつ)で、その別荘にあったのか、
ご主人か、ご主人の親に聞いてみて欲しいと頼んだ。
すると、1週間後、
奥さんから再び電話があった。
ご主人の機嫌が良い時を見計らって、クマのぬいぐるみについて聞いた様だった。
元々、あの下田の別荘は、
ご主人の亡くなった元奥様だった夫人が気に入って建てた別荘だったという。
今ご主人が社長をしているジュエリー会社も、
元奥様が小さな会社からここまで大きくした様なものだった。
海外の輸入先を開発したのも元奥様で、それは男顔負けの仕事の鬼だったという。
そんな元奥様は、7年前に病気で他界。
常に仕事優先で、子供は産まれなかった。
子供代わりだったのか、ベッドには常にあのクマのぬいぐるみがあったという。
彼女も、ご主人が再婚で、
元奥様が仕事が出来る人だった事は知っていた様だった。
私は、その話を聞いて、
信じられないかもしれませんが、と前置きして、
今までの現象は、そのクマのぬいぐるみが起こした事だと思いますと言った。
そのクマのぬいぐるみには、元奥様の念がこもっている様に感じるんです。
元奥様の多大なる貢献によって、
大きくなった会社。
そして、豪邸。
さあ、これから優雅な生活をと思った矢先に、
病気で亡くなり、子供もついに出来なかった。
ところが、後妻に来た貴方は、
なに不自由なく、豪華な生活をして、豪邸に住み、
可愛い娘さんが産まれ、楽しく暮らしている。
貴方には信じられないかもしれませんが、
これは、
焼きもちです。
私が作った財産を、なんで急に現れた小娘なんかに・・という。
焼きもちです。
その先妻さんの念が、ご主人はおろか、
長年先妻と暮らしていた運転手や、家政婦に影響を与えたのでしょう。
私は奥さんに、直ぐにそのクマのぬいぐるみを手放す様に言った。
「捨てたらいいですか?」
「いや、捨ててはダメです。
まず、仏壇で先妻さんを供養して、謝りましょう。
そして、そのクマのぬいぐるみを、
彼女に返してあげるのです。」
「返す?」
「そうです。
あの別荘に、戻してあげて下さい。」
その後、彼女と娘さんは運転手と一緒に、
別荘にクマのぬいぐるみを返しに行った。
「おばさん、クマさん借りてごめんなさい。
ありがとうございました。」
それ以後、夫の浮気は無くなり、運転手や家政婦さんは、
元の愛想の良い二人に戻ったという。
人は亡くなっても、焼き餅をやく事があるのである。
そして、クマのぬいぐるみは、
晩年、先妻さんが病床にあった時、
唯一彼女を癒してくれた、
彼女の子供だった のかもしれない。
END