●悪魔のささやき
ある時、とても不気味な相談が舞い込んだ。
その奥さんは、少しノイローゼ気味な感じの話し方だった。
私は冒頭から、
「奥さん、落ち着いてお話し下さい。」と言ってしまうほどだ。
彼女の話をメモしたノートを、整理して順にお話しするとこうだ。
彼女は都内にある築25年の一軒家に住んでいて、
ご夫婦と息子さん、娘さんの計4人で暮らしていた。
ところが、去年の夏頃辺りから、
この家族を不気味なものが、襲うという。
彼女いわく、それは悪魔だというのだ。
それも、家族を殺そうとする悪魔だと・・・
悪魔が最初に手をかけようとしたのは、息子さんだという。
それは昨年の夏、彼が大学からバイクで帰る途中だった。
いつもの帰り道を走っていると、
不意に耳元で、誰かが、
”右”とささやいたという。
その声につられて、彼が右を見ると、
なんと、左の路地から車が出て来て、
接触事故を起こしたのだ。
幸い、路地から出て来た車は、確認の為に運転手が見える範囲までで止まったので、
車の先端部分とバイクが接触して、衝突までには至らなかった。
また、息子さんが道路に投げ出された時に、対向車や後続車が止まってくれたので、
轢かれる事もなかった。
だた、足を骨折して入院となった。
それでも一歩間違えば、死ぬ可能性もあった事故だったという。
次にターゲットにされたのは、中学生になる娘さんだという。
彼女が友達の家から帰る途中、
音楽を聞きながら、歩いていたという。
その時、
後ろから、誰かが、
”右!”と怒鳴る声が聞こえたという。
彼女は驚いて、歩きながら後ろを振り向いたという。
しかし、後ろには誰もおらず、
「あれっ」と思った瞬間だった。
やはり、左の路地から出て来た車に轢かれそうになったのである。
間一髪だった。
車は彼女の服をかすり、急ブレーキ。
あと1Cm前に出ていれば、間違いなく彼女の体は車に当たっていたという。
息子さんの時は、偶然だと思われていた、
あの不気味な声”右”は、娘さんにも襲いかかったのである。
彼らは言う。
その声は、男の声で、今思い出しても気持ちが悪い声で、
まるで、
悪魔の様な声だったと。
そしてその2件の事故以来、その悪魔は、
彼女の家にも来るのだという。
それは、夜中になり、
家族が2階に上がると、
誰も居ない1階から、
あの気持ち悪い悪魔の声がするという。
何といっているのかは、近くに行けないので聞き取れないというが、
それ以来、夜中にトイレにも行けない状態だという。
そして、今日、
電話を掛けてきた彼女が、襲われたのだった。
彼女が自転車で、買い物に行って、
荷物を前かごに入れ、自宅に帰る時だったという。
すると、
後ろから”右”と言う悪魔のささやきが・・・・
彼女は子供達の話を聞いていたので、
急ブレーキで自転車を止めた。
すると、すぐ前の道から車が出て来たという。
彼女は曰く、
もし、走りながら、後ろを振り向いていたら、
死んでいました。
その興奮冷め終わらないうちに、私に電話してきたという訳だった。
話しを聞いた私は、
確かに、ただ事じゃない何かが、彼らを襲っているなと思ったが、
事故の話しだけでは、それが一体何なのか、
悪魔だとしたら、なぜ悪魔は家族の命を狙うのか、
皆目見当もつかなかった。
また、彼女の話を自分なりに整理するだけでも、
ここまで20分位かかっていた。
ここ半年~2年以内に身内、知り合い、実家などで、
亡くなった人はいませんか?
と聞いても、誰も亡くなっていないという。
また、一応家相とかもざっと聞いてみたが、
問題なさそうだ。
というより、24年間その家に住んでいて、
今回の様に、悪魔が現れたのは初めてだという。
私は最終的に、分からないと答えたのだが、
彼女は、きっと悪魔が家にいるので、来て診て欲しいと泣きつかれた。
出張費や交通費など結構かかりますよ。と言ってもいいという。
悪魔の話というので、あまり乗り気はしなかったのだが、
結局3日後に、行く事を約束した。
やがて、
家族の命を狙っていた恐ろしい悪魔の正体が明らかになる。
後半は、明日のブログに続く。