●幽霊に首が無い理由
このお話は、昨日のブログ(●首の無い幽霊)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-11969095239.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
当時、私はアメリカのシアトルという所に住んでいて、ワシントン大学に通っていた。
私が、クリスマスは家に帰らないで一人だと言うと、友人の一人、ケンが自宅に招いでくれた。
ケンとは、仕事仲間だった。彼も霊に興味あったようで、なんとなく気が合った。
ケンの自宅は、シアトル郊外のやや山間部に近い場所にあった。
食後1時間位してから、ケンの部屋に案内してくれた。
いつの間にか、翌日一緒に、幽霊が出るという森に行く事になっていた。
詳しく聞くと、首の無い幽霊が出ると言う。
翌朝、
私達は彼の運転で、お父様のミニトラックで家を出た。
行先は森の中というだけで、場所は一応聞いたがよく分からない。
彼の家がある湖畔の地域から、砂利道を森の中へとどんどん進んでいく。
車で1キロくらい走っただろうか、
彼はここからは、歩きだと言って車を停めた。
多分ほかの人たちも、この辺に車を停めるのだろう。
砂利道の片側の草地は、タイヤ痕で5台位が停まっていた跡がある。
彼いわく、この辺は地元のハンターがたまに狩りに来る場所だという。
「ちょっと待て!
幽霊でも余り乗り気がしないのに、クマは絶対困る。
戻ろう!!」
そう言うと、彼は、
「クマじゃないよ、狩りは主に野鳥を捕るんだ。」
なるほど、野鳥ならいいだろう。
私達は、かすかに山道をなした道を歩み始めた。
しばらく深い森の中を歩くと、
彼が、私に鈴を手渡した。
「ん? この鈴は?」
「服に付けて。」
一応言われる通り、鈴を服につけた。
歩くたびに鈴が鳴る。
気になったので、一応だが、聞いてみた。
「この鈴は、何だ?」
「用心だ。
たまにクマが出る。」
なるほど。
「・・・・・」
「Pardon me?」(今なんて?)
バカヤロー
「クマは出ないって言ったじゃないか?」
「いや、言ってないよ。
ハンターの獲物は主に野鳥だと言ったんだ。」
「クマは滅多に出ないんだろうな!」
「安心しろ、クマは滅多に出ない。クマよりもボブキャットの方が多い。」
「ボブキャットってなんだ?」
「いわゆる猫ちゃんだ。」
「猫ちゃんか。ならいい。」
(後に調べたら、凶暴なヤマネコの事だった。)
そうこうしているうちに、小さな山小屋に着いた。
この山小屋付近で、
何人ものハンター達が、首の無い幽霊を見たという目撃情報があるのだという。
彼が指を差した。
その首の無い幽霊は、
あっちの方の森の中から、この小屋に入って行くのだという。
他の目撃情報も、全て同じようなものだという。
また、首から上は無いものの、
服装などから、女性の幽霊だと言われている。
私達は、小屋の周辺や小屋の中を調べたが、
特にそれらしい収穫は無かった。
午前中は、霊の行動が鈍い傾向にある。
午後の方が、霊は現れやすいが、会いたくない。
目撃情報もみな午後だ。
私達は、一旦小屋を出て、
幽霊がやって来るという森の方と、小屋が見える所に陣取り、
1時間ばかり見張った。
しかし、最後まで首の無いという幽霊は現れなかった。
良かったのか、残念なのか、複雑な気持ちだ。
彼は私に聞いてきた。
「あの小屋で殺された女性かな?
床下とかに死体とか埋まっているんじゃないかな?」
私は少し考えてから、私の考えを言った。
「目撃情報が、全て森の中から小屋に消えている。
それも全部同じ様な、コースだという。
これは、多分そこに、霊道が形成されているんだろう。
あと、全ての目撃情報が、森の中から小屋へというのは、
多分だけど、その女性は、
小屋ではなく、森の中で殺されていると思うよ。
しかも、殺された所、もしくは死体が埋まっている所は、
小屋と霊道を結んだ直線上の森の中である可能性が高い。」
「じゃあ、なんで小屋に来るのかな?」
「多分だけど、
その子、家に帰りたいんじゃないかな。」
最後にケンは、一番気になる事を聞いてきた。
「なぜ、幽霊に首が無いんだい?」
確かに、
私も首の無い幽霊に関わったのは今回が初めてだった。
滅多に無い話である。
ただ推察はできる。
霊が現れるのには、必ず理由がある。
多分、今回のケースの場合、供養して欲しくて現われているのだろう。
では、なぜ首が無いかだが、
もし、普通に女性の幽霊が出たのでは、
その女性をよく知っている人以外は、その女性の名前すら分からないだろう。
つまり、その女性を特定するものは無く、
誰を供養していいのか分からない。
そんな時、
霊は殺された姿などのまま現れる場合があるのだ。
例えば、その人が、オノで背中を刺されて亡くなったとする。
すると、オノが背中に刺さった幽霊が出現する。
そうなると、ああ、この幽霊はオノで背中を刺されて亡くなった人かと分かり、
やがて調べれば名前さえも分かる事がある。
つまり、
今回の首の無い幽霊は、
私の勘では、首を切断されて殺されて遺棄されている女性の霊ではないかと思った。
その女性の霊が、今も成仏出来ずに、
家に帰りたいと、さ迷っているのだろう。
一見不気味そうな幽霊の話も、
本当は、とても可愛そうな霊なのである。
私達は、小屋の近くの霊道上と思われる場所に、
十字架と小枝で何個か作り、
私は日本語で、ケンは英語で、
ここに現われる首の無い幽霊へと。
女性の霊の冥福を祈って、その場を離れた。
その後、
ケンが色々と調べてみると、
あの森で、過去に、
首の無い女性の死体が発見されていたのが分かったという。
私はケンに、
今度行く時は、その子の名前で供養してあげる様に言った。
すると、ケンは、
「お前も来るか?」と言うので、
「オレはもういいや」
(内心= 誰が、鈴つけてまた行くかよ!)
END