●狼男とドラキュラ。そして河童
このお話は、昨日のブログ(●夢遊病にさせ、少女を呼ぶ妖怪)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-11946534401.html )
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
香取市にお住いの方から奇妙な相談が、舞い込んだ事がありました。
それは、小学4年生になるという次女が、夢遊病になるというのが発端だった。
それは2ヵ月前にさかのぼった。
ある週末、家族が友人と夜中まで一階の居間で飲んでいた時だった。
真っ暗な台所で、なにやら音がする。ねずみでも出たかと、奥さんが見に行くと、
そこに居たのは、次女だった。
真っ暗な中、何かを探している感じで、引き戸や床下収納などのフタが開いていた。
「あんた何してんの?」と聞いても、次女は、母親に気づかないのか無表情のまま
ぼんやりと何かを探しているのである。「まだお腹空いてるの?」と聞いても、無視である。
父親が娘の名前を呼んでも、振り向こうともしない。
母親が次女を引っ張り、むりやり止めさせると、床の上のぐったりとなり、寝ているという。
母親が次女を揺り動かしても、そのまま寝ているのである。
次女がこんな状態になったのは初めてであり、夜中に台所に来るなんて事も無かったという。
翌日、次女に聞いても何も覚えていないとの事。そんな事が3度あり、
知り合いの医者に聞くと、それは夢遊病ではないかとの事。
聞くと、夢遊病を治すための薬はなく、ストレスが原因と思われると言われた。
何か普段食べたい物が食べられないとかで、台所に行ったのかもしれない。
と思い、次女の大好きなケーキを、特別買って来たりしたという。
すると、不思議と一時治まった。が、またその2週間後、
もっと悪い展開になったのという。今までは、夢遊病になっても家の中だったので、
大して深刻には思っていなかったのだが、家の外に出るようになったのだ。
不思議と自分で玄関の鍵を回し、チェーンを外して靴まで履くという。
そして、次女はなんと家の隣にある蔵に入ろうとするのだという。
蔵は家の外にある事もあり、扉には大きな鍵がしてある。
その鍵を、引っ張ってむりやり開けようとしている音に家族が気がつき、
外にいた次女を連れ戻したのである。その時、かすかに寝言で「行かなきゃ」と言ったという。
次女がどうして蔵に入ろうとするのか、どうしてそこに行かなきゃならないのか、
朝になって聞いても全く分からないというだけで、夢遊病の時の記憶がまったく無いのだという。
そんな時、奥さんがある事を思い出した。
彼女は昔から、その蔵にはあまり近づかなかったという。
というのは、小さい頃から、祖父から、あの蔵には妖怪が住んでいると聞かされていたので、
その中に入ろうなどとは思った事も無いというのだ。
祖父の話に寄ると、蔵の中にある像から妖怪が出て来て、
人を食うという。だから今でも、厳重に鍵をかけて滅多に開けないというのだ。
そんな事を聞かされていたので、
奥さんは、次女が妖怪に操られて呼ばれているのではないかと言い出した。
妖怪の話は、奥さんのお兄さんも良く聞いていた話で、
見た事は無かったが、真夜中に蔵の中から声がした事もあったという。
そんな恐ろしい蔵の鍵を開けて、次女は中に入ろうとしたのである。
妖怪が、次女を夢遊病にさせて呼んでいると考えると、
今までの次女の不可解な謎のつじつまが合ってくるという。
その事があってから、時々開けていた蔵が、気持ち悪くて開けられなくなった。
しかし、見張っていないと次女はいまだに時々、夜中に蔵に行こうとするのだという。
人を食べるという妖怪。もちろん、依頼としてはそんなの初めてである。
怖い気もするが、興味も少しあった。
私は一人で、その恐怖の蔵を見に行くことになったのである。
妖怪がいるという蔵へ。
妖怪が出るという蔵に行くことになった私だが、
実は、今までに私自身、妖怪に出会った事は無い。
実在する事は、先輩方に聞いてはいるが、見た事は無い。
滅多に遭遇できるものではないという。
皆さんは、多分妖怪というと、
ゲゲゲの鬼太郎や妖怪ウォッチを連想されると思うが、
ゲゲゲの鬼太郎は、水木しげるさんによる日本の漫画であり、
妖怪ウォッチも、小西 紀行さんによる日本の漫画で、一応創作物である。
では、私が何を指して妖怪と呼んでいるかと言うと、
普通、人の霊は、人霊。
動物の霊は、動物霊である。
しかし、希に、人の霊と、動物の霊などが合わさって、
1つの霊の集合体となる事がある。
それも特に苦しみと悲しみを抱えた人霊と動物霊がくっ付き易く、
そうなると、始末が悪い妖怪となると言われている。
頭脳を持った凶暴な動物という感じになり、
なかなか成仏を受け入れないばかりか、
人を悪い方向に引きずり込もうとする事が多いと聞く。
分かりやすい例えをあげるなら、
人霊と狼の動物霊が合わさって、人に憑依して、狼男になるとか、
人霊とコウモリの動物霊が合わさって、人に憑依して、ドラキュラになるとか、
実際に狼男やドラキュラが存在するかは別にして、
こんな感じの雰囲気がある悪霊だと想像してもらえれば近いと言えよう。
でも、一縷の希望としては、
漫画の中の鬼太郎の様に、正義の妖怪がいる事を、私も信じたい。
そんな事を思いながら、私は香取市へ向かった。
今回は、知り合いの猫のシロを借りての訪問である。
実はこのシロ、
私が知っている猫の中では一番霊に敏感だと私は思っている。
それに今回は妖怪かもしれないと聞いて、私も少しビビッているのかもしれない。
半分は動物霊と思われる妖怪は、猫の方が敏感に反応するだろうと、
私は思っているので今回は特別、猫のシロちゃんの付き添いをお願いした訳だ。
向こうの家に着いたのは、朝10時20分前である。
怖そうな霊がいそうな場合、朝10時に行くに限る。
特に今回は、人を食うという妖怪かもしれないし。
霊も妖怪も、朝日が苦手である。
そう言えば、偶然にも、
狼男もドラキュラも、出るのは夜であり、朝日は苦手だ。
偶然だろうか、それともやはり、
狼男もドラキュラも妖怪なのか。
いずれにしても、
霊の調査も、妖怪の調査も、朝日を浴びる朝10時に限るのだ。
さっそく高橋さん(仮名)の家に上がらせてもらい、
次女の様子とか、妖怪の話を聞いた。
特別、電話での話より具体的な話は無かったので、
さっそく問題の蔵を見に行くことにした。
ご主人に分厚い蔵の扉を開けてもらう。
奥さんは、家の居るという。
ご主人に案内されて、私と猫のシロが続いて入った。
蔵というと、薄暗いというイメージがあったが、
ご主人が明かりのスイッチを点けると、中が明るくなった。
なにやら、醤油やらお酒の匂いがする。
聞くと、以前ここに大きな醤油の樽があったという。
今の所、猫のシロに目立った反応は無い。
私も取り立てて、寒気や鳥肌などが無い。
蔵の1階部分は以外にも、片づけられていて物が余り無かった。
聞くと来年あたりに、この蔵を取り壊そうかと思っているという。
蔵の内部は2階建てとなっていて、
私達はその2階部分へとゆっくりと足を運んだ。
木々で組まれた屋根の裏側がむき出しで見える。
2階に近づいていっても、猫のシロに目立った反応は無い。
2階は、以前は御祖父さんの物が沢山あったそうだが、
御祖父さんの死後、コレクション等は売ってしまったという。
2階には、木の棚が3段あり、すでの上段はカラで、
2段目の半分くらに沢山の木箱が置かれていた。
窓側には本箱があり、大半が処分されたのか空欄で、
本は20冊くらいしか残っていない。
猫の反応も無いし、私も内部に嫌な感じのする箇所は無かった。
話しでは、蔵の中にある像から妖怪が出て来て、人を食うという。事だったが、
像らしき物も無い。
聞くと、御祖父さんの死後、コレクション等は売ってしまったが、
その中にも、銅像や仏像といった像は無かったという。
そもそも孫達に、妖怪が出ると言い出したのは御祖父さんであり、
真夜中に蔵の中から声がしたというのも、孫が何か外で声がしたと言った時、
御祖父さんがその声は蔵からだと言ったから、蔵の中から声がした事になったそうである。
しかし、人を食うという妖怪が出る蔵を、御祖父さんだけはよく使っていたのだ。
ここから導き出される答えは、2つしかない。
■妖怪はもともと居なかった。
もしくは、
■御祖父さんこそが、人食い妖怪である。
しかし、その頃、
殺人事件とか人の失踪事件は無かったというから、
答えは、元々妖怪は居なかったのであろう。
では、なぜ御祖父さんは、孫達に妖怪が出るなどとウソをついたのだろうか。
これは私の勝手な推測であるが、
当時、この蔵の中で遊ぶと荷崩れや何かで、危なかったのかもしれない。
もしくは、
子供達がこの蔵の中に出入りされて、見られてはいけない物があったのかもしれない。
いずれにしろ、
御祖父さんは、孫達をこの蔵から遠ざけたかったのだろう。
その為の妖怪の登場だったのだ。
子供達の危ない川遊びを止めさせる為の、河童の登場と似ている。
さて、私もちょっとビビッて猫ちゃんの登場までしてしまったが、
妖怪はもともとあまり期待していなかった。
問題はここからである。
今の所、何ひとつ解決していない事になる。
妖怪がいないとなると、
次女はなんで、夜中に蔵に入ろうとしたのか?
サイコロは、振出しに戻ってしまった。
やがて、次女の夢遊病の信じられない理由が明らかになる。
最終話は、明日のブログに続く。