●残してはいけない遺品
このお話は、昨日のブログ(●交通事故で亡くなった息子)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-11935037529.html )
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
知り合いの社長さんから、社員の奥さんの話を聞いてあげて欲しいという依頼があった。
さっそく電話してみると、奥さんは開口一番、
「息子はちゃんと成仏しているのでしょうか?」と言う。
ここに電話する前に、私は社長さんから、
このお宅の息子さんが3ヵ月前に、オートバイの事故で亡くなったという事を聞いていた。
息子さんは、オートバイが大好きで、よくツーリングなどにも行っていたという。
そんな息子さんは、アルバイトの帰りに事故にあって亡くなってしまったのである。
さて、奥さんの質問だが、成仏には個人差があり、一概に答えようがない。
ただ、普通の亡くなり方ではなく、まだ若くして亡くなり、
交通事故となると、普通の死に方よりも成仏はしにくい。
なぜなら、もっともっと生きてやりたい事が沢山あっただろうし、
交通事故も、あの時どうして避けられなかったのか、どうして事故ってしまったのか、
など、その一瞬が避けられなかった事を後悔したり、
一瞬にして亡くなった場合、自分が死んだと分からない場合もあるのである。
だから、本当は気休めでも、「息子さんは、無事成仏してますよ。」と言ってあげたい所だが、
本当に息子さんが成仏していない場合、可哀想なので、私は簡単に、言わない事にしている。
また、「息子はちゃんと成仏しているのでしょうか?」と聞かれる相談者の場合、
成仏していない可能性が高い。成仏していないからこそ、その霊は残された親族に、
成仏していないのはないかと、思わせて心配させている可能性があるからである。
「どうして、成仏されていなかもしれないと思うのですか?」
すると、奥さんは、「最近、息子が事故した様子を夢でよく見るんです。」と言う。
実際の現場の様子は、警察の方から聞いただけで、奥さんは事故の様子を見た訳でも無かった。
しかし、夢ではオートバイが倒れて、息子がオートバイから投げ出されるシーンが、
何度も夢で見るという。だから、これは息子がまだ成仏していないからだろうと思ったという。
私も息子さんが、まだ成仏への道を歩み始めていないと思った。そこで、彼女に、
■時々、事故現場に水に差した花をたむけに行き、息子さんの名前を言って、
「痛かったでしょう、一緒に家に帰りましょう」と声をかけてあげる様に言った。
■夢を見なくなるまで、毎日、仏壇にお水とお線香をともし、
「どうか成仏して、よい来世に生まれ変わって」と供養する様に伝えた。
■またお母さんを含め、残された家族はとても辛い事でしょうが、
息子さんは新しい世界に生まれ変わる為に、自立して家を出たと思って、
暗くならずに、明るい家庭をまた築く様にして下さいと伝えた。
残された家族が暗く沈んでいると、息子さんが成仏出来ない事が往々にあるからだ。
こうして、この相談は、終わったと思っていた。
ところが、1ヶ月後、また彼女から電話があり、
未だに、変わらず同じような夢を見るというのだ。
つまり、私のアドバイスの失敗を意味していた。要は、きつく言えば、苦情だ。
電話相談だけでは、どうしても見落としや勘違いは生じる。
それだけ成仏の問題は、十人十色の難しい問題でもある。
社長の紹介だけに、このままほっとく訳にいかない。
私はさっそく、彼女の家に行く事にした。
何か電話では、分からない事が潜んでいるのかもしれない。
彼女の家は、全面舗装された道路に面した住宅地域にあった。
濃い鼠色の煉瓦調の塀に囲また、2階建の立派な家である。
2台分の駐車場があるスペースに、シャッターが下りていた。
私は車を、そのシャッターの前に停めると、
約束の朝10時を確認してから、彼女の家のベルを鳴らした。
穏やかそうな奥さんが、出迎えてくれた。
まずは、挨拶してから、
息子さんの写真も飾ってある仏壇に手を合わせた。
まず、彼女に聞いたのは、
「最初の相談では、
夢で、オートバイが倒れて、
息子がオートバイから投げ出されるシーンを、何度も夢で見るという事でした。
それが供養しても、未だに夢にみるという事ですが、
他に、何か夢で見る様になったシーンや出来事はありますか?」
すると、新たに、
オートバイだけの夢を見ると言う。
息子さんは登場せず、オートバイだけが夢に出るのだというのだ。
「オートバイだけ?
それは、事故った時のオートバイですか?」
「はい、多分それです。」
物だけが夢にクローズアップされる時、それに何か問題がある時がある。
つまり、オートバイについて何か言いたい事があるのかもしれない。そう思った。
気になったので、奥さんに聞いてみた。
「事故ったオートバイは、今警察ですか?」
「いえ、2ヵ月前位に戻ってきて、
今、そこのガレージにあります。」
2ヵ月前と言えば、
奥さんが、息子の事故の夢を見始めた頃だった。
偶然とは思えない。
さっそく、通りに面したガレージへと向かった。
車一台分の小さい方のガレージに、それはあった。
私はオートバイは乗った事が無いので、
よく分からないが、
全体的に真っ黒で、
一部、オイルタンクと、前輪のカバーなどが濃い赤の2色のバイクである。
ただ、事故の影響か、
ハンドルが曲がっている感じで、
片側のマフラーの擦り傷がひどい。
「息子さんは亡くなる前、オートバイについて何か言っていましたか?」
「今度お金を貯めて、ハーレーを買うと言ってました。」
私は内心、ハーレーって何だろう。
ハーレー彗星しか思い浮かばん。
しかし多分、オートバイの種類だろう。多分。いや絶対。
実はこの時すでに、息子さんが成仏出来ない理由が、
だいたい分かっていたが、
最初に1回成果無く失敗しているので、次の失敗は無いと思い、
かなり慎重になって、本当にそれでいいのか色々考えていた。
最初の夢も、今の夢も、
オートバイが出てくる、やはりオートバイが重要なカギなのだ。
そして、オートバイが警察から戻って来た2ヵ月前から、
奥さんが、息子の事故の夢を見始めたのだ。
やはり、答えは1つしかないと思った。
「奥様、
実は、昔から、
自分が亡くなった時に使われた凶器が、
自宅にあるとなかなか成仏しにくいと言われています。
例えば、自分が強盗に殺された時の包丁が、
まだ家にあったりする場合です。
そして、今回の場合、
実は、その凶器はオートバイなのです。
このオートバイによって、自分は亡くなったと、
息子さんは思っています。
だから、この遺品だけは、なるべく早く処分した方がいいでしょう。」
お母様は、生前息子がオートバイが好きだったので、
捨てるという事は考えて無かったという。
仮に、息子さんがオートバイの事故で亡くなっていなくても、
娘さんはオートバイに乗らないと言うし、奥さんや旦那さんも使わない場合、
誰も使わないオートバイは、場所的にすごく邪魔である。
そんな時は、1週間ほど、仏壇の息子さんに、
誰も乗らないので、売る事を許してね。とお願いし、
その代わり、写真を撮って、時々仏壇の息子さんに見せてあげると良い。
しかし、今回の場合、
夢にオートバイが出るという事もあるし、
仮に夢に出なくても、
息子さんの命を奪った凶器であるオートバイを家に残すのは良くない。
そこで、彼女にはこうアドバイスした。
■廃棄処分するのなら、
仏壇に、オートバイを廃棄する旨を伝え、
座席に1週間盛り塩をして、
その塩でハンドルや後部座席・タイヤをふき、廃棄処分して下さい。
■また、売る場合や、親戚や家族が使うなら、
上の供養の他に、前輪にお酒を一合かけてから、
売ったり使ったりして下さい。
その後、オートバイや事故の夢は見なくなったという。
息子さんは、お母さん思いの子だったそうで、
生前、ハーレーを買うより前に、
きっと温泉に連れてってくれると言っていたという。
残念ながら、それは叶わなかったが、
いつかきっと、
今度は、夢の中で、
お母さんを、温泉に連れてってあげるに違いない。
END