●事故現場の花束




ある日、あるOLから、こんな電話相談がありました。


彼女(青木さん仮名)は短大を卒業してまもないという新人OLでした。





青木さんが勤め始めてから直ぐの事でした。


彼女が就職したという電気会社の前の道路で、


交通事故が起き、そこを偶然通りかかった年寄りが乗用車に轢かれたそうです。






警察の方が沢山来て、会社の前は大騒ぎになったそうです。


救急車が来て、直ぐにそのお年寄りは病院に運ばれたそうですが、


その後すぐに亡くなられたそうした。



やがて、会社の前の道路脇に、


その方を偲んで、花束などが置かれたそうです。




その次の日、会社の先輩方々と一緒に、


お線香を1本ともし、


彼女もそのお年寄りのご冥福を祈ったといいます。


「どうか、成仏なさってください。」と。





彼女にとって、初めての経験だったそうです。


先輩には、こうやって、ご冥福をみんなで祈ってあげる事によって、


会社に影響が出ない様にという護身にもなると、教わったという。



それまで、彼女は道端などに花などが飾ってあるのが、


何なのか気になった事はあったのですが、


まさかそこで、人が亡くなったとは思っていなかったといいます。




ところが、それから2ヵ月後の事です。




急に彼女の具合が悪くなり、


熱が出て、会社を3日休むほどだったという。


その時に、度々夢に花束が出て来たといいます。




今は元気になり、会社にも元気に通っているという事ですが、


彼女が気にしているのは、


毎日会社に通う時に、その交通事故現場の前を通るので、


それが具合が悪くなった原因ではないかと、彼女は言います。


なんか怖くて、会社を辞めようかどうか考えているという。





私は、その時、内心、


そんな事で、今の子は会社を辞めようか悩むのか、と思いましたが、


良く考えてみれば、私も新人で会社に入社した頃は、


右も左も分からず、悩んだ時期もあった。


そんな時に、同時に霊に祟られたかもしれない様な出来事に遭っていたら、


新人時期と合わさって、苦悩は倍に膨らんで辞めようと考えるかもしれないと思いました。





ただ、話を聞く限り、


彼女が会社の前で亡くなったお年寄りに祟られるとは思えなかった。



なぜなら、


会社の前で亡くなった人に、お線香を1本ささげ、


「どうか、成仏なさってください。」とご冥福を祈る事は別に悪く無いし、


先輩が言うように、それによって、


会社の前で再び交通事故が起きるのを防ぐ予防効果ももっている。




それに、2ヵ月後に具合が悪くなるというのも気に入らない。




そこで、彼女に、


「具合が悪くなった2ヵ月後くらいにも、


 その会社の前で亡くなったお年寄りの供養をされましたか?」



と聞くと、


「時々、会社の前で手を合わせます。」という。




「なるほど・・・」




つまり、彼女は、会社の前で亡くなったお年寄りの為に、


亡くなった直後と、それ以後も時々、そのお年寄りの冥福を祈って、


時々手を合わせてあげていたという。



「やっぱり、それがいけなかったのでしょうか?」と彼女。




「う~ん。


 まぁ、その会社の前で亡くなれたお年寄りの方へは、


 亡くなった直後の1回のお線香と、冥福を祈ってあげるだけでいいと思います。


 可能なら、続けて1週間。


 その後は、家族は知り合いでは無い貴方は、もうしなくていいですよ。」




「そうですか、やっぱり、


 1週間以後も手を合わせていたのが良くなかったですか?」と彼女。




「いや、別に手を合わせてあげてもいいですけど・・・」




こういう場合は、


会社の前で交通事故によって、亡くなられたご老人になって考えてみると良い。





事故に遭い、この場所で亡くなった。


亡くなった場所の前にある会社に勤めている子が、時々手を合わせてくれる。





私がその老人なら、こう思うだろう。


奇妙なご縁だが、供養してくれて、ありがとう。と。




2ヵ月も後になって、そんな彼女の具合を悪くさせ、


熱が出て会社を3日休ませる様な事はしない。


だから、その後も度々手を合わせていたとしても問題無いはずである。



なんか腑に落ちない。



そこで、彼女に改めて聞いてみた。




「熱が出て3日間休んだ時、夢に花束が出て来たんですよね。


 なんか、花束を捨てて、新しい花を供えなかったとかしましたか?」



すると、



「花とかそこに供えてあった物には、いっさい手を触れていません。」と言う。





そうなると、


いよいよ会社の前で亡くなった老人が、彼女を祟ったとは思えなくなった。



他に原因があるのではないか。





そこで、15分位彼女と色々話しただろうか。





すると、新たな事が分かったのである。






彼女はこの一件で、道路脇の花束は、


この場所で不運にも交通事故に遭われて亡くなられた方の場所だと学んだ。




その後、ある日、


彼女が友達の家に行く途中に、


踏切があり、その踏切でも花が供えられていて、


お線香の燃えかすみたいなものがあったという。



そこで、彼女は、


今までなら、ただ通り過ぎるだけだったが、


立ち止まり、手を合わせて、その方のご冥福を祈ってあげた。





なるほど、


それは良い事をしました。








と言いたい所だが、それが彼女にとっては良く無かったのだ。





それが急に彼女の具合が悪くなり、


熱が出て、会社を3日休む事になった原因だと思った。






多分彼女は、頼られる体質なのかもしれない。


そんな方が、見ず知らずの人の死亡現場で手を合わせると、


その日の夜中に、彼女の家について来てしまう事があるのだ。


そして、そんな体質の人は、すぐにを出す。






重要なポイントは、


貴方に少しも関係の無い人の現場には、手を合わせない事だ。






会社の前で亡くなった人は、同じ現場という共通点で、


これも何かの縁として、供養してあげるのは良いし、


亡くなったのがご老人と、はっきり供養する相手も分かって供養してあげている。


亡くなった原因も分かって、それをふまえての供養である。



これはいいのである。




また、貴方の友人や、お世話になった人、


少しでも顔見知りだった町の人なども、


その人を頭に思い浮かべて供養するのはいいのである。





ところが、


まったくひと面識も無い人の死亡現場で手を合わせると、



やっかいな事に、


私はこういう人物で、こうしてここで亡くなりました。と


わざわざ貴方についてきて、


夜中に枕元に出て説明しようと現れる霊がいるのだ。



そうする事によって、


よりいっそうの供養をお願いしたり、


心残りを聞いて欲しいとかと、貴方に頼って出てくるのである。







今は元気になったという彼女。


原因は、会社の前で亡くなったというご老人では無いと分かり、


安心した様だった。





会社は辞めないという。




頑張って欲しい、新人さん。


END


追伸:

本当は、無縁仏や道端の可愛そうな交通事故死した霊にも、

みんなで手を合わせて欲しいです。


ただ、上のOLの方の様に、

すぐ熱を出してしまう人は、そういう事は避けた方が良いという例です。