●幸せのイチゴ大福




このお話は、昨日のブログ(●タヌキに憑依されたという少女)の続きです。



従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-11922614919.html




を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ



私の友人の渡河のご両親は杉並区に住んでいて、その近所の方に起きた出来事だった。


まず私が驚いたのは、東京、それも杉並区にタヌキが出るという事実だ。


依頼者の浅田さん(仮名)によると、自宅付近では、何人も目撃情報があり、


浅田さん本人も、今回を含め2回目だと言う。


野生のタヌキにもビックリだが、依頼内容も特殊だった。


浅田さんには、中学生になる一人娘がいるのだが、


その娘さんが「タヌキに憑依された!!」というのである。


事の起こりは、1ヵ月前にさかのぼるという。


ある日、浅田さんの自宅の前に、タヌキの死体が、横たわっていたという。


発見者は、娘さんだった。ほとんど浅田さん宅の門の近くで、


始めは犬かと思って、覗き込んだ娘さんの目と死んでいるタヌキの目が合ったという。


娘さんは、すぐに母親に言うと、二人は、市役所に死体の始末を電話してお願いしたという。


しかし、その日は来てくれず、翌日に回収されるまで、そのタヌキの死体はずっと、


浅田さん宅を向いたまま横たわっていたという。


その間、二階の娘さんの部屋からでも見えるその死体を、


娘さんは「気持ち悪い」とか「早く始末してくれないかなぁ」と母親に言っていたという。


やがて、娘さんに異変が起き始めたのだ。


まず、食欲が無いと言い出し、部屋からあまり出なくなり、不登校ぎみになったという。


医者に行っても特に悪い所は無く、最初は、ただ体調が悪いだけだと思われた。


それがなぜ、タヌキに憑依されたのではないか、と疑われたかというと、


娘さんは、自分の部屋に行くと、暗がりを好み、机の下とか、押し入れの中とか、


穴ぐらの様な場所に、一日中もぐりこんでいるというのだ。


それは、まるでタヌキが寝床にいる様な感じだと言う。


また、無理に部屋の外に、出そうとした父親の腕を噛んだという。


今まで、娘さんが誰かの腕を噛んだという事は無く、


そばで見ていた母親は、野生の動物の様な感じを受けたと言う。


その全ては、あのタヌキの死体事件があった時からなのだ。


依頼を受けた私は、渡河と浅田さん宅に向かった。


希だが、確かに動物に憑依される事はある。


そこは、特に森の中の家という訳では無く、普通の住宅地だった。


私達は、奥さんの後について、2階の娘さんの部屋へと向かった。


トン、トン。「優子、開けるわよ。」とお母さん。


返事が無い。しばらくして、お母さんがドアを開けた。


すると、朝の10時なのに部屋は厚いカーテンで閉め切り、電気も点けず真っ暗だった。


「電気点けるわよ。」とお母さん。部屋の明かりが点くと、


娘さんがいない! と思いきや、机の下に居た。


机の下で、体育座りの様な恰好で、膝を抱え縮こまっている。


私は、明るくなった部屋を見回して、なんとなく違和感を感じたので、お母さんに聞いてみた。


「あのう、この部屋、お母さん、掃除してるんですか?」


「いいえ、私は何もしていません。娘も私がこの部屋に長く居るのを嫌がるし・・・」


それを聞いて、私はつい声を漏らしてしまった。


「これは!!」







































私は、明るくなった娘さんの部屋を見回して、


まず、気になったのは、








この部屋が綺麗だという事。






整理整頓が、出来ていて、


床に目だったゴミも落ちていない。






私は、すぐにお母さんに、質問した。




「毎朝娘さんを、起こすそうですが、


 その時、娘さんの寝相とかはどうですか?」




「えっ、寝相ですか?


 普通に、仰向けに寝ていますが・・・」




「じゃあ、娘さんの寝相は悪く無いのですね。


 では、お風呂とか、歯磨はどうですか?」



「お風呂も歯磨きも、毎日しています。」





「そうですか。」





すると、隣にいた渡河が、


「どうしたの? 何か分かったの?」








「これは・・・











 動物霊じゃない!」











「どうして?


 じゃあ、タヌキの憑依じゃ無いって事?」と渡河。





「そういう事になるな」




「どうして動物霊じゃないって言えるの?」





「この部屋見て見ろ!


 お母さんが掃除もしていないのに、


 整理整頓が出来ていて、床にゴミも無い。」





「ああ、だから?」






「普通、動物霊に憑依されると、


 自分の棲家を掃除などしないから、荒れ放題になるんだ。


 つまり、部屋も掃除しないからゴミだらけになる。


 それに、風呂も嫌いになるし、歯も磨かない。


 あと、普通動物霊に憑依されると、


 寝る時の寝相も悪くなるんだ。


 動物の様に丸まって寝たり、すごく寝相が悪くなったり、


 布団をかじったりとね。


 でも、彼女の部屋はとても綺麗で、


 風呂も歯磨きも毎日すると言う。寝相も良い。


 つまり、



彼女は動物霊に憑依されてはいない。」







「じゃあ、憑依じゃないのかい?」



私はお母さんに、娘さんの以前の元気な時の写真を見せてもらった。


それと現在机の下に居る娘さんを、見比べて見た。


写真の彼女よりも、やや痩せこけていて、


目の印象もかなり違う。どこかうわの空という目つきだ。






「誰かの人霊が憑依している感じだな。」






「どうするんだい?」と渡河。





「そうだな、


 まず、どんな人霊が憑依しているか調べよう。」





「そんな事できるのかい?」




「別にボクじゃなくても、誰でも出来るよ。」




私は、手帳とペンを出すと、お母さんに質問し始めた。



「娘さんは、タヌキの事件以来、


 どんな所が変わりましたか?


 どんなに小さい事でも教えて下さい。」





すると、色々な事が分かってきた。



分かった事を、ノートにまとめてみる。



■暗がりを好む様になった。


■綺麗好きで、部屋は前よりもやや綺麗だと言う。


■イチゴ大福を異常に欲しがるという。


■学校へ行きたがらない。(不登校)


■お菓子以外の食事を取らない。


■父親を異常に避ける。(触られると噛むほど)


■あまり外に出たがらない。


■暗い色の服を好んで着る様になった。





これによって、娘さんに憑依した人物像が見えてくる。





イチゴ大福やお菓子以外の食事を取らない事や、


母親とは何とか話すが、父親とは険悪という事から、


若くして亡くなった、親と同居の学生だったかも。


外に出たがらず、暗がりを好むという点からして、


引き籠りだったかもしれないし、虐待やイジメを受けていたのかもしれない。


いずれにしろ、社交的では無く、余り友達もいなかったのではないかと推測される。






私はお母さんに聞いてみた。



「亡くなった親族の方で、


 学生の時に亡くなった人はいますか?


 特にイチゴ大福が好きだった様な。」





すると、学生で亡くなった親族には心当たりは無いという。



そうなると、まったくの他人が憑依したのかもしれない。





実は、意外かもしれないが、


まったくの他人からの憑依の方が、安全な場合が多い。





親や親戚など感謝すべき人への礼儀を忘れて供養もせずに、


憑依されて歩けなくなったり、病気になったりするケースがあるが、


まったくの他人なら、そんな怨みは無いので、


うまくやれば、自分でも楽に憑依を解けるのだ。





娘さんも学生で、親と同居、そしてお母さんの話によると、


学校の成績が悪く悩んでいたという。



そんな落ち込んだ状態の時や疲れている時に、霊に憑依されやすい。


それも、同じ様な境遇や悩みを持っていて亡くなった霊に憑依される事が多いのだ。







「あのう、お母さん、


 つかぬ事をお聞きしますが、


 娘さんが憑依されるのって、今回が初めてじゃないんじゃないですか?」




「はい、2度目です。


 2年ほど前にも、人が変わった様に目つきが変わり、


 2週間程不登校になりました。」




「そうですか。


 では、これから言う事をメモして、


 また何か同じような事が起きたら、また実践してみて下さい。」




■まず、今日から娘さんを呼ぶ、声をかける時には、


 毎回、娘さんの名前を入れて、呼んで下さい。


 あいづちも含めて、家族全員が。


 「あけみ、ごはんよ。」「あけみ、ありがとう。」「あけみ、そうね。」


 毎回娘さんの名前を入れて呼ぶ事によって、


 憑依している他人は、これは自分の肉体では無いと段々と思い始め、


 名前を呼ぶだけで、憑依が自然と無くなるケースがあります。



■机の下に籠ったり、押し入れの中に隠れたり、


 トイレの中に居座ったりしたとの事なので、


 机の下、押し入れの中、トイレに小皿に盛り塩をして、


 憑依がとれるまで置いて下さい。



■娘さんが食事中の時にでも、


 娘さんの部屋のカーテンを薄い物にして、日差しや朝日が入る部屋にして、


 朝も起こして、食べなくてもいいから、家族と食卓を一緒にして下さい。



■娘さんの部屋に観葉植物を置いて下さい。



■念の為に、包丁やカッター、ライターや睡眠薬の管理を厳重にして、出しておかない。


 分からない所に仕舞って下さい。



■初めは庭だけ、次は近くのコンビニまでと、


 段々と外出する機会を増やして下さい。





まったくの無関係の他人からの憑依の場合、


先も言ったが、同じ様な境遇や悩みを持っていて亡くなった霊に憑依される事が多い。


つまり、自分と同じ匂いがする人物に憑依する事で、


また自分の肉体に戻った様な心地よさを得るのである。




だから、上の様に部屋を明るくしたり、


名前を呼んだり、外出したりと、


今までと真逆の生活をする事で、憑依している霊が、


これは自分じゃない、居心地が悪いと思わせるのです。



怨みなどは無いのですから、またフラフラと出て行くのです。


そうやれば、次にまた憑依されても、


わざわざ、私にお金を払って依頼しなくても大丈夫です。







その後、上の事を実践して1週間くらいしたある日、


突然、元の元気な娘さんに戻ったという。


その時、私はお母さんに、


学校の成績であまり娘さんを責めたりしないようにと付け加えた。






さて、



私と渡河は、帰りの車内にいた。





すると、渡河が急に私に聞いてきた。





「どうして、娘さんが前にも憑依してると分かったんだい?」




「いや、勘だけど、


 娘さんが憑依されたにしては、お母さんがやけに冷静だったのと、


 普通の家庭の主婦が、憑依って言葉あまり使わないよね。


 おかしくなったとか、とりつかれたとか言うかもしれないけど、


 だから、もしかして、前にも経験してるんじゃないかと思ったんだ。」





私は最後に、お母さんにこんな事もアドバイスしていた。




それは、


もし彼女が異常に固執しているという、


イチゴ大福を欲しがっても、簡単にあげないで、


異常に欲しいという時は、憑依霊が前面に出ている時なので、


その霊に話しかける様に、お願いしてみて下さい。と。


「あけみの中にいる霊ですね。


 このイチゴ大福をあげるから、


 もう、あけみから出て行って下さい!!」


と強く目を見ながら言ってからあげて下さい。






普通、皆さんは、


霊に憑依されたというと、異常に怖がるでしょうが、


まったくの他人からの憑依の場合、


憑依してくる霊も、本当は可哀想な人なのです。



この人も、私と同じ様に悩んでいる。きっと分かってくれる。


この子と一緒に居よう。一緒に暮らしてみよう。とフラッと憑依してしまい。


貴方を苦しめようとか、呪うというのでは無いのです。




だから、この娘さんに憑依した霊も、


きっと、


父親と喧嘩し、学校ではイジメられ行きたくなくなり、


ひとり部屋に引きこもってしまい。


人生に絶望してしまった若い子かもしれません。



そんな時、唯一の楽しみが、


小さい頃、幸せだった頃よく食べたイチゴ大福だったのかもしれません。


これを食べると、あの昔の幸せだった頃に戻れるような。






だから、私は憑依した霊にも、言ってあげたい。




今度生まれ変わったら、


きっと、きっと幸せになって、


沢山イチゴ大福食べるんだよ。



END