●タヌキに憑依されたという少女




先日、野生のリスの事を書いていて、


そう言えば、東京にいる時にも、野生動物に関わる相談があったのを、


思い出したので、今日は、その事を書いてみましょう。




私の友人の渡河のご両親は、


杉並区に住んでいて、その近所の方に起きた出来事だった。





いつもの様に、依頼は渡河氏経由だったが、


まず私が驚いたのは、


東京、それも杉並区にタヌキが出るという事実だ。


秩父の方なら分かるが、区内にいるとは思わなかったのである。




聞くと、そんなに珍しい事では無いと言う。


依頼者の浅田さん(仮名)によると、


自宅付近では、何人も目撃情報があり、


浅田さん本人も、今回を含め2回目だと言う。




野生のタヌキにもビックリだが、


依頼内容も特殊だった。





浅田さんには、中学生になる一人娘がいるのだが、


その娘さんが、





タヌキに憑依された!!」というのである。







渡河の話では、


事の起こりは、1ヵ月前にさかのぼるという。





ある日、浅田さんの自宅の前に、


タヌキの死体が、横たわっていたという。




発見者は、娘さんだった。



ほとんど浅田さん宅の門の近くで、


死んだタヌキの顔は、浅田さんの家の方を向いていたという。


始めは犬かと思って、覗き込んだ娘さんの目と、


死んでいるタヌキの目が合ったという。





娘さんは、すぐに母親に言うと、


二人は、市役所に死体の始末を電話してお願いしたという。





しかし、その日は来てくれず、


翌日に回収されるまで、そのタヌキの死体はずっと、


浅田さん宅を向いたまま横たわっていたという。





その間、二階の娘さんの部屋からでも見えるその死体を、


娘さんは、「気持ち悪い」とか、「早く始末してくれないかなぁ」と、


母親に言っていたという。






やがて、娘さんに異変が起き始めたのだ。




まず、食欲が無いと言い出し、


部屋からあまり出なくなり、


不登校ぎみになったという。




医者に行っても、特に悪い所は無く、


最初は、ただ体調が悪いだけだと思われた。




それがなぜ、タヌキに憑依されたのではないか、と疑われたかというと、




娘さんは、自分の部屋に行くと、


暗がりを好み、


机の下とか、押し入れの中とか、


穴ぐらの様な場所に、一日中もぐりこんでいるというのだ。




それは、まるでタヌキが寝床にいる様な感じだと言う。


また、無理に部屋の外に、出そうとした父親の腕を噛んだという




今まで、娘さんが誰かの腕を噛んだという事は無く、


そばで見ていた母親は、野生の動物の様な感じを受けたと言う。





その全ては、あのタヌキの死体事件があった時からなのだ





依頼を受けた私は、渡河と浅田さん宅に向かった。




希だが、確かに動物に憑依される事はある。



浅田さんの娘さんを、この目で見て見ないと、


はっきりとは言えないが、


話しを聞く限り、やはり何かに憑依されている様な気がした。




娘さんに起きた現象や、タイミングの時期などから、


やはり、タヌキは外せない。





そんな事を考えていると、


隣から渡河が、話しかけてきた。




「ねえ、かや。


 昔から言われている様に、


 やっぱタヌキって、人を化かすのかなぁ?」






「何をもって、化かすと判断してる?」と私。





「えっ、例えば、


 タヌキが人間に化けて、人を騙すとか・・」





「う~ん。


 昔話にあるけど、


 実際には、無いと思うよ。」





「そうなんだ。」






「ただ、人を騙す時はあるよ。」





「えっ、ホントに?」





「ただ、騙すと言っても、


 人間が勝手に思い込んで、騙されるケースがほとんどだけどね。」






「えっ、どんな?」






「あるタヌキの鳴き声は、とても人間の声に似てたりするんだ。


 それを聞いて、誰かいるの?と近づいてみると、


 そこは崖だったとか、川べりだったとかして、


 危なく落ちるとこだったという相談を受けた事があるよ。」





「へえー。そうなんだ。」





そんな話をしていると、車は浅田さんの家の前に着いた。



そこは、特に森の中の家という訳では無く、


普通の住宅地だった。



こんな所にタヌキが、と思ったが、


あがって、話を聞くと、近くに神社があり、


その近くにタヌキが生息していると思われる林や川、公園があるという。



まぁ、今回は生きているタヌキには用事は無い。


それよりも、娘さんだ。





私達は、奥さんの後について、


2階の娘さんの部屋へと向かった。






トン、トン。


「優子、開けるわよ。」  と、お母さん。







返事が無い。







しばらくして、お母さんがドアを開けた。






すると、


朝の10時なのに、


部屋は厚いカーテンで閉め切り、電気も点けず真っ暗だった







「電気点けるわよ。」  とお母さん。






部屋の明かりが点くと、


娘さんがいない! と思いきや、机の下に居た。






机の下で、体育座りの様な恰好で、膝を抱え縮こまっている。


ちょっと不気味な感じだ。





暗闇の中で、ひとり穴倉に居る様子は、


確かにタヌキを連想させた。






私は、明るくなった部屋を見回して、


なんとなく違和感を感じたので、お母さんに聞いてみた。






「あのう、


 この部屋、お母さん、


 掃除してるんですか?」





すると、


「いいえ、私は何もしていません。


 娘も私がこの部屋に長く居るのを嫌がるし・・・」








それを聞いて、私はつい声を漏らしてしまった。







これは!!









私を驚かせた、予想外の部屋の様子とは・・・





後半は、明日のブログに続く。