●びっこのニーボ
今日は霊の話ではなく、普通のブログです。
今年のお盆に起きた話です。
これは私が体験した話ではありません。
私の知り合いの猫に起きた事を聞いた時、
私が、その話をブログにしてもいい?と許可を得て、
書かせてもらう事にしました。
その方は上原さん(仮名)という看護婦の方で、
お父様は、小さいながらも会社を経営している方でした。
とても厳しく、高校生だった時も門限は太陽が沈むまでという家庭だったと言います。
そんなお父様は、とても高級志向で、
車も外車、トランク、スーツなどもブランド品以外使わないという人でした。
それは持ち物だけでなく、
お父様は猫が好きで、猫を飼っているのですが、
その猫も血統書付のペルシャ猫を飼うという具合です。
もちろん、エサも高級志向です。
彼女も猫が好きでした。
ただ、父が帰って来ると、猫と一緒に書斎に籠ってしまし、
寝る時も猫を寝室に連れてってしまうので、
いつか、自分の猫を飼いたいと思ってました。
しかし、お父様は白のペルシャ猫以外の猫を飼う事を許してくれませんでした。
そんなある日の事です。
病院からの帰り道、溝で動けなくなっている三毛猫を見つけたのです。
足を怪我している様で、うずくまっていました。
私が近づくと、ミャオーを鳴きました。
きっと、これは「助けて」と言ったんだと、
私の勝手な解釈ですが、直ぐに家に連れて帰りました。
早番での帰宅だったので、父が帰って来るまでにはまだかなりの時間がありました。
足は見ても、傷らしい所はありませんでした。
多分、生まれながらにして、びっこだったのかもしれません。
それで、捨てられたのかもしれませんでした。
エサは、父の猫のものを1缶失敬して、
あと母から煮干しをわけてもらうと、
その猫は、あっという間にたいらげてしまう程お腹が空いていたようです。
「おまえ、だいぶ食べて無かったんだね。」
煮干しがとても気に入って様で、家にあった煮干しを全部たいらげてしまいました。
「おまえ、煮干しが好きだね。
ニーボって名付けてあげる。
ニーボだよ。 いい?」
私は父が許してもらえるように、
ニーボを綺麗に洗って、
リボンをつけると、
ニーボに言いました。
「お父さんが帰って来たら、行儀よくするんだよ。
飼ってもらえるように頼むからね。いい子にしてね。」
父が帰って来ました。
私は猫を一緒に、父を玄関で出迎えました。
「お帰りなさい。お父さん。」というと、
普段出迎えた事が無い私に驚いたのか、
「おお」と言うだけで、猫をみても何もいいませんでした。
ニーボもキチンと言われた通り座っていました。
私は父の靴を直すと、リビングに行きました。
内心、飼わせてもらえるかなと、思いました。
しかし、やっぱりそんな甘く無かった。
父は、私がリビングに入ってくるなり、
「あの汚い猫は、お前のか?」
「そうだよ、ニーボっていうんだよ。
飼ってもいいでしょ。」
「ダメだ。
今すぐ、捨ててこい!」
「そんなぁー
あの猫、怪我してるんだよ。
お腹空いてるんだよ。」
「ダメだ、
うちは、ペルシャ猫以外は飼わない。
捨てて来なさい。」
「お願い、お父さん、
飼わせてよ。」
「ダメだ。捨てて来なさい。」
「嫌だ、
私、看護婦だよ。
怪我している猫、捨ててくるなんで出来ない。」
私はそう言うと、泣きながらニーボを抱きかかえて、
部屋にこもりました。
その後、母を介して、
怪我の治療の為に1週間だけ飼う事が許されました。
それでも、1週間後には捨てるというのには変わりません。
私は、本当は怪我していないびっこの足に
、
包帯を巻き、看病している事にしました。
1週間なんて、あっという間でした。
また中立の母を介して、
「約束だ!明日、捨てろ」という父のメッセージが届きました。
その後、私の必死の言い訳で、
包帯が取れるあと1週間という事が許されました。
でも、あとたったの1週間。
しかし、
この1週間が奇跡を起こしたのです。
偶然、この1週間の間に、
私達親子は、全員で実家にお盆に帰る事になったのです。
4日間の帰省という事で、
猫用にと水とエサのペット自動給餌機を用意しました。
ただ、普段からニーボには、
高級なエサは必要無いと言われていたので、
ニーボには、煮干しをいっぱい色々な所に置いてきました。
ニーボは頭がいい猫だと思います。
いつも私が出勤する時は、
悪い足を揺らして、バイバイと手を振ってくれている仕草をします。
また、私が帰宅する時は、かならず出迎えてくれるのです。
この時も、私はこっそりとニーボに、
「もし、煮干しが無くなったら、
あのエサ食べてもいいんだよ。」って言うと、
悪い方の片足を、ひょいと振って、OKの合図です。
外には、空港までのタクシーが待っていました。
私たちは、荷物を後ろの荷台に積んでもらうと、
急いでタクシーに乗り込みました。
ところが、父がちょっと待ってと言って、
トイレに行ったのです。
父はそういう所があります。
緊張したり、急いでいる時に、いつもトイレに行くのです。
ところが、
この時の父のトイレが、あとあと大問題を引き起こしたのです。
私は実家に行っている間も、
ずっと、帰ったらどうやってニーボを飼い続けられるか。
そればっかり考えていて、いつもの様には楽しめませんでした。
ただ、1週間伸ばすのもかなり大変だったので、
もうどんな言い訳も、思いつきませんでした。
母には、ニーボはびっこで可愛そうなんだよ。って
打ち分けていましたが、
父にとても言えません。
きっと、びっこなどと知ったら、
高級好きで、ブランド好きな父が
絶対そんなみっともない猫を許すはずがありません。
4日があっという間に過ぎました。
私たちが、家に着き、
玄関のドアをガチャ、ガチャと開けようとしていると、
すぐにいつもとちょっと違うという異変に気が付きました。
家の中から、
父のシャムネコが、激しく泣いているのです。
父は少しあせって、
「あのバカ猫が、
オレの猫をいじめたな!!
だから心配だったんだ!!」
そういうと、開いたドアから一番に家に飛び込んで行きました。
私も急いで、父の後を追いました。
すると、
父が、トイレの中でシャム猫を抱いていました。
父は、シャム猫に何度も「ごめんよ。」と言って、
直ぐに、キッチンに行くと、
シャム猫に、たくさん食事を与えていました。
その時、私はいったい何があったのか分かりませんでした。
ニーボも、何があったのか分からず、
キョトンとして私を見ているだけでした。
その後、しばらく経ってから、
事の真相が分かりました。
4日前、
私たちが実家に行った日、
父が最後に急いでトイレに行った時、
父は、トイレのドアをきちんと閉めるのを忘れたのです。
その後、父のシャム猫は、
父の臭いを追ってか、理由は分かりませんが、
トイレに入った後、そのトイレのドアが閉まってしまい、
父のシャム猫は、トイレに閉じ込められてしまったのでした。
しかし、
それから信じられない事が起きていました。
うちのトイレのドアの下には、
1cm位の隙間があるのですが、
その隙間に、煮干しが2つ挟まっていたのです。
それだけではありません。
トイレの中にも、かなりの煮干しの食べ残しと思われるものが、
散らばっていたのです。
それから推測されるのは、1つでした。
トイレに閉じ込められ、
お腹が空いて、泣いているシャム猫に、
誰かが、煮干しをあげたのです。
そうです。
ニーボでした。
ニーボは片足を引きずりながら、
閉じ込められたシャム猫の為に、
何度も何度も、煮干しを運んだのです。
それも、煮干しそのままでは、1cmの隙間は通りません。
ニーボは、煮干しを噛み砕いて、
1cmの隙間を通して、シャム猫に与えていたのです。
「ニーボ、お前ってやつは・・・」
翌日、約束の1週間がやってきました。
私がリビングに居る父の側に行き、
「お父さん、」と言いかけると、
父は、シャム猫を抱きながら、
後ろを向いたまま、
「まったく、あの猫、
煮干しなんて、食べさせやがって・・・・」とぼやきました。
私が、「やっぱりダメ?」と聞くと、
父は、
「びっこが治るまでだぞ・・」と言って書斎に出て行きました。
私は、泣きながら、母の方を見ました。
「びっこは治んないよ。
ずっと飼っていいって事?」
母は、笑顔でうなづいていました。
END