●転落した貴婦人
一人の女性が、特に悪い事をした訳でも無く、
主だった供養をおこたった訳でも無く、
本人もきっと、何も悪い事をした自覚が無いまま転落していく。
それも、ほんの些細な事をした為に・・・
それはある意味、
知らないだけに恐ろしい事なのかもしれません。
彼女がした事、
それは、ごく一般の方々も、つい知らないでやってしまっている人は、
多分多くいるのではないかと思い、
今回、書いてみることにしました。
もし、貴方に心当たりがあるようでしたら、
直ぐに止めように強くお勧めします。
これは私が、ちょうど東京から千葉に引っ越してくる頃の話です。
母の友人に、大会社の社長だった人の未亡人がいました。
彼女は、吉祥寺に住んでいました。
吉祥寺と言えば、
去年も今年も、恵比寿を抑えて、住みたい街ランキング1番ですが、
当時も、もっとも住みたい街に選ばれていました。
その吉祥寺に、豪華な一軒家を所有しているのであるから、
その栄華な生活も大体想像がつくでしょう。
母は、その友人の家に時々遊びに行くと、
今日はステーキの美味しい店に連れてってもらったとか、
大きな中華レストランで、フカヒレを食べたとか、言っていた。
亡くなったご主人が、彼女に吉祥寺の豪邸と莫大な財産を残した様だった。
彼女は、特にそれといった趣味は無く、
贅沢をしているとすれば、食事くらいだったという。
だからはた目から見ていても、きっと彼女は一生安泰だろうと思っていました。
ところが、
ご主人が亡くなって丁度10年位経った頃から、
なにやら雲行きが、おかしくなってきたのです。
空き巣が入り、宝石類などが盗まれたのをきっかけに、
リフォーム詐欺にあったり、
車の事故を起こしたりして、
私の母に、愚痴を言う事が多くなったのである。
私は、彼女から相談を受けた訳でも無いので、
心配している母の話を聞いてあげるだけだった。
その後も、何かと良い話は無かった。
悪い取り巻きが出来た様で、
4人で沖縄に旅行に行ったり、
一ヶ月の温泉旅行とか、
彼女の有り余る財産を、取り巻きが一緒になって使っていった様だった。
私は、心配する母に、
ご主人が亡くなってから、何か変わった事をその未亡人はしなかったか聞いた。
しかし、特に変な変化は無かったという。
ご主人への供養や墓参りは欠かさずやっているし、
仏壇もとても立派で綺麗だという。
ただ、
独りになって寂しかったのか、
未亡人になってから、
犬を3匹、猫を2匹飼っているという。
まぁ、独りで寂しくなったので、ペットを飼う。
ごく普通の事だ。
多少数が多いが、気になるほどではない。
しかし、
このペットがこの未亡人の転落の元凶だったのである。
それは、ペットの中の一匹が死んだ事に始まった。
子供がいなかった彼女は、
そのペット達を自分の子供として可愛がっていたのかもしれない。
その犬が亡くなった時に、
母も自宅に呼ばれ、葬式らしきものに参加してきた。
帰って来た母は、
未亡人がとても悲しそうで可哀想だったといい、
その時もらったクッキーと亡くなった愛犬の写真をみせてくれた。
その話を聞いた私は、
ちょっとやり過ぎだと思ったけど、
それだけ愛していたんだと思った。
確かに、ここぐらいで止めておけば問題は無かったと思われる。
しかし、この後がいけなかったのである。
このペットの死の後、彼女はどんどん転落していったであるが、
私が、その原因らしき事を知ったのは、
彼女が転落していってからだいぶ経った時で、
私たちが千葉に引っ越すという時だった。
千葉に行ってしまうという事で、
母が、彼女にお別れを言いに久々に彼女の家に行った時の事である。
今度いつ来れるか分からないという事で、
母は、ご主人にも挨拶していくと、
仏壇に手を合わせて、お別れを言った時だった。
なんと、
その仏壇に、亡くなったご主人の写真だけではなく、
亡くなった2匹の犬の写真が一緒に飾られていたというのだ。
私は帰って来た母に、その事を聞くと、
ああ、それが彼女の転落の原因だったんだと感じた。
人間の仏壇に、亡くなった犬の写真を飾り供養するのはよくないのである。
これには、2つの理由が考えられる。
■まず、犬や猫は、人間の仏壇で供養されるのを嫌う。
それには理由がまた2つあり、1つは動物は人間よりも生まれ変わりが早い。
しかし、人間の仏壇や墓に入ると、それが悩みや苦痛になり、
生まれ変わりも遅くなる。そしてもう1つは、いじめである。
人間の仏壇や墓に入ってきた動物を、場違いな所に来たと他の人間に非難されるのである。
だから、そんな動物たちの霊による止めてほしいという訴えである。
■多分、こちらの方が大きいと思われるが、
仏壇で供養されている人が、動物と一緒にされていると怒る。
つまり、彼女のケースで言えば、
仏壇で供養されている大会社の社長だったご主人と、
その後飼われた犬が、同等に同じ場所で供養されている。
それに怒ったご主人の霊やご先祖の霊が、彼女に霊障を起こしたと考えられる。
特に、彼女の場合、
時々、ワンちゃん用の食事もその仏壇に供えていたというから、
もうご主人への供物と、犬への食事がほぼごちゃまぜである。
あと、起きる霊障の強さは、
その仏壇に祀られている仏様の数や性格にもよる。
今回の彼女の場合、
生前のご主人は、動物が嫌いだった様で、
家には何も飼っていなかった。
しかし、ご主人亡き後、彼女は一人で寂しかったので、
犬と猫を沢山飼って、寂しさを癒していたのだった。
つまり、動物が嫌いだった仏様の仏壇に飾った事が、
より厳しい霊障となったと考えられる。
もし、亡くなった人に、その犬の写真を見せてあげたいのであれば、
仏壇の中に飾らず、仏壇から50cm以上離して、
1時間も見せてあげれば、十分に喜んでもらえる。ので、あとは片づける様にする。
どうしても愛犬や愛猫を供養してあげたい場所が欲しい場合は、
仏壇は止めて、
なるべく床に近い所に、写真を置いて、水やお線香(半分)を焚いてあげましょう。
母は、私のアドバイスに従って、
彼女に2回ほど、仏壇に犬の写真を入れているのはよくないと助言したという。
しかし、彼女は、
そんな犬の写真を飾るくらいで、悪い事が起きるはずが無いといい。
最後まで、母の助言などまったく聞き入れる事は無かった。
それから私たちは、東京から千葉に引っ越したので、
母も彼女の家に行く事は無くなった。
その後何年かして、
風の噂で、
彼女は吉祥寺の豪邸を手放して、どこかに引っ越していったという。
END