●小さなストーカー
このお話は、昨日のブログ(●ストーカー霊)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-11910465205.html )
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
それは、私をひいきにしてくれている社長の依頼だった。
彼の会社でアルバイトしている女性がストーカー被害にあっているという。
もちろん、私に電話してくるということは、
ただのストーカーではない。幽霊のストーカーだというのだ。
彼女、片瀬陽子さん(仮名)は、大学1年生だった。
幽霊のストーカー被害に遭い始めたのは、今から半年くらい前だという。
最初は、彼女が家に居る時、横を誰かが通った様な気がしたので、母親の名前を呼んだのだそうです。
すると、母が逆の方から、「なあに?」と来たので「えっ?」と思ったそうです。
父親が家に居ない時だったので、じゃあ、横を通ったのは誰?
また彼女が独りで、部屋でDVDを見ている時、ふと、チラッと後ろを向くと、
風も無いに、カーテンが揺れたという。その時、クーラーはつけてなく、
カーテンは窓とはくっついてないので、地震でないかぎり揺れるはずはないという。
ただ、自宅でこの霊を感じるのは彼女だけだという。
そして、この霊らしきものは、彼女が外出した時も後をついてくるという。
彼女が日課にしている散歩の時も、時々後をついて来るという。
また、彼女がアルバイトに行く時は毎回後をついて来るという。
変わっているのは、彼女が電車に乗る時も、時々同じ電車に乗ってついてくるという。
彼女の話が本当なら、これは霊の可能性が強いと思った。
「あのう、半年前くらいに、貴方の知っている方で、亡くなられた方はいますか?」
彼女は電話口でしばらく考えていたが、「いません。」と答えた。
一応、電話相談の場合、依頼者が言った言葉はメモしている。
それを読み返していると、ちょっとだけ気になった事があった。それは、
「彼女が日課にしている散歩の時も、時々後をついて来るという。
また、彼女がアルバイトに行く時は毎回後をついて来るという。」くだりだった。
つまり、アルバイトの時は、毎回後をつけてくるのに、
散歩の時は、時々しかついて来ないという。ちょっとだけ、私の感性にひっかかった。
霊のストーキイングに、
後をつける時と、後をつけない時があるのか?
どうしてだろう?
まず、彼女が日課にしている散歩の時も、
時々後をついて来るという点について聞いてみた。
すると、彼女が家を出て、北の方に散歩に出ると、
霊はついてきたという。
しかし、彼女が家を出て、南の方に向かって歩き出すと、霊はついて来ないというのだ。
だから、最近では、散歩はいつも南の方に向かって歩いているという。
ただ、アルバイトの日は、駅が北の方なので、毎回ついて来るのだという。
つまり、霊は彼女が北に向かって歩く時だけ、後をつけて来るのだ。
なぜだろう。
なぜ、霊は北方向にご執心なのだろうか。
もう一つ面白い事があった。
彼女が電車に乗る時も、時々同じ電車に乗ってついてくるという。
という事は、散歩と同じように、電車に乗る時と乗らない時があるという事だ。
聞くと、
彼女は外房線を使っているそうだが、
茂原方面に行く時は、いつも霊は彼女の後について来るのだが、
勝浦方面に行く時は、霊は電車に乗って来ないというのだ。
そして、面白い事に、
霊のストーキングは、電車に乗ってまで彼女の後を追って来るのに、
茂原駅を過ぎると、自然と居なくなるのだという。
つまり、幽霊は彼女の家の中と、
彼女の家から茂原駅まで行くまでの間だけ現れるのだ。
いったいこれは、何を意味しているのだろう。
何か分からないが、何か重要な意味があるのように感じた。
私は、30分ほど彼女の話を聞いていて、
この幽霊のストーカーは、悪い霊では無い感じを受けていた。
まず、彼女は、
こんな霊のストーキングを半年も受けているのに、
彼女の身に何も悪い事が起きていない事。
普通は、これだけの期間、
霊に付きまとわれていたら、病気になったり、事故にあったりする場合が多い。
また、彼女はこの訳の分からないストーキングを
気持ちが悪いと思いつつも、冷静に分析して、
強い恐怖感を受けている様では無かった。
私も冷静に考えてみよう。
彼女につきまとう霊は、茂原に何か執着している。
なぜだろう。
昔、こんな事があった。
ある家で、
幽霊が出るのだが、家の者が離れの納屋に行くと出るのである。
納屋以外には出ない。
調べてみると、納屋の床下に死体が埋まっていた。
つまり、逆に考えると、
霊は納屋に来て欲しかったのである。
納屋に来て、自分の死体を発見してもらいたかったのである。
この例を参考にするならば、
今回のケースは、霊は彼女に茂原に来て欲しいのではないだろうか。
そこで彼女に聞いてみた。
「あのう、
茂原に、お知り合いは住んでいますか?」
すると、
「はい、母の妹が住んでいます。」
「貴方のお母様の妹というと、
貴方にとっては、親戚という事ですね。
よくそこに、行かれますか?」
「昔はよく行きました。
遊びに行ったり、泊まったりもしました。
高校2年から受験勉強が始まり、
それからは、行かなくなりましたが。」
「最近では、いつそこの親戚の家に行かれましたか?」
「約一年前です。
長女のユキちゃんが交通事故で亡くなり、そのお葬式で・・」
「そうですか、一年前に、
それはご愁傷さまでした。
そのユキちゃんとは、親しかったのでしょうか?」
「はい、私よりも2歳年下で、
小学校時代、中学時代と、よくお互いの家に遊びに行ったり、
泊まったりしました。」
「ちなみに、ユキちゃんは、どういう状況で交通事故に遭われたのですか?」
「ユキちゃんは、歌手になりたかったんです。
それで、毎週東京にレッスンに通っていて、
その帰りに交通事故に遭ってしまったんです。」
私がこれだけユキちゃんについて聞いているのは、
もちろん、今回の彼女をストーキングしている霊が、そのユキちゃんだと思ったからである。
歌手になる夢を、途中で断念させられた小柄で可愛かったユキちゃんは、
さぞ無念だったに違いない。
なぜ、一年前に亡くなったユキちゃんの霊が、
半年後に片瀬さんの所に現われたのかは分からなかったが、
亡くなったユキちゃんの家の事情を聞いて、
なんとなく、ユキちゃんの霊の気持ちが分かったような気がした。
ユキちゃんの家には、子供が5人居るという子だくさんの家で、
長女のユキちゃんが亡くなった後も、家族は子育てで大変で、
後から分かった事だが、
まだお墓も無く、遺骨は自宅にあり、大した供養もしていなかった。
またもうすぐある一周忌も行う予定すら無かったという。
片瀬さんは、時々ユキちゃんの事を思い出して、お線香をあげていたというから、
多分、交通事故に遭った場所に地縛霊として半年留まった後、
やっと片瀬さんの供養によって、片瀬さんの所まで戻って来れたのか、
もしくは、自宅に戻ったが、半年間家族に期待したが、
大した供養もしてくれなくて、
親しかった片瀬さんに、頼って来たのかもしれない。
自宅が近い親戚や家族が居る場合、希にこういう現象が起きる。
いずれにしろ、
片瀬さんには、以下の事をアドバイスした。
■まず、一周忌までは、毎週ユキちゃんの家に行き、
ユキちゃんの成仏を祈って、お線香をあげてあげる。
■その時に、お水、何かユキちゃんの好きだった物を供え、
ユキちゃんが当時好きだったという、中島みゆきの歌をかけてあげる。
■ユキちゃんの家族に、なにげなく、
なるべく早くお墓に入れてあげる事と、一周忌をしてあげる様に言う。
昔、小学生だったふたりは、
お互いの家に、泊まり、将来を語りあったという。
私は歌手になるんだよ。
そう、私はお嫁さんかな。
ユキちゃんは、片瀬さんの事を、
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」と慕って、
よく後をついてきたという。
家から駅まで、茂原駅からユキちゃんの自宅まで、
手をつないで、よく歩いたという。
そんな片瀬さんは、今では茂原駅で一緒に降りる事も無く、
そのまま乗って行く姿を、ユキちゃんは一人悲しく見送っていたのだろう。
「お姉ちゃん、ここで降りてよ」と願いながら・・・
しかし、片瀬さんが、ユキちゃんの家に、
ユキちゃんを供養しに行く。
どんなにかユキちゃんは、喜んだだろう。
その後、ユキちゃんの霊が片瀬さんをストーキングする事は無くなったという。
ユキちゃんが無事成仏の道を歩み始めれば、
きっと、片瀬さんの守護霊となって、色々と守ってくれる事だろう。
「私はダメだったけど、
お姉ちゃんは、私が守るよ。
ぜったい、ぜったい、
お姉ちゃんが、
幸せなお嫁さんに、なれますように。」
END