●老老介護
このお話は、昨日のブログ(●老女の幽霊)の続きです。
従って、昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-11901396731.html )
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
それは東京都練馬区のある場所に、
アパートの一室を買ったという女性からの電話だった。
彼女が言うには、買ったアパートに、幽霊が出るというのである。
最初に幽霊が出たのは、そのアパートに引っ越してから、4日目の事だったという。
夜、トイレに起きた時、ふと、台所付近を見たときだったという。
スーッと女性らしきものが、キッチンを横切ったというのだ。
2度目に、台所で見た時は、はっきり、老女らしき人が、
こちらに背中を向けて、台所で何かしているのがはっきり分かったという。
それから一週間後の事である。
今度は彼女が寝ていると、金縛りになり、
誰かが、彼女の顔を覗き込んで見ているというのだ。
そして、それは、老女の顔だったという。
彼女は言う、多分、あれは台所で見たのと同じ幽霊だと思います。
普通は、怖い物件に当たってしまったら、
引っ越せばいいのだが、彼女の場合、独り身での老後を考えて、
彼女の全財産をつぎ込んで買ったもので、また買い替えるという余裕は無いのだという。
私は、電話の彼女が言っている事が、本当にありそうだと思いました。
というのは、同じアパート内や近い場所で、その様な事件事故があって、
不幸な死があった場合、その霊がまだ供養されずに、地縛霊や浮遊霊や不成仏霊となって、
本来幽霊になりそうもない近くにいる霊のパワーを強くして、
人に目撃されるくらいに増幅される場合があるのである。
さて、私は、彼女がそのアパートを買われたという事だったので、
登記簿などを調べてもらった。つまり、以前の持ち主の名前を調べてもらったのである。
また、そのアパートの付近の住人にも挨拶回りする事を勧めた。
彼女は、調べて見ますと言って、電話を切られた。
すると、一週間後くらいに、また彼女から電話があった。
アパート内には、元の住人について知っている人はいなかった。
しかし、
アパートの隣にある家の方が、
元の住人の名前を言うと、
そこのお婆ちゃんと付き合いがあったというので、話しを聞けたという。
その近所に人の話しでは、
そのアパートに住んでいた、80歳を超えたという老夫婦は、
松波正和さんと花江さんご夫婦だっという。(名前は仮名)
ご夫婦は、生前とても仲が良かったそうです。
ところがある時、
夫の松波正和さんが病気になり、
寝たきりになったという。
それ以来、いわゆる老老介護となり、
奥さんの花江さんが、ずっと一人で夫の介護をしていたそうです。
しかし、
その花江さんが突然脳の病気で倒れ、
病院で亡くなってしまったといいます。
しかも、夫は、花江さんが病院で亡くなる前に、
そのアパートで病死なさったのです。
普通、その家で亡くなった人の方が、
その家に霊として出そうですが、
今回の場合、逆の結果となっています。
アパートで亡くなったお爺さんは、幽霊となって出ず、
アパートではなく、病院で亡くなったお婆さんが、
幽霊となって、アパートに現われたのです。
多分、アパートで亡くなったお爺さんは、
お婆さんが倒れた時点で、もうお婆さんが亡くなったと思ったのかもしれません。
自分を長年世話してくれたお婆さんの死を感じて、
自分も心置きなく天寿をまっとうしたと思います。
実際は、お婆さんの方が、
お爺さんよりも若干後に亡くなられているそうなので、
私が思うに、
亡くなった花江さんは、倒れて病院に担ぎ込まれた後も、
ずっと、自宅で寝ている夫の心配をしていたと思います。
自分が世話をしてあげないと、食事にも困るだろう夫を、
心配で、心配で、
そんな事ばかり思いながら亡くなったのでしょう。
そんな夫への心配な思いが、
今も成仏出来ずに、夫の食事を作り、夫の世話をしに、
アパートに現われるのだと思いました。
私もこの話を彼女から聞いた時、
老婆の幽霊が、後ろ向きで台所に居たというのを聞いて、
この幽霊は、悪いものでは無いと感じました。
私の経験から言わせてもらうと、
後ろ向きというのは、攻撃的では無いと言ってもいいでしょう。
それに、何かを台所で作っている様な場合、
それは、自分の為では無く、誰かの為に作っている場合がほとんどで、
つまりは、その霊は思いやりのある霊であると言えます。
彼女の場合も、
寝たきりの夫へ食事を作ってあげなければという強い気持ちが、
亡くなって霊になっても現れていたのです。
私は彼女に、
お婆さんの名前を短冊に書き、
台所の棚に簡易お盆を置き、
毎日その上に、お水、お線香(1本)、小さなコップに花を供え、
「正和さんは、寿命をまっとうされて亡くなりました。
どうか花江さんも成仏なさって、正和さんと一緒に来世にお進み下さい。」
と花江さんを一ヶ月供養してあげる様にアドバイスした。
すると、
3週間くらいしてから、
家でおかしな事が起きることは無くなったという。
多分、花江さんの霊は、
自分の死と、夫正和さんの死を納得されたのでしょう。
きっとまた、ふたり仲良く来世に進まれる事でしょう。
老老介護は、
介護する側も、
介護される側も、辛いという。
しかし、
倒れて病院に担ぎ込まれた時でさえ、
自分の事よりも、家に残してきた夫の事を心配した花江さんは、
霊になってまで、夫の介護に戻るほど、
夫を愛していたに違いない。
「あなた、
夕食が出来ましたよ。」
「いつも、ありがとう。
美味しいよ。
とっても、とっても美味しいよ。花江さん。」
END