●4つの指輪
一代で、大きな会社を築き上げた女性がいた。
夫と離婚してからは、子供2人を育てながら、
そこまで女性一人で築くまでには、相当な苦労があったに違いない。
そんな彼女には、宝石を集める趣味があった。
難しい商談が上手くいった時は、
新商品の売り上げが良いスタートを切った時などに、
自分へのご褒美として、
1つ宝石を買っていたという。
宝石は全て指輪で、仕事中や家でも指にはめて眺めていた。
若い時からの指輪を含めると、その数は20数個にもなった。
その中でも、
彼女が特にお気に入りのものが4つあった。
ダイヤの指輪。
ルビーの指輪。
エメラルドの指輪。
サファイアの指輪。
帰宅すると、いつもその4つの指輪を眺めていたという。
そんな彼女が、重い病気で入院した。
入院していても、
個室でいつも4つの宝石を眺めていたという。
やがて、彼女は1通の遺書を残して亡くなった。
その遺書の内容が問題となり、
娘さんが、私の所へ電話相談してきたのである。
遺書の中で、問題になったのは、
「私が死んだら、4つの指輪を棺桶に入れて欲しい。」という部分だった。
普通、そこまで指輪に執着する人はいない。
しかし、彼女は遺書にまでそう書いたのだった。
残された娘さんと息子さんは、考えたあげく
4つの指輪を棺桶には入れなかった。
娘さん達は、母親が亡くなるまで指輪の価値がどのくらいするのか知らなかった。
しかし、遺書を読んでから、
急いで領収書や鑑定書などを調べてみると、
4つの宝石の指輪の合計は1億円以上である事が分かり、
遺言とはいえ、とても棺桶の中に入れる事ができなかったという。
結局、宝石類はそのままにし、葬式を終えた。
私が娘さんから相談を受けたのは、
その葬式を終えてから、約1ヵ月後だった。
特に何か異変があったという訳ではなかった。
ただ、彼女が言うには、
家にいても、なんとなく、
誰かに見られている感じがして気持ち悪いというのと、
母の遺書に従わなかった事。
残された宝石類をどうしたらいいのか、売ってもいいのか。
そんな相談だった。
確かに、今のところ、何も起こっていないとはいえ、
遺書に逆らっていて、
高価な物を自分たちのものにしていると思われている可能性は否定できない。
何か悪い事が起きる雰囲気ではある。
私がアドバイスしたのは2つ。
■まずは、謝る事である。
墓参りして、遺書の通りに出来なかった事を兄妹で一緒に謝る事。
あと、仏壇があるという事なので、
お母さんの好きな花を飾り、お水、お線香、好きだった物を供えて、
1週間謝り続ける。
■それと同時に、
遺書に書いてあった4つ指輪を綺麗な和紙に包み、
お母さんの写真を仏壇に置き、
その上に和紙に包んだ4つの指輪を置き、
「お母さんの指輪です。どうぞはめて下さい。」と、言ってあげる。
それとは別に、私が気になった事があった。
それは、
お母様があまりにもあっけなく亡くなったのが気になる。
そこで、彼女には、
今までお母様が買った指輪宝石の購入時期を調べてもらった。
すると、
4つの宝石は、いずれも数年前に購入されていたものだったが、
それ以外に、猫目石を購入されていて、
その猫目石の購入時期と、お母様が病気になった時期が近かった。
ちょっと嫌な気がしたので、
早急に、その猫目石だけ売ってしまうなりの処分を勧めた。
希に、高価な宝石に悪いものが憑りついている事があるからだ。
さて、最後に読者の方はこんな事が気になると思うので、
追記しておきましょう。
それは、
「4つの指輪のその後」
つまり、
その4つの指輪はずっと仏壇に飾ったままか?
もったいない。
いやでも、売ったり使ったりするのは、ちょっと怖い。
じゃあ、どうするのか。
だいたいですが、
1年経つと、どんなに物に執着していた霊も、
そんなに、そのものに固執しなくなります。
だから、1年そうして仏壇に飾ったら、
売ってもいいし、使ってもいいでしょう。
ただし、売るなら、
売る前に、これからこの宝石を売ります。
と前日に許しをこうてから売り、
売って得たお金で、最初にお母さんに何か、
お花でも、好物でもいいから買って供えましょう。
「宝石を売らせてもらいました。
そのお金の一部で、この花を買いました。ありがとうございます。」
これは今回のケース以外でも言える事で、
貴方が親の残した物を売ってお金にした時、
そのお金で一番先に、親にお礼すると良いでしょう。
また、使わせてもらうなら、
まったくの自分の物にするよりも、
お勧めは、
お母様の物として預かり、
使う時は、
「お母さん、
今日はこの指輪を、お借りしますね。」
と言って、使うのが一番良いでしょう。
きっと、そんな貴方を、
お母さんが指輪を通して守ってくれますよ。
END